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CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

事例紹介

2018.09.06

90周年記念万年筆とオリジナルインクのプロモーション『有限会社 明石文昭堂』

2017年、創業90周年を迎えた『有限会社 明石文昭堂』。

創業90周年を記念した万年筆の発売に合わせて、大分県内の2人のクリエイターと協働し、プロモーションをおこないました。社長の手書きの手紙をデザインに取り入れたリーフレットと特設Webサイトを制作し、グラフィックデザインを井下 悠さん、Webディレクションを越田剛史さんが手がけています。

その取組の経緯や成果について、代表取締役の明石泰信さんにお話を伺いました。

 

 

3月に大分市でおこなわれた『CREATIVE PLATFORM OITA』報告会に登壇した明石さん

 

 

『明石文昭堂』は1927年の創業以来、別府駅東口から徒歩2分の場所に店を構え、文具、事務用品、画材、額縁などの販売を中心に、絵画教室やイベントなども積極的に開催してきました。

別府の町の歴史と共に歩んできた90年。「別府が大好きということが商売の中心にある」と明石さんは語ります。

「祖父が創業し、父の承諾のもとデザインを設計士の方と考え社屋を新しく建て直しました。その後、1998年に私が代表になり、おかげさまで昨年90周年を迎えました。いまは娘夫婦も手伝ってくれています。祖父と父が繋げてくれた『誠実』という社訓を受け継ぎ、人との繋がりを大切にしながら、文化を伝える道具としての文具・画材を販売しています」と明石さん。

 

『明石文昭堂』が、力を入れて販売してきた商品の1つが万年筆です。店内には国内外のメーカーの万年筆が並び、さらに別府の景色からイメージした色を15色展開する、万年筆専用の『明石文昭堂 オリジナルインク』を開発・販売しています。

明石さんは創業90周年を記念して、数量限定でオリジナル万年筆『AKASHI BEPPU ベイブルー』を開発・販売することを決め、そのプロモーションの方法について『クリエイティブ相談室』に相談します。

 

 

オリジナル万年筆の本体は別府湾をイメージした青。ペン先には湯けむりをモチーフにしたデザインを刻んでいる

 

 

また、明石さんは、2017年3月に別府市が主催したワークショップ『Creative Workshop in Beppu』に参加した際、講師の1人であるナガオカケンメイさんから、「オリジナルインクの色見本をちゃんとデザインして作っては」とアドバイスをいただいたことから、「この機会にインクのリーフレットも作りたい」と考えたそうです。

 

その後『相談室』でヒアリングを重ね、明石さんは顧客へ向けたDMとオリジナルインクのリーフレット、販売機能を持つ特設Webサイトを作るという方向性を決めます。そして、90周年記念プロモーションのコンセプトを「書くことは伝えること・想うこと」と定めます。このコンセプトを伝えるために、大分市に拠点を置く2人のクリエイター、井下 悠さんと越田剛史さんに白羽の矢が立ちます。

井下さんはフリーランスで活躍されているデザイナーです。井下さんのインタビューはこちらをご覧ください。

越田さんは『株式会社 Design totte』デザイナー・クリエイティブディレクターで、大分県デザイン協会の会長も務めていらっしゃいます。越田さんのインタビューはこちらをご覧ください。

 

コンセプトをもとに、井下さんがデザインしたDMはB5サイズを二つ折りにしたもの。開くと明石さん自筆の挨拶文が掲載されていて、手に取った人は自分宛の手紙が届いたような親密さを感じることができます。明石さんはこのDMを1通ずつ封筒に入れて、顧客の元へ発送したそうです。

「お客さまから『手紙みたいで面白い』と喜んでいただけました。手書きの手紙風の広報物にしたことで、これまで取り組んできた、書くことの大切さと90周年の感謝の思いを伝えることができました」と明石さんは笑顔で語りました。

 

万年筆は90本限定生産で、9割は店頭で、1割はインターネットで販売し、完売したそうです。

また、万年筆やオリジナルインクは、全国誌や県内の情報誌などメディアにも多数掲載されました。

「その内のほとんどは、弊社からの掲載依頼ではなく、先方からの取材依頼によるものでした。締切までのスケジュールが短い場合もありましたが、DMやパンフレットが完成していたので素材を提供することができました」と明石さんは言います。

 

 

顧客へ向けたDMとオリジナルインクのリーフレット

 

 

一方、越田さんはDMやパンフレットとデザイントーンを統一させて、EC機能を備えた特設Webサイトを制作しました。

「以前はまずお問い合わせのメールをいただき、こちらから電話をかけて注文をお受けしていたので、サイトができて本当に簡略化されました」と明石さん。

この特設サイトからの販売は少しずつ増えており、海外からの注文もあるそうです。

また、サイトではインクの色と連動した、別府の風景と思い出を綴った明石社長のお手紙エッセイが公開され、「書くことは伝えること・想うこと」というコンセプトを伝えています。

 

 

完成した特設Webサイト

 

 

明石さんは、クリエイターとの次の展開も広がっていると言います。

「横浜に出張したときに、オリジナルバッグが作れる帆布生地のメーカーを見つけました。そこで、井下さんに頼んで『BEPPU BAY BLUE』のロゴを作ってもらい、それをスタンプした明石文昭堂と横濱帆布鞄のコラボバッグを作りました」このバッグは店頭やWebサイトでも購入でき、好評だそうです。

 

 

BEPPU BAY BLUE トートバッグ。形は2タイプ、色も白とグレーの2色で展開している

 

 

明石さんが社長になられて20年。今では娘さんも家業を手伝っています。今回の90周年記念事業を通して、なにか変化はあったのでしょうか。

「イベントなどに娘が積極的に参加してくれて、新しいネットワークが生まれています。今回の取組を事業継承と捉えていたわけではありませんが、DMやWebサイトを作る過程で、大切にしてきた商売の軸も伝えられたのではないかと思います。100周年は、娘や息子たちにやってもらいたいですね」と明石さんは語りました。

 

デジタルやインターネットの普及により、手書きで思いを伝える機会が減りつつありますが、明石文昭堂では別府の風景を思いながらオリジナルインクを作り、万年筆とともに販売することで、その文化を大切に守り、伝えようとしています。

2人のクリエイターが企業の思いを汲み取り、それぞれの得意分野で具現化させた今回のプロモーションは、これまでの90年の感謝を顧客へ伝え、この先の90年を後継者へ託していく、大きな1歩になりました。

 

 

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有限会社 明石文昭堂  http://www.akashi-net.co.jp/

90周年記念万年筆&オリジナルインクWebサイト https://akashibun.thebase.in/

井下 悠さん http://creativeoita.jp/database/inoshita/

越田剛史さん http://creativeoita.jp/database/echida/

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