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事例紹介

2019.06.13

空き家をリノベーションして生まれた鉄輪のコワーキングスペース『a side-満寿屋-』

日本屈指の温泉地、別府。なかでも無数の湯けむりが立ちのぼる光景で知られ、古くから湯治場として栄えてきた鉄輪エリアに、2019年4月コワーキングスペース『a side -満寿屋-』がオープンしました。地域の人や旅行者、リモートワーカーなどが集い、新しいアイデアやサービスが生まれる場所として活用されています。

 

今回は『a side -満寿屋-』のプロジェクトに携わっている一般社団法人 B-biz LINKの池田 佳乃子さん、設計を担当した一級建築士事務所 Yama Designの山崎真司さん、運営をしている株式会社 HOODの長谷川 雄大さんに『a side -満寿屋-』が誕生した経緯や施設の特徴、今後の展望などをお伺いしました。

 

まず、別府ではなかなか馴染みのないコワーキングスペースを鉄輪エリアに作った経緯について、池田さんに伺いました。

(左から) 山崎真司さん、池田 佳乃子さん、長谷川 雄大さん

 

「鉄輪には、後継者不足によって廃業する旅館やお店が多く、空き家が増加しています。その課題をいかに解決するかということを、地域の方々と相談していたんです」

 

そこで池田さんは、2018年6月に地域の人たちや学生、地元の起業家や不動産などの専門家を交えて、ワークショップ形式の話し合いの場“鉄輪妄想会議”を開きました。“鉄輪妄想会議”では、実際に全国で同じような活動を始めている人たちをゲストに招き、各地の事例を学びながら議論を重ねたそうです。そこでなぜ、コワーキングスペースというアイデアが生まれてきたのでしょうか。

 

「鉄輪エリアは古くから続く湯治場ですが、その文化は時代の流れによって衰退しつつあります。そのもっとも大きな要因は、働き方の多様化です。業務の性質上、長期休暇を取りづらいという人も多く、近年は仕事と休暇を両方実現できる『ワーケーション』という働き方も浸透しはじめました。このようなライフスタイルにマッチするスペースが鉄輪にあれば、働きながらの長期滞在が可能になるのではないかという意見が出てきました」と、池田さんは語ります。

 

このアイデアから“湯治のアップデート”をコンセプトに、元湯治宿だった空き家をコワーキングスペースにリノベーションすることが決まったのだそうです。

 

※ワーケーション:「仕事 (work)」と「休暇 (vacation)」を組み合わせた造語で旅行先や帰省先などでテレワークをおこなうこと。

 

 

続いて『a side-満寿屋-』の特徴について、設計を担当した山崎さんに伺いました。
「ここは約80年前に建築されて以来、増改築を繰り返されていました。解体してみると、当時の土間(どま)や式台(しきだい)や框(かまち)が出てきたので、当時のまま利用しています。また、室内の床はリノベーションの際に新たに設けたデッキスペースと同じ床材を使用し、内部と外部が繋がっているかのような空間にしています。刻んできた歴史は残しつつ、新しい歴史を積み重ねていくというコンセプトでデザインしており、テーブルも合板の積層断面をあえて見せることでそれらを表現しています」

 

『a side-満寿屋-』内観

 

約80年前建築当時の写真。庇(ひさし)は当時のものを再現してデザインしている

 

合板の積層断面を見せたデザインのテーブル

 

『a side-満寿屋-』には、用途に合わせてフレキシブルに可変できるオリジナルのテーブルとソファ席があります。国東の七島藺(しちとうい)でできた畳がある瞑想室を入れると、最大15名ほどが利用できます。また、利用者は向かいにある『すじ湯温泉』に無料で入ることができるそうです。

 

「コワーキングスペースではなく『湯ワーキングスペース』と呼んでいます。仕事の休憩がてら源泉掛け流しの温泉に入れるというのは、鉄輪ならではですね。それに、温泉に入ったあとは心理的にオープンになるからか、他の利用者との会話が生まれているような気がしますね」と運営を担当している長谷川さんは話します。

 

庇(ひさし)の形をモチーフにしたロゴマークには、人が交わるという意味も込められています。ここでは、鉄輪に住んでいる人と仕事や休暇で来ている旅行者が交わり、自然とコミュニケーションが生まれているそうです。

 

『a side-満寿屋-』のロゴ

 

「“a side”というのは1つの辺という意味です。立体や平面が複数の辺で構成されているように、『a side-満寿屋-』も鉄輪を構成する1つの辺として機能していきたいです」。そう池田さんは説明し、鉄輪における『a side-満寿屋-』の役割についても次のように語りました。

 

「ここに集った人たちが新しいことを始めたり、何かを生み出していくプラットフォームのようになったらいいなと思います。『a side-満寿屋-』だけで全てを完結するのではなく、鉄輪の宿やレストラン、カフェと連携し、エリア全体を保養所や研修所のようにご利用いただくスタイルを、鉄輪の新しい湯治のモデルケースとして浸透させていきたいです」

 

最後に、長谷川さんに今後の展望についてお伺いしました。

「このスペースと鉄輪の特性を生かした企画をおこなっていきたいですね。地元で商売をしている人や多くの旅行客が訪れるということは、同時に多くのアイデアも集まっているはず。そのアイデアをオフラインの場で可視化できるような仕組みづくりができたらなと構想しています。でも、本当に大事なのはそういった企画を鉄輪で考え続けることだと思っています」

 

コワーキングスペースで仕事をしてみたい方や、新しい湯治のスタイルにチャレンジしてみたい方は、ぜひ『a side-満寿屋-』に訪れてみてはいかがでしょうか。利用方法など詳しくは公式サイトをご覧ください。

 

 

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a side-満寿屋-

住所:大分県別府市井田4組 すじ湯温泉前
電話番号:0977-76-5234
https://1side.jp
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