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CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

事例紹介

2019.12.12

新規顧客開拓を目指し、文化財としての魅力を広く伝える『坊主地獄』

今回は、別府市の『天然記念物 坊主地獄』と、クリエイティブディレクター・神鳥兼孝さんとの協働事例をご紹介します。

 

今から約520年前に起きた日向灘地震が原因で、熱泥が絶え間なく吹き上げるというユニークな景観が見られる『天然記念物 坊主地獄』。鶴見岳や扇山を背景に、別府湾を一望できる位置にあり、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。昭和24年には県の天然記念物に指定され、別府の三大地獄のひとつとして親しまれてきました。また、併設されている『鉱泥温泉』では泥湯を楽しむことができます。

 

 

今回、『クリエイティブ相談室』に相談をくださったのは、その『天然記念物 坊主地獄』の運営・管理をおこなっている『株式会社 坊主地獄』の代表取締役社長の甲斐正浩さんです。甲斐さんは東京で営業職として働いていましたが、祖父の代から続く『坊主地獄』を継ぐために27歳で別府に戻ってきたのだそうです。

 

『株式会社 坊主地獄』代表取締役社長の甲斐正浩さん

 

「祖父も父も、『坊主地獄』を観光施設というよりも文化財として大切にしてきました。そのことから、広報や宣伝に力を入れてきませんでした。これまでは、パンフレットもホームページも作らず、お客さまは口コミだけを頼りに来てくださっていました」
ただ、年々来場者数が減少傾向にあること、また、来場者の平均年齢も上がっていることなど、課題が顕著になってきたのだと言います。
「やはりお客様に足を運んでもらうことが大事です。そのために情報発信をきちんとしなければとずっと考えてはいたのですが、何となく後回しになってしまっていました。そんな時に、以前に『クリエイティブ相談室』を活用した『明石文昭堂』さんからの勧めがあって、相談してみることにしたんです」

 

そうして協働することになったのが、別府市に『株式会社 green circle』を構えるクリエイティブディレクター・神鳥兼孝さんです。神鳥さんはこれまでに企業のテレビコマーシャルやチラシ・ポスター、パンフレットの企画・制作などさまざまなメディアを使った広報戦略を手がけてきました。平成29年度の『クリエイティブ相談室』では、臼杵市の後藤製菓のブランディングや新商品開発にたずさわった実績もあります。

 

ヒアリングや打ち合わせを進めるなかで、神鳥さんからは「天然記念物を生かした“文化や学びの体験の場”」としてブランディングしていくことが提案されました。
「情報発信自体ももちろん大事ですが、それだけでは足りません。『坊主地獄』には歴史的にも文化的にもとても素晴らしいものがあります。ただ、それだけに頼ってしまってはいけません。その素晴らしいものをちゃんと見せる場所や仕掛けを作ること、つまり演出が重要です」と神鳥さんは話します。

 

2019年2月に開催された『CREATIVE PLATFORM OITA 報告会』での発表のようす(左:甲斐社長 右:神鳥さん)

 

そのブランディング計画を基盤に、まずはホームページを制作することになりました。『坊主地獄』がもともと持っている場所の魅力や雰囲気を損なわないよう、過剰なデザインや表現はあえておこなわず、シンプルなホームページに仕上がりました。また、四季の美しい景色を知ってもらえるよう、季節ごとの写真を掲載し、インスタグラムでの発信も始めました。

 

『天然記念物 坊主地獄』ホームページ

 

ホームページに合わせて、入園券のデザインも一新した

 

「まずはホームページやSNSを通じてこの場所の存在を認識してもらえるようになったのは大きな成果だと思います」と甲斐社長。また、その影響もあって、週末は若い来場者が増えたのだと言います。

 

神鳥さんからは、敷地内の今は使われていない建物や資源を使って、この場所ならではの文化体験ができる企画の提案もなされました。そのひとつが、『坊主地獄』の裏山に広がる竹林を活用した「タケノコ掘り体験」です。竹林でタケノコを堀り、それを地獄蒸しして食べ、さらに鉱泥温泉に入って帰るという、この土地ならではの自然や文化を体験できるプログラムの開催を目指しています。

 

幼い頃から『坊主地獄』を見てきた甲斐社長にとっては、神鳥さんからの提案は新鮮だと言います。
「自分にとっては当たり前だと思っていたことが、外から来てくださった方にとってどのように魅力的なのか、正直あまり考えたことがありませんでした。神鳥さんという外の視点が入ることで、新たな気付きがありました。最初にお願いした情報発信以外のことにも、親身になってさまざまなプランを提案してくださり、刺激になっています」

 

最後に、甲斐社長に今後の抱負を伺いました。
「これからは体験型の場所として、訪れた方の記憶に残る場、また来たいと思っていただける場を作りたいと思っています。また、自分たちだけでなく、外部の方にもこの場所を使っていろんなイベントを企画してもらうことも検討しています。これまでやってきたこと・守ってきたものを大切にしながら、新しいことにチャレンジして、できることから一つずつ、新たな魅力を創出・発信していきたいと思います」

 

これまでの観光施設とは一味違う、体験型の文化施設として進化する『坊主地獄』の今後に期待が高まります。

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天然記念物 坊主地獄 https://bouzujigoku.com
神鳥兼孝さん http://creativeoita.jp/database/kandori/
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