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事例紹介

2019.01.10

顧客からのフィードバックで進化し続けるコミュニケーションツール『バタフライボード』

今回は、携帯できる連結式ホワイトボード『バタフライボード』を開発した、『バタフライボード 株式会社』代表取締役の福島英彦さんにお話を伺いました。
福島さんは、クラウドファンディングを活用しながら、顧客のフィードバックを基に商品の改良を重ね、『バタフライボード2』で2018年度グッドデザイン賞を受賞しました。
現在メーカーとして奮闘している福島さんに、商品開発と起業の経緯や今後の展望について伺いました。

 

『バタフライボード2』は、A4とA5の2サイズ。カバー代わりのクリアボードと4枚のホワイトボードがマグネットで繋がっており、専用の極細ペンとセットになっています。ホワイトボードには、思考を妨げずコピーしても写らない、絶妙な薄さの方眼が入っています。
その最大の特徴は、A4サイズで重さ303グラムと軽量で携帯性に優れていることです。特許技術スナップ・バインディング・テクノロジーにより、ノートのように使ったり、ボードを繋げて複数の人とのアイデア創出に活用したり、使い方は無限。
福島さんはこの商品について「Whiteboard. Whenever. Wherever.がコンセプトです。ホワイトボードの強みである一覧性を保ちながら、どこでも誰でも使うことができます」と語ります。

 

2018年度 グッドデザイン賞受賞展の様子

 

福島さんは、もとはアメリカの音響機器メーカーの日本支社でスピーカー開発をおこなっていましたが、所属部署が閉鎖となり、マーケティングの部署に異動しました。そこで意見をまとめる機会が増え、コミュニケーションの重要性を感じたそうです。福島さんは当時、打ち合わせによくホワイトボードを使用していました。出先で打ち合わせする機会も多いため、100円ショップで購入した材料で携帯用ホワイトボードを作り、持ち歩いていたそうです。

 

模索していた頃のホワイトボード

 

「自分の課題解決のために開発したんですが、こういう商品を必要としている人がほかにもいるんじゃないかと思ったんです」そこで福島さんは、試作品を持って工場を訪ねました。しかし、取引の実績もなかったため、当初は見積もりさえもらえなかったといいます。工場への交渉と並行し、構造の見直しを図るなかで、福島さんはスピーカーの開発エンジニアだった頃の経験や知識を活かし、マグネットでボードを繋げる構造を発明しました。この構造で特許を取得し、工場へも足繁く通って製品化への情熱を伝え続け、ようやく製造の目処が立ったそうです。
また、資金調達にはクラウドファンディングを活用し、800人から約300万円が集まりました。こうして『バタフライボード1』の製造・販売がスタートします。

 

ペンも一緒に持ち歩けるケースもフィードバックから開発

 

商品が流通すると、実際に使用した人たちから多くのフィードバックが来るようになりました。なかでも多かったのは、ボード専用の極細マーカーの開発を求める声。その市場の大きさを確信した福島さんは、複数のメーカーに極細マーカーの開発を提案しました。ところが、大手メーカーではその潜在的なニーズを理解してもらえず、断られてしまいます。
福島さんの提案に共感してくれたのは、以前から細いマーカーを作りたいと思っていた企業でした。彼らは元受会社の設定する基準を満たすことができず、実現できなかったのだそうです。そこで、福島さんの責任において基準を設定し直すことで、『バタフライボード』専用の極細マーカーの開発が始まりました。こうして、海外のクラウドファンディングで約500万円の資金を集め、ペン先0.5ミリの極細マーカーが付属した新バージョンをリリースしました。

 

世界に打って出るにあたり、どのような苦労があったのでしょうか?
「ハードウエアを海外へ届ける際、重要なのはロジスティクスでした。海外には関税の問題や発送の困難な場所もあります。試算の段階でロジの計画を固めておくことの重要性を痛感しました」と福島さんは言います。
また、海外からもフィードバックが寄せられるようになり、より多様な視点から製品を見直すことができたといいます。当初『バタフライボード』は紙製でしたが、樹脂を用いて完全防水のボードへとブラッシュアップ。福島さんは2017年10月に『バタフライボード 株式会社』を創業しました。

 

福島さんは、Webサイトの制作、ロジスティクス、マーケティングなど、すべて1人でおこなっています。そのため、お客様への対応や製品の改良に注力できるよう、受注や会計、売り上げ管理などのバックオフィスはなるべくオートメーション化しているそうです。「1人でやっていることで、さまざまな課題をトータルで考えられるので、効率はいいと思います」と福島さん。顧客から届く意見を集め、課題を改善しつつ、プラスアルファのアイデアをのせて改良を重ねるために、小ロット生産を繰り返す体制を取っているそうです。
「なによりもお客様の声が大事。それが開発の基になっています。クラウドファンディングは、製品を見直すためのプラットフォームでもあります。また、お客様が誰にどう伝えてくれるかがプロモーションの核となるので、顧客とプロダクトがいい形で繋がっていくことが重要です」と福島さんは語りました。

 

一般販売を開始すると、意外なニーズも発見できたそうです。
「学校や病院からのニーズが多かったのが意外でした。たとえば、患者さんと先生がお互いにボードに書き合うことで、双方向のコミュニケーションが実現できるのだそうです」

 

シンプルな形だからこそ自由にアイデアを出し合う事ができる

 

さらに、「競合として考えられるのはタブレットですが、現場は意外とアナログなことが多い。コミュニケーションツールは誰でも使えることが大事です。近年、遠隔のコミュニケーションツールの開発は進んでいますが、『バタフライボード』のような近接のコミュニケーションを円滑にするものは少ない。今後は欧米など、ホワイトボードを活用する文化が根付いている地域にリーチしたいですね」と今後の展望を語りました。
『バタフライボード』は国内外の顧客からのフィードバックを基にブラッシュアップを重ねてきた、いわば顧客と開発者のコミュニケーションの結晶です。
「市場がないという思い込みから、眠っている技術はたくさんあると思います。僕のような顧客と近い位置にいるメーカーが、潜在的なニーズを形にすることで、今まで大手企業がけん引してきた日本のものづくりの在り方自体を変えられるのではないかと思っています」

 

福島さんの挑戦は、一歩踏み出して市場に問うことの重要さを再認識させていただける事例でした。これからも顧客との対話を重ねながら、福島さんのイノベーションは続いていきます。

 

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バタフライボード 株式会社

http://www.butterflyboard.jp

 

『バタフライボード Pro A3』クラウドファンディングのWebサイト

https://www.makuake.com/project/butterflyboardpro-a3/
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