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事例紹介

2021.01.28

ウォーターサーバー『OISHII AIR』の特徴をネーミングやコピーで端的に伝える

今回は、クリエイティブ相談室を活用して、新商品のブランディングをおこなった大分市の『株式会社 デンケン』の事例をご紹介します。

同社は『株式会社 Barbara Pool』と協働し、新商品であるウォーターサーバー『OISHII AIR』のブランディングをおこないました。どのようなプロセスでプロジェクトが進んだのか担当者にお話をお聞きしました。

 

デンケンは1976年に創業し、国内外19箇所の事業所を拠点に、半導体製造装置、太陽電池検査装置、駐輪場管理システムや医療機器開発など6つの事業を展開。クライアントのニーズに応じて柔軟に商品開発や受託事業で成長してきました。

経営理念に「共栄」を掲げ、自社商品の多くは社会課題の解決を目指して企画開発されています。

 

 

新規プロジェクトの担当で、常務取締役の本田太郎さんは「たとえば、駐輪場管理システムの事業は放置自転車の問題解決から、医療機器開発は人々の健康増進という思いから始まっています。ウォーターサーバーの販売は、2019年度に策定した中期経営計画のスローガンが『原点回帰』なので、インフラや水に関わる事業を検討するなかで決定しました」と説明します。

 

ウォーターサーバーの販売は、2016年の熊本・大分地震でのライフライン (電気・ガス・水道) の被災を経験し、復旧が最も遅かった飲料水・生活用水を、災害時でも確保する方法がないか、被災経験のあるメーカーとしてこの問題に貢献したい、という思いが根底にありました。

 

2019年末、デンケンは予てから取引があるウォーターサーバーの製造販売会社と契約し、オフィス向けとして20ℓ容量の組立・販売を開始することが決定していました。

このウォーターサーバーは空気中の水分を結露させ、6種類の濾過フィルターによってきれいな飲料水を生成します。空気と電気さえあればどこでも水を作ることができ、ガロンボトルを交換する必要がないのが特徴です。

最初は販売代理店としてスタートしますが、将来的には製造を内製化し、プラント向けの大型から一般向けの小型まで商品化し、国内外へ展開することも想定しているそうです。

 

一方で、ウォーターサーバーはすでに多くの商品が市場にあり、新規顧客の開拓が難しいことが想定されていました。また、デンケンは技術力を活かした商品開発は得意としていますが、市場調査、プロモーション戦略の策定、プロダクトデザインなどを社内でおこなうことには限界があると感じていました。そこで、『クリエイティブ相談室』に相談します。

 

相談室は、プロジェクトの初期段階から関わりながら、フェーズに応じて必要な人材でチームを編成できるクリエイターが良いと考え、総合プロデュース会社の『株式会社 Barbara Pool(バーバラプール)』をご紹介します。

バーバラプールのインタビューはこちらでお読みいただけます。http://creativeoita.jp/interview/people/barbara-pool/

 

デンケンは本田さんを含め、各部署を横断する6名の新規プロジェクトチームを編成し、2020年初めからバーバラプールの廣部 さんとの協働をスタートしました。

廣部さんが会社の理念やヒアリングした内容をベースにキーワードを抽出し、コンセプトやネーミングを提案、それに対してプロジェクトメンバーがディスカッションを重ね、ブラッシュアップしていきました。ネーミングだけで、5回もの議論の場が持たれたそうです。

最終的に、空気から水を作ることがイメージしやすく、今後の工場設備や個人向けに商品展開した際にも違和感がなく、海外展開なども見据えたネーミングとして、『OISHII AIR』という名前に決定します。

 

ロゴはデザイナーからの提案で、「空気を飲もう」というキャッチコピーとともに、水や空気のように爽やかで、高品質と信頼を連想させ、安定感や未来志向も感じさせるデザインとなっています。

 

パンフレットやWebサイトに展開するキービジュアルは、プロダクトの写真は掲載せず、新鮮な空気と冴える森林のイメージの上にロゴマークだけをあしらったシンプルなものです。

仕入れ先のメーカーが作成していた既存のパンフレットは、プロダクトのイメージ写真や仕組みを前面に打ち出したものでしたが、プロジェクトチーム内で伝えたい情報の優先順位を整理し、空気から水を作るイメージをストレートに伝えるために抽象度の高いビジュアルになったそうです。

また、プロダクトの色もデザイナーのアドバイスで、シルバーからホワイトに変更し、オフィス空間に馴染みやすくしました。

 

 

 

 

OISHII AIR』は2020年冬に情報公開され、2021年中正式リリースされる予定ですが、本田さんは今回の協働についてすでに手応えを感じています。

「すでに市場のある商品なので、他社との違いや、このプロダクトがお客様に提供できることを徹底的に考える機会になりました。いくつかロゴのパターンを提案していただいたのですが、伝えたい情報によってデザインの方向性が大きく異なるということや、フォントや色を選ぶのにも理由があるということが理論的にわかり、納得して進めることができました」。

 

情報を整理し、ロゴやコピーとしてまとめることで、プロダクトの価値や情報を顧客に向けて発信するだけでなく、社内でも共有しやすくなったそうです。

 

OISHII AIRプロジェクトチームのメンバーの原田拓弥さんは、「これまで自分たちが、技術者の目線でプロダクトデザインや広報ツールを考えていたことに気づきました。このプロジェクトを通じて、お客様の目線で必要な情報を見極め、それを伝えるための手法を考えることが重要なのだと実感しました」と振り返ります。

 

本田さんは、「今回のプロジェクトをきっかけに、いろんな商品のデザインや情報の伝え方を注意深く見るようになりました。今後は、これまでと違う視点でプロジェクトを検討できる社員がもっと増えるといいなと思っています。販売はこれからなのですが、この新規事業を当社の7つ目の主軸事業に育てていきたいですね」と意気込みを語りました。

 

 

本田さんは相談当初、社員の視点や思考の切り替えも自社の課題として挙げられていましたが、今回のプロジェクトに参加したメンバーは、新たな視点や気づきを得ているようです。そうした社員の方々から、社会課題を解決するためのプロジェクトのアイデアが提案される日もそう遠くないのではないでしょうか。今後も同社の事業展開が楽しみです。