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事例紹介

2019.01.31

デザインの新たな可能性を模索し、発信する『公益財団法人 日本デザイン振興会』

世界4大デザイン賞の1つともいわれる『グッドデザイン賞』は、デザインによって暮らしや社会をより良くしていくことを目指し、より豊かな社会へと導く優れたデザインを顕彰する制度です。60年以上の歴史と実績を誇るこの『グッドデザイン賞』を主催する『公益財団法人 日本デザイン振興会 (以下JDP)』は、日本で唯一の総合的なデザインプロモーションを担う機関として、さまざまなデザイン振興事業を手がけています。
今回は、『グッドデザイン賞受賞展2018』の会場を訪問し、JDP事業部課長の秋元 淳さんに、その活動やビジョンについてお話を伺いました。

 

 

『グッドデザイン賞』は、1957年に旧通商産業省によって設立された『グッドデザイン商品選定制度』を前身としています。1998年の民営化以降はJDPの主催事業となり、『グッドデザイン賞受賞展』を毎年秋に開催するなど、大きな注目を集めています。そのほかにもJDPは、『東京ミッドタウン・デザインハブ』『GOOD DESIGN Marunouchi』をはじめ、展覧会やセミナー、トークショー、ワークショップなど、数多くのデザイン振興事業を実施しています。

 

『グッドデザイン賞』の審査対象は、時代の変化とともに拡大されてきました。現在では商品だけでなく、建築やソフトウェア、システム、サービス、活動など、幅広い領域が対象となっています。色彩や形状などの見た目だけでなく、「ある理想や目的を果たすために築いた物事」をデザインと捉え、総合的に審査しているそうです。

 

2018年度は4789件の応募があり、31カ国1353件が受賞し、それらが一堂に会する『グッドデザイン賞受賞展』が10月31日から11月4日まで、東京ミッドタウンをメイン会場に開催されました。1日では巡りきれないほどたくさんの展示があり、審査報告会や審査委員によるトークイベントなども数多く開催されていました。また、デザイン関係者だけでなく一般の方も多く来場し、会期中の総来場者数はのべ256,313名にも上ったそうです。

 

 

グッドデザイン賞受賞展の様子

 

『グッドデザイン賞』の目的をJDPの秋元さんにお伺いしました。

「時代に合わせていち早く新しいデザインの領域を提示することを目指しています。そのため、審査委員には若手のデザイナーやデザイン以外の分野からの人材を積極的に採用しています。
本年度は84名の審査委員がいるのですが、デザインの対象となるジャンルによりカテゴライズし、チームを作って審査しています。さらに、各チームのリーダー同士が意見を交わすことで、考えが偏らないようにしています。新たな価値を持ったものを選ぶことで、デザインの領域を常にアップデートしていきたいと思っています」

 

本年度の大賞を受賞した『おてらおやつクラブ』をはじめ、近年は課題解決のための活動や仕組みなど、無形のデザインの受賞事例が増えたといいます。
「現状をより良くしたい、変化を起こしたいと思ったときに、人々にとって何が大切なのかをデザイン的な観点で思考し創造する事例が増えています。また、産業やものづくりにおいても、それがどう社会に貢献するのか、何のためにものを作るのか、社会にとって良いデザインとは何かを考えてデザインに取り組む方が増えてきたように思います」

 

 

また、秋元さんは、『グッドデザイン賞』受賞のメリットについて次のように話します。
「受賞の証しである『Gマーク』を使ったプロモーションができます。『Gマーク』の社会や市場での認知度は高く、企業のイメージアップに繋がりますし、デザインを活用した課題解決の事例なども、より広く周知できます」

 

さらに、『グッドデザイン賞』を受賞することで、地場産業が全国に販路を拡大した事例や、企業イメージの向上、入職希望者の増加などに繋がった会社もあるそうです。その具体例の1つに、『WHILL』というスタートアップ企業があります。同社は車椅子ユーザーの声に耳を傾け、独自の技術で電動車椅子のデザインを提案し、グッドデザイン賞を受賞しました。受賞後はメディアなどで紹介される機会も増え、販路が広がり、会社の規模も拡大したそうです。また、食材とその食材を特集した雑誌がセットになった月刊誌の発行により復興支援を図る『東北食べる通信』も、受賞を機にさらに全国各地にその仕組みが広がっていったそうです。
「受賞したことが社員の誇りやモチベーションに繋がり、サスティナブルな企業へと変化していく様子をみると、デザイン振興に携わっていて良かったと心から思います」と秋元さんは語ります。

 

スタートアップ企業『WHILL』が提案した電動車椅子

 

歴代の『グッドデザイン賞』受賞対象を見ると、「良いデザイン」のあり方が時代とともに日々変化していることがわかります。そこで、秋元さんに、これからの時代の「良いデザイン」とは何かをお聞きしました。
「明日への活力に繋がるものや、その時代を生きる人に希望をもたらすデザインであることが大事だと思います。有形・無形に関わらず、デザインにとって重要なのは、ユーザーが望むデザインであることです。マーケット中心のデザインや、見た目のリデザインだけでは良いデザインは生まれません。ユーザーが必要としているものの本質を考え抜いたものが『良いデザイン』なんだと思います」

 

最後に、新たにクリエイティブやデザインを取り入れようとしている大分県の中小企業の方に、アドバイスをいただきました。

 

「デザイナーと協働する際に、トレンドや既存の様式を過剰に意識する必要はありません。活力やオリジナリティのあるデザインは、地域や風土の良さをベースにした独自の表現や展開から生まれます。デザイナーは見えないものを可視化する能力に長けているから、これまで気付かずにいた価値に目を向け、引き出してくれます。はじめは戸惑うことが多いかもしれませんが、目的が同じであれば壁は乗り越えられます。時間がかかったとしても、デザイナーの持っている力を信じて進んでください」

 

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公益財団法人日本デザイン振興会
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℡:03-6743-3772
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