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事例紹介

2018.12.13

リブランディングによって売上が3倍に! 『カネ十農園』(前編)

静岡県にある創業1888年の老舗茶農園で、栽培から加工までこだわった茶づくりを続けている『カネ十農園 株式会社』。もとは茶葉の生産から加工、卸売を中心としていましたが、4年前から『株式会社 method』の山田 遊さんとの協働によるリブランディングに取り組みはじめました。
ブランドコンセプトを立ち上げ、商品ラインナップやパッケージ、販路の見直しを図ると、日本茶の概念を覆すおしゃれなパッケージと本物志向の味わいが注目を集めるようになりました。さらに、2018年6月には東京の表参道に体験型ティーサロン『カネ十農園 表参道』をオープン。同社の売上は急激に伸び、3倍にも増加したそうです。
今回は前後編にわけて、130年の歴史を持つカネ十農園の5代目・渡辺知泰さんに伺った、リブランディングに取り組んだ経緯とその成果についてご紹介します。

 

カネ十農園の5代目・渡辺知泰さん

 

国内の茶葉生産量1位を誇るお茶どころ・静岡県牧之原市で、130年にわたってこだわりの茶葉を生産しているカネ十農園。市内に200箇所もの畑を持ち、栽培から加工まで一貫して手がける同社は、新鮮で風味豊かな茶葉製造にこだわりながら、卸売を中心に経営していました。
ご結婚を機に奥様の実家だった農園を12年前に引き継いだという渡辺さんは、栽培したものをその日のうちに加工する茶葉の製造は、ワインに似ていると感じたと言います。

 

「基本的に茶農家って、栽培と加工が連動しているんですよ。収穫から12時間以内に加工しないと劣化してしまいます。だから、収穫した茶葉はできるだけ速やかに蒸して乾かすんです。それがワインづくりに共通すると思い、農園を継ぐことを前提にカリフォルニアのワインメーカーで営業を学ぶことにしました。その後静岡へ婿入りし、農園を継いでから、1年間は農園や製茶のことにかかりきりでしたね」

 

 

渡辺さんは、新潟県の燕三条市で大工道具メーカーを営む家庭に生まれました。ご家族も含む市内の作り手たちが、安価な輸入品に対抗するために自らブランディングし、地域の産業を立て直していった過程を見て育ったという渡辺さん。

 

「実家の近所にあった製作所は、自社でデザインすることを信念にしていて、製品そのもののデザインはもちろん、戦略も自分たちで立てていました。デザインに一貫性を持たせるための指針となる”トーン&マナー”も自社で作り、デザイナーを雇用してブレのないデザインを展開していたんです。そうやって自らの力でブランディングしていくのを見ていたので、僕はそれにすごく影響を受けていたんですよ」

 

このような背景もあり、カネ十農園として自社プロダクトを開発し、小売の実績を伸ばしたいと考えるようになったとき、渡辺さんは全てを自分でやろうと考えたそうです。

 

「当初はパッケージの制作から販路の開拓まで、全部自分でやっていました。でも、どんな人に購入してもらいたいか、そのためにはどんな商品で、どんなパッケージデザインであるべきかと思い悩むようになったんですよね。そこで、専門家に相談すべきではないかと考えたんです」

 

周囲からの推薦もあり、燕三条市をものづくりの街として有名にしたイベント『工場の祭典』の全体監修を務めた、『株式会社 method』の代表でバイヤーの山田 遊さんに会い、協働がスタートしたそうです。

 

(左から)『LIQUID』村上純司さん、『株式会社 method』山田遊さん、『カネ十農園』渡辺さん

 

山田 遊さんのインタビューはこちらから
http://creativeoita.jp/interview/people/yamada/

 

「はじめの1年間はヒアリングのみでした。商品ラインナップや、なぜ小売りをするのかなど、一見当たり前のように思えることもいろいろと聞かれましたね。そうやって時間をかけてヒアリングを受け、1つひとつの質問に答えていくことが、自分自身が目指そうとしている方向性を自覚することに繋がりました」と渡辺さん。

「どんな茶農園になりたいか」という問いに対しては、畑づくりをする農家や製茶工場の職人、包装スタッフみんなで話し合い、意見を交わしながら答えを出していったといいます。
このように、ヒアリングによって渡辺さんや農園に関わる人々の思いや目指すものを整理することから、カネ十農園の企業理念やミッション・ステートメントが見出されていきました。

 

「うちはおしゃれな農園を目指したいわけではありません。この農園に、全世界の人に来てもらい、お茶を体験してほしいんです。この思いは、ワイナリーでの経験から生まれたものだと思います。たくさんの人に牧之原台地を眺めながらお茶を飲んでほしい。そのためには、まず商品を通じてカネ十農園の存在を知ってもらわなければならない。だから小売も大事だし、淹れ方や飲み方を知ってもらう必要もあるんですよね」

 

そうして「牧之原の茶農園で、芳醇な一時を。」という、カネジュウ農園 のブランドコンセプトが生まれました。

 

 

 

山田 遊さんとの協働によるカネジュウ農園のリブランディングは、1年間にわたるヒアリングを経て、渡辺さんの思いや目標を明確にし、コンセプトを設計するところから始まりました。
リブランディング後、急激に売れ行きが伸び、小売額が3倍になったというカネ十農園。後編では、コンセプトをもとに、実際にどのような戦略や展開が実践されたのかを、具体的な成果とともにご紹介します。