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事例紹介

2019.03.07

お茶をテーマにしたイベントで地域の魅力を地域内外へ発信。国民文化祭『きつき大茶会』レポート

毎年各地で開催されている日本最大の文化の祭典『国民文化祭』。2018年は大分県が開催地となり、「おおいた大茶会」をテーマに、年齢・性別・障がいの有無に関わらず、だれもが参加し楽しむことができる大会を目指し、県内全市町村で計160を超える文化事業が実施されました。
杵築市ではこのテーマを体現すべく、クリエイティブユニット『graf』がプロデュースするイベント『きつき大茶会』を10月20日・21日の2日間に渡って開催しました。今回は特産品や歴史的景観を活用し、地域の魅力を広く発信した『きつき大茶会』の様子をご紹介します。

 

『graf』がデザインした『きつき大茶会』の公式ロゴマーク。3つの茶碗と杵築市の風景をモチーフに、1杯のお茶を通してさまざまな文化・地域・人々を繋げる行事になればという願いを込めた、マークとロゴタイプを制作した

 

杵築市城下町は、2つの台地に挟まれた全国的にも珍しい城下町です。その台地から伸びる幾筋もの坂道の中でも、特に象徴的な2つの坂を中心に構成した5つのエリアが『きつき大茶会』の会場となりました。
このイベントの目的の1つは、お茶をはじめとした杵築市の魅力を全国に向けて発信すること。「古今東西の喫茶」をテーマに、県内外から約60の出店者がお茶やお菓子、お茶にまつわる道具を販売する『茶々茶マーケット』をメインイベントに、各所で数多くの催しが開催されました。

 

『きつき大茶会』のトークイベントに登壇した『graf』代表でクリエイティブディレクターの服部滋樹さん(左) 撮影:木原千裕

 

企画・デザインを手がけたのは、大阪を拠点に活動するクリエイティブユニット『graf』です。家具のデザイン・販売、地域や自治体のブランディングのほか、2010年からはマルシェイベントを中心としたコミュニティー型プロジェクト『FANTASTIC MARKET』を主催するなど、全国で多岐に渡る活動をおこなっています。代表の服部滋樹さんは「今回のイベントでは、生産者や県内外の出店者との交流を通じて、裾野が広がっていくということが大事だと思います。お茶はそのための優れたコミュニケーションツールです」と語ります。

 

(左)撮影:木原千裕

 

『きつき大茶会』は県内外の女性客や家族連れをターゲットに企画されました。『茶々茶マーケット』には、地元の出店者はもちろん、『アメリカンプレス』という器具で淹れたコーヒー、台湾の少数民族「客家(はっか)」に伝わる伝統の穀物茶『客家擂茶(はっかれいちゃ)』など、珍しいお茶を取り扱う県外の店舗にも出店を呼びかけたそうです。また、立命館アジア太平洋大学(APU)や別府溝部短期大学の留学生が提供する各国のお茶など、普段あまり経験することのない「喫茶文化」も提供されました。その結果、来場者の約60%が女性客となり、さらに来場者の約20%の県外からの集客となったそうです。

 

撮影:木原千裕

 

さらに、九州各地のお茶の産地ごとの味や香りの違いを味わえる『九州茶会』や、親子で参加できる『はじめてのお茶会』など、子どもから大人まで参加できるプログラムが用意されたことで、親子での参加も多く見受けられました。

 

撮影:木原千裕

 

坂で隔たれ、点在する会場に一体感をもたらしたのが『ちんどんおてんきや with チャンキー松本』です。「アーティストという存在が地域に刺激を与える。人と人、過去の歴史と現在まで、さまざまな離れたものを繋ぐパイプ役が地域には必要だ」そう語るチャンキー松本さんは、岡田カーヤさんとともに作曲したきつき大茶会応援ソング『きつきのチャチャチャ』など、陽気でだれもが楽しめる「ちんどん的パフォーマンス」を各会場で披露。自らがパイプ役となり会場を盛りあげました。

 

撮影:木原千裕

 

また、かねてから地元関係者の中では、杵築市城下町は坂が多いにも関わらず、座って休むことができる場所が少ないことが課題とされていました。そこでイベント会場は、『graf』がデザイン・制作した椅子や日除けなどを設置する会場構成になりました。これらや什器の一部は杵築市に自生する竹を基調に作られ、城下町の風景に馴染むとともに、会場全体に統一感を生みました。

 

『きつき大茶会』の集客目標は1日3,000名でしたが、2日間で6,913名と目標を大きく上回る人数が来場しました。マーケット、お茶会、イベントなど「内容の多様性」、地元住民、アーティスト、県内外、外国人、障がいのある人も関われる「関係者の多様性」、喫茶文化を深く体験しに来る方、気軽に買い物に来る方といった「参加方法の多様性」など、さまざまな多様性が相まったことが、この成果を生んだのでしょう。

 

ある出店者は「杵築市内外、大分県内外の人が入り混じって1つの場を作ることは、交流の始まり。交流人口を増やすうえでも良いきっかけだと思いました。このイベントを機に、杵築市に今までとは違うイメージを持った方も多いのではないか」と話します。また、別の出店者は「県外からの出店者の商品づくり、販売方法など多くの点で勉強になった。県外からの出店者も参加するイベントを3年に一度など、定期的に開催することは杵築市にとても良い刺激になるだろう」と語りました。

 

港を起点に多くの人が行き交った歴史を持つ杵築。「おおいた大茶会」のテーマの通り、さまざまな人がお茶をきっかけに杵築市を訪れ、お茶を通して交流し、地域の魅力に改めて気づいた2日間になったのではないでしょうか。