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事例紹介

2017.08.24

土地の担い手、経営者として農業に取組む『リモージュ農園』

大分県のほぼ中央に位置する大分県由布市。自然豊かな棚田に囲まれた由布川渓谷からほど近い場所に『リモージュ農園』が広がっています。ここで栽培されているフルーツトマトやハーブは『アイメック栽培』と呼ばれる、少量の土とフィルムを使用する特殊な農法で作られています。

今回は『リモージュ農園』を運営する株式会社 LIMOGES 専務取締役の濱原 健さんに、アイメック栽培を導入したきっかけをはじめ、農園の経営や地域で行う取組についてお話を伺いました。

 

株式会社 LIMOGES 専務取締役の濱原 健さん。今回は農泊も行っている濱原さんのご自宅で取材を行いました。

 

濱原さんは東京で会社員をしていましたが、祖父の介護をきっかけに3年半前にUターンし、祖父母が50年かけて開拓した手作りの段々畑を受け継ぎました。

「石を積みなさい。石を積めば農地ができる。農地があれば家族が増えても大丈夫」という祖父の口癖通り、今も裏山には濱原さんの祖父の築いた石垣がたくさん残っているといいます。

農業を始めて1年目は、作業をもっと合理的にできないかと考え、農家にとって労働の40%を占めると言われる草刈りの回数を減らした結果、害獣の住処になったり、雑草から病気がついたりして、植えた農作物はほぼ全滅してしまいました。「先人の知恵にはすべて意味があると痛感しました」と濱原さんは当時を振り返ります。それから農業に関する書籍や論文を数百本読み込み、ベテランの農家に教えを請いながら立て直しを図りました。そこで出会った農法がアイメック栽培でした。

有機農業を行うには土作りに少なくとも3年の歳月が必要となりますが、アイメック栽培なら新規就農者でも農薬をほぼ使わずに健康的な作物を育てることが可能です。有機農業を目指して土作りを行う間、新規就農者の生活を収入面で安定させる新しい農法だと考えて導入に至ったとのことです。

アイメックとは、もともとは人工透析などの医療用製品に用いられるフィルム膜のこと。アイメック栽培は、この先端高分子技術を応用して開発されたナノサイズの穴が空いたフィルムの上で植物を栽培する方法です。フィルムに根を這わせることで、ごくわずかな土で栽培できるため、植物の病気の約7割を占める土壌病害と雑草は発生しません。さらに、フィルムは余分な雑菌や水分を根に通さず、浸透圧効果によって養液の吸収力を高めるため高栄養価・高糖度の作物を育てることが可能です。

濱原さんは、石が多く竹林に囲まれた水田にアイメック栽培用試験棟を補助金で導入し、フルーツトマトの栽培に着手しました。

 

土の下に敷かれている透明なシートがアイメックの特殊フィルム

 

 

『リモージュ農園』では、フルティカという品種から厳選した『白蜜トマト』というオリジナルブランドに力を入れています。フルティカは50〜60gの中玉トマトですが、『白蜜トマト』はその3分の1の大きさで、糖度が18度もあります。「ひと口食べてもらったら他のトマトとの違いがわかるように育てました」と濱原さん。トマトが一番おいしくできる12月から4月にかけての5ヶ月間のみに生産を限定しているそうです。現在の主な販路は、道の駅や喫茶店、地元の旅館です。特に旅館へは毎週数10キロ以上を納品しており「ハウス農園を増設して生産量を増やさなければならないほどになりました」と、来年度に向けて準備を進めているそうです。

 

挾間町にあるデザイン会社『RAI-S』の協力によるパッケージ

 

リモージュ農園では、酵素シロップ、コンポートゼリー、コンフィチュールなど、トマトを用いた加工品の生産にも取り組んでいます。これらは自社ECサイトや大分市大在にある『カフェ・リモージュ』で購入できるほか、由布市のふるさと納税の返礼品にもなっています。「大切な方へ、想いを伝えるプレゼント」というコンセプトでデザインされた、ハート型のボックスにトマトを詰めたギフト商品も人気が高いそうです。

 

 

『リモージュ農園』で栽培されたトマトとハーブを使用した加工品のブランド『LIMOGES FARM』

 

 

大分市大在にある『カフェ・リモージュ』では、『リモージュ農園』で栽培された新鮮野菜がふんだんに使用された料理を楽しめる

 

国内の多くの地域と同様に、由布市も農業の担い手不足や高齢化などの問題を抱えています。

UターンやIターンによる新規就農者も少しずつ増えてはいますが、初心者にとって農業経営は資金や設備の面でのハードルが高く、継続が困難になって去っていく人も多いそうです。

自らも全く異分野から農業経営へ参入した濱原さんは、様々な農業者の会に所属し、新規農業従事者が孤立しないよう情報交換の場や助け合える環境づくりを目指して、農業仲間とともに「由布市わくわく農業会議」を定期的に開催しています。

「農業に興味を持っていただくとともに、由布市のような中山間地域を好きになってもらえれば」と、インターンの受け入れに積極的に取り組み、今年からは農村民泊も始めたそうです。現在は湯平の温泉街でオープンするカフェの準備も進んでいます。

今後、日本GAP協会(JGAP)認証の取得により労働環境を整備し、ハサップ(HACCP)認定を受けた加工場で世界の流通に乗る商品を生み出すことで、中山間地域で安定した雇用を創出していきたいとの目標も語っていただきました。

 

美しい段々畑は、中山間地という厳しい自然環境と向き合いながら、自らの手で石垣を築き開墾してきた祖先からの贈り物。それを祖父母から受け継いだ濱原さんが始めた『リモージュ農園』は、アイメック栽培や加工品の製造、農泊の開始など、次々と新たな事業を生み出しています。そこには、農業経営を通じて地域の農業を元気にしたいという、濱原さんの経営者としての強い思いを感じました。

 


株式会社 LIMOGES

住所:大分県由布市挾間町内成3270

電話番号&FAX:097-583-1614

E-Mail:info@cafelimoges.com

公式HP:http://www.cafelimoges.com