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CREATIVE PLATFORM OITA

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事例紹介

2018.01.11

クリエイティブネットワークセンター大阪『メビック扇町』レポートその1

大阪市北区扇町に、クリエイターどうしやクリエイターと企業とのコミュニティづくりを支援する施設があります。その名も、クリエイティブネットワークセンター大阪『メビック扇町』。2003年の開設から現在までに、この『メビック扇町』をきっかけに、なんと2,600件を超えるビジネスマッチングが実現しているそうです。

『メビック扇町』がどのような仕組みで、どのような事例を生みだしているのか? CREATIVE PLATFORM OITAスタッフが訪問してお話を伺いました。

 

地下鉄堺筋線「扇町」駅を出てすぐ、カンテレ扇町スクエアの3階に『メビック扇町』がある

 

こちらが『メビック扇町』の入り口

 

『メビック扇町』は2003年にクリエイティブ産業振興のための創業支援施設としてオープンしました。建物の老朽化に伴い、旧施設は2010年に閉館。2011年3月、クリエイターどうしやクリエイターと企業とのコミュニティづくりを支援する施設として、現在の場所にリニューアルオープンしました。クリエイターの「ネットワークづくり」「情報発信」「他業種とのビジネスマッチング」「プロデュース能力の向上」という4つの活動方針のもと、大阪のクリエイティブ産業の活性化のための環境づくりをおこなっています。

 

「大阪には、デザイン、イラスト、編集、映像、写真などさまざまなジャンルのクリエイターが数多く活動しています。その数は東京と比べると少ないですが、全国的にはダントツの2位なんです。そのポテンシャルをいかに広げて可視化するか。それがメビックの使命の1つです」

そう語るのは、『メビック扇町』所長・チーフコーディネーターの堂野智史さんです。

 

 

1970年代の大阪万博を契機に、大阪には質量ともに多くのクリエイティブの力が集積されたのだと堂野さんは語ります。

「当時はアナログの時代でしたので、仕事を媒介としたリアルなコミュニケーションが発達していました。『ここだけの話やで』という機密情報や、『あそこは納期守らへんから気ぃ付けや』というリスク情報まで、face to faceで重要な情報がやりとりされていて、そのことが地域のクリエイティビティの競争力の源になっていました。デジタル化と共にそれが失われつつあったことを危惧し、この時代ならではのやり方で、顔の見えるクリエイティブコミュニティを再生していく必要があると考え、取り組んできました」

 

企業とクリエイターの協働の仕方も、時代とともに変化していると堂野さんは言います。「以前は、大企業の仕事が広告代理店の采配でクリエイターに下りてきました。でも今は違います。大企業の広告宣伝機能の東京シフトが進み、広告代理店の機能が相対的に弱まるなかで、企業から直接クリエイターに仕事の話が来るケースも見られるようになりました。そんなとき、1人では難しいことも、普段から顔の見えている仲間がいれば、引き受けられることもある。クリエイティブ業界内部でのコミュニケーションと、業界の外とのコミュニケーションの場を作っていくことが重要だと感じています」

 

また、堂野さんは、「企業とクリエイターとの出会いをサポートするとき、『ニーズとシーズのマッチングが重要』と言われることがありますが、僕たちはそれをあまり信じていません」と話します。

「たとえば『Webサイトを作りたい』という企業の担当者Aさんと、Webサイトを作る技術を持つクリエイターBさんとを、ただマッチングすればいいかというとそういうわけじゃない。AさんとBさんとのあいだのいい関係が必要です。2者のあいだにいい関係ができれば、2人は何とかして一緒に目的を達成しようとします。もしAさんの課題をBさんは解決できないと考えれば、Bさんは信頼するCさんを連れてきます。また、相互の関係が良ければ、当初予想していなかった新しいものを生み出すこともあります。クリエイティブビジネスの場合、実はこういった属人的な関係こそがイノベーティブであり、重要です。なので、僕たちはその関係を作るためのコミュニティづくりを徹底的にやっています。コミュニティが熟成すればするほど、刺激を受け合って切磋琢磨したり、視野が拡大したり、関わった人自身の成長や可能性が広がります。マッチングの成果を出すことももちろん大切ですが、僕たちはそれこそが重要だと思っています」

 

そのような考え方のもと、メビック扇町では実に多岐にわたる取り組みが展開されています。たとえば、大阪を拠点に活動するクリエイターの情報を広く発信するための『クリエイティブクラスター』や『クリエイティブビジネスフォーラム』の開催、顔の見えるネットワークづくりのためのミーティングやサロンの開催など、とにかくイベント数が豊富で、多いときには週6回ものイベントを開催することもあるそうです。顔の見える繋がりづくりをいかに大事にしているかがわかります。

 

『メビック扇町』の交流スペース。ここで様々なイベントが開催される。

 

イベントのようす

 

なかでもユニークなのが、企業による「クリエイター募集プレゼン」です。これは、クリエイターと協働し新しい事業の創出や商品・サービスの高付加価値化に挑戦したいと考えている企業が集まり、クリエイターを対象にプレゼンをおこなうというイベントです。2011年にスタートして以来、これまでに46回開催され(2017年3月時点)、このプレゼンをきっかけに交流が生まれ、企業とクリエイターとの協働が実現した事例も多いのだそうです。

 

そのひとつに、「カッティングマット」の事例があります。

きっかけは、東大阪で3代続く文具事務用品メーカーのプレゼンでした。デスクマットやカッティングマットのメーカーとして培ってきた既存の技術を使って、新しい雑貨を作りたいというプレゼンに対し、あるデザイナーが「奇をてらったものではなく、技術をちゃんとブランディングしませんか」と、販路まで視野に入れたブランド戦略を立てることを提案しました。そこから議論を重ね、基幹商品であるカッティングマットに着目しなおし、2年の歳月をかけてモノクロデザインのカッティングマットを開発・販売しました。『創造をサポートする』をコンセプトに、従来は表面に印刷されていた方眼の白線を印刷せず、1センチ目盛りの白いドットだけがデザインされています。それまでとは違う展示会に出展するなどの新たな販売戦略も功を奏し、新しいマーケットの開拓に成功した事例です。

詳しくは『メビック扇町』のWebサイトでも読めますので、ぜひご覧くださいね。

 

次回は、『メビック扇町』のクリエイティブコーディネーターの方々をご紹介します。

 


クリエイティブネットワークセンター大阪『メビック扇町

住所:大阪市北区扇町2-1-7 カンテレ扇町スクエア3F

電話番号:06-6316-8780

公式HP:http://www.mebic.com