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事例紹介

2021.02.10

『メセナアワード2020』受賞 アートと技術の協働で世の中の困りごとを解決するプロジェクト

2018年にクリエイティブ相談室を活用した『鬼塚電気工事株式会社 (以下、鬼塚電気工事)』の『プロジェクトONICO』が、『メセナアワード2020』の優秀賞を受賞しました。

 

『公益財団法人 企業メセナ協議会 (以下、企業メセナ協議会)』が主催する『メセナアワード2020』は、全国の企業や企業財団などによるメセナ活動のなかから、特に優れた活動を顕彰するものです。30回目を迎える2020年度は、165件の活動から7件の活動が受賞しました。

 

鬼塚電気工事の取組とメセナ活動について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

今回の受賞について、鬼塚電気工事 代表取締役社長の尾野文俊さんにお話を伺いました。

 

尾野さんの隣にはメセナアワードの表彰状とガラスのトロフィー、ONICOの人形が飾られている

 

尾野さんが相談室を訪れた動機は自社のブランディングであり、当初は社会活動をしたいという思いはなかったといいます。

 

クリエイティブディレクターの清川進也さんとのマッチングが成立し、大分県立芸術文化短期大学の学生とも協働しながらプロジェクトを進行し、プラン策定の最終段階に差しかかろうとしていたとき、尾野さんは北海道胆振東部地震のニュースを目にします。

避難所に携帯電話を充電する人たちの長い列ができているのを見て、尾野さんはいま進めているプロジェクトで社会の大きな困りごとの解決に繋げたいと思うようになり、その提案に社員も共感しました。すぐに清川さんに相談し、プランの方向転換を図ります。

そうして生まれたのが『プロジェクトONICO』でした。

 

『プロジェクトONICO』についてはこちらでお読みいただけます。

 

大分県立芸術文化短期大学の学生との協働の様子

 

『プロジェクトONICO』では、災害時でも対応できる携帯電話の無料充電ステーション『鬼桜』と『ONICO』を大分市中心市街地に設置しました。光る桜と、オリジナルキャラクターのONICOをモチーフにしたこの充電ステーションは、電気と電気を求める人が繋がるアート作品として、地域の人に親しまれ賑わいも創出しました。

 

『ラグビーワールドカップ2019』開催時には国内外の人々で賑わった

 

この経験を通して、社内の防災意識も高まります。プロジェクトに関わったメンバーが中心となって、2019年9月には 200台の携帯電話を同時に充電できる機器を1箱に納めて手軽に持ち運べるようにした『ONICOBACO』が6箱作られました。このセットは、要請があればすぐに提供できるように、発電機やコードリールとともに整備されています。

 

メセナアワードでは、「産学官の連携により、新たな視点から確かな技術で、地域の課題に応えている」「本業で培ってきたノウハウを活かし、アートを起点に災害支援へと活動が発展している」などの点が高く評価され、受賞に繋がりました。

 

 

受賞について尾野さんは、「過去の受賞企業は長年メセナ活動に取り組んでいる団体ばかりだったので、私たちの活動が賞をいただくにはもっと時間がかかると考えていました。受賞できたのは、清川さん、大分県立芸術文化短期大学のみなさん、商店街の方々、社員、本当にみなさんのおかげです。『クリエイティブ・プラットフォーム構築事業』の取組や大分経済同友会の提言もあり、全てが相乗効果をもたらしたのだと思います」と話してくださいました。

また、実際にプロジェクトに取り組んだ社員の方々は、今回の受賞がメディアに取りあげられたり、周囲からの反響を受けたことで、自社の取組が社会的に評価されているという自覚をより強くしたそうです。

 

『検温ステーション 鬼桜』

 

現在『ONICO』と『鬼桜』は、新型コロナウイルス感染症の社会的影響を受け、非接触型検温センサーを備えた『検温ステーション 鬼桜』として、大分市中心市街地の商店街に設置されています。

尾野さんは今回の仕様変更が迅速に進んだのは、『ONICO』制作の経験があったからだといいます。社会的な課題に自社の技術で貢献していきたいという思いで、社員たちは顔認証のプログラムを組み、Wi-Fiで離れたモニターに体温を表示したり、ボード型コンピューター10台を使ったリアルタイム情報掲示装置を組み込んだり、新しいことにも挑戦したといいます。

 

最後に『プロジェクトONICO』を通して得たことについて尾野さんにお聞きしました。

「クリエイターの規格外の発想は、非常に刺激的でした。清川さんが従来とは全く異なる視点を示してくれたおかげで、目標値を達成するだけでなく、新しい価値や可能性を探り、それを実践することが、より良い仕事を提供することに繋がるのだと気づきました」

 

災害時や社会の大きな課題に直面したとき、芸術や文化活動は二の次に考えられてしまいがちです。しかし、鬼塚電気工事は自社の技術を活かした文化活動により社会課題の解決を図り、関わった人々の意識を大きく変えるとともに、社会的にも深いインパクトを残しました。

現在も『プロジェクトONICO』から発展した新しいチャレンジは続いています。これから鬼塚電気工事の取組が牽引役となり、大分県のクリエイティブを活用した産業創出や、企業独自の活動がますます盛んになっていくことを期待しています。

 

 

鬼塚電気工事株式会社 (https://www.onizuka.co.jp/)