MENU

CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

事例紹介

2020.03.26

歴史ある温泉地に情報の発信力と一体感をもたらした連続講座

今回は『長湯温泉飲食組合』とデザイナーのたなかみのるさんとの協働事例を紹介します。

 

大分県久住山系の東のふもとに位置する竹田市直入町の『長湯温泉』は、古くは藩主・藩士の湯治として利用され、世界屈指の炭酸泉湧出地として知られる、歴史ある閑静な温泉地です。『長湯温泉飲食組合』は直入町の飲食店で組織され、炭酸泉をイメージした『湯上りシャーベット』や、地元の食材を利用した組合共通メニューの開発をおこなうなど、地域を盛りあげるためにさまざまな活動を展開しています。

 

そんななか、『長湯温泉飲食組合』代表の吉野幸祥さんから「長湯温泉の知名度をあげて地域全体の集客を増やすために、新たな施策を実施したい」とクリエイティブ相談室に申し込みがありました。
吉野さんは、組合員をモデルに起用したポスターを制作し、地域をPRするとともに組合員の当事者意識を醸成したいとお考えでした。さらにヒアリングを重ねると、「共同メニュー開発の際に組合員からの積極的な発言がなく、十分な意見交換がないまま事業を実施したため、一体感が薄く、期待していた成果が得られなかった」という具体的な事例が示され、組織としての課題が浮かびあがりました。そこでクリエイティブ相談室は、長湯温泉エリアの集客増加を目指す施策と組合内の足並みをそろえるインナーブランディングを同時におこなう必要があると考えました。
このような経緯から、県内外で地域でのワークショップの設計や会議ツールのデザインを手がける、デザイナーのたなかみのるさんをご紹介することになりました。

 

たなかみのるさんに関する情報はこちら
インタビュー:http://creativeoita.jp/features/creator/parabolasha
プロフィール:http://creativeoita.jp/database/mtanaka

 

たなかさんが実際に長湯温泉を訪れてみると、インターネット地図サービス『Googleマップ』で、メニューや営業時間などの基本的な情報が公開されていない店舗が多いことに気がつきます。
「まだ長湯温泉に訪れたことがない人に向けてポスターを制作するよりも、まずは今訪れている人、関心をもっている人に向けて基本的な情報を発信することが、地域のイメージアップに繋がるのではないか」たなかさんはこのように考えます。さらに、長湯温泉にはほとんどの観光客が自家用車で訪れているため、紙媒体ではなく、スマートフォンで閲覧可能な情報を届けることで、顧客満足度の向上が図れるのではないかと考えました。たなかさんはこれらを組合員自身が実践するために、『Googleマイビジネス』の活用講座を開催することを提案します。

 

『Googleマイビジネス』を活用すると、『Google検索』や 『Googleマップ』などへの情報の登録・管理が無料でおこなえます。活用講座は地域で事業をおこなう方を対象に、全2回にわたり開催されました。1回目の講座は自店の情報を『Googleマイビジネス』に登録するための講座です。たなかさんは、『Googleマイビジネス』を使って店舗経営者自ら情報発信をおこなうことのメリットや、サービスの仕組み、掲載のステップなどの基本的なことから、自店情報の整理の仕方、掲載すべき内容とその効果の実例など具体的なアドバイスまで、オリジナルのわかりやすいスライドを用いて紹介しました。

 

 

講座のようす。終了後は経営の悩みや地域の実情なども相談された

 

2回目はGoogleマップへの投稿を中心に、地域情報の発信についての講座をおこないました。自分の目線で発信することの重要性を体感してもらうために、参加者が個人的におすすめしたいスポットを紹介しあうワークショップがおこなわれました。このワークショップは大いに盛りあがり、自ら情報を発信することへの自信にも繋がったようでした。講座の最後には、地域情報の発信や広報に関するレクチャーもあり、参加者は来訪者がどのような情報を求めているのかを改めて認識しました。

 

2回目:ワークショップのようす

 

講座には1回目が40名、2回目が27名と、予想を上回る参加者が集まりました。講座を終えてたなかさんは「今回の講座をきっかけに、発信の手法や店舗のブランディング、お客さんにいかに口コミを促すかなど、個店の意識に変化が起きることを期待しています」と振り返りました。終了後のアンケート(回答者数22名)を見ると、100%が「わかりやすかった」、80%が「自力で登録ができそう」と回答しており、参加者の満足度も非常に高かったことがわかります。

 

吉野さんは当初、組合員の事業への参加意識が薄いことを課題に感じていらっしゃいました。しかし、ワークショップでは参加者の多くが当事者として発言し、地域への思いを共有しあう場が生まれるなど、この講座を通じてたなかさんは組織に一体感をもたらしました。この経験は、これから組合員が一丸となって事業を展開するための土台となっていくのではないでしょうか。
1人ひとりの意識が変わったことで、地域全体に小さな変化が起きつつある『長湯温泉』に、今後も注目していきたいです。