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事例紹介

2018.06.14

クリエイターとの共創で、別府の飲む温泉水の価値を視覚化『大木化粧品 株式会社』

今回は、大分市にある『大木化粧品 株式会社』の、別府の飲む温泉水のブランディングについてご紹介します。

『大木化粧品』が運営する通販サイト『コスメボックス』。このサイトで扱うオリジナル商品『桜温泉水』は、別府市堀田エリアの飲泉をボトルに詰めた商品で、口コミでの評価も上々でした。しかし、発売当初使用していた社内でデザインしたラベルのままでは、商品のポテンシャルを活かしきれていないのではないかと感じていた代表取締役の小坂越司さんは、『クリエイティブ相談室』に相談。本事業のマッチングによって出会った、アートディレクターの福田まやさんと共にブランディングに取り組みました。

 

3月2日におこなわれた『報告会』での事例報告の様子

 

はじめに、小坂さんに『大木化粧品 株式会社』の事業についてお聞きしました。

「私の祖父が化粧品の卸売会社として創業し、今年で70周年になります。その間、提携先企業が経営破綻するなど、いろいろな厳しい経験をしました。このままではいけないと思い、インターネット通販サイト『コスメボックス』を2004年に始めました。2007年には、医薬品の『大木ヘルスケアホールディングス』と資本提携し、現在は大分県の公式オンラインショップ『おんせん県おおいたオンラインショップ』の運営も行っています」

『コスメボックス』は楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤーを3度受賞し、インターネット通販業としては大分県最大規模の業績を挙げています。そして、倉庫の新設をきっかけに小坂さんは「もっと大分のいいものを取り扱って、地域に根ざしていこう」と思いを新たにしたそうです。そこで、別府市堀田エリアにある温泉施設『桜湯』の飲める温泉水を活用し、県外に向けて地域を発信する商品として販売することにしました。

「別府の源泉の多くは70~80度と高温なので、水道水や川の水で薄めて使用することもあるそうです。しかし、『桜湯』には高温と低温の源泉があり、それらを混ぜることで純度100%の温泉水が採水できます。また、水銀や酸化マグネシウムなどが含まれていないので、そのまま飲むことができます。そういうさまざまな条件が揃った素晴らしい温泉水なんです」と、小坂さんはその魅力を語ります。

ブランディング前は『別府桜温泉水』という名前で、成分と採水地を強調したパッケージで販売していました。リピーターもつき、口コミでも「飲みやすい」と高評価だったそうですが、なぜ商品のブランディングに踏み切ったのでしょうか。

 

旧パッケージ『別府桜温泉水』

 

「飲泉の身体への効能は、薬学的には証明できていないんです。なので、成分やその含有量を謳うことはできても、『身体にいい』という一言が記載できない。それが課題でした。また、社内でデザインしたボトルでは、その魅力を十分に伝えることができないと思っていました」と小坂さん。しかし、いままでクリエイターと協働する機会がなく、敷居が高いイメージを持っていました。そこで、第3者の仲介によってクリエイターと出会える『クリエイティブ相談室』への申し込みを決意したのだそうです。

『大木化粧品 株式会社』とのマッチングに至ったアートディレクターの福田まやさんは、関西や東京での広告代理店勤務などを経て2012年に大分県中津市耶馬渓へ移住し、デザイン事務所『星庭』を設立されました。福田さんのインタビューはこちらをご覧ください。

「初めて小坂社長にお会いしたとき、『大分県のいいものを紹介したい』という思いに共感しました」と福田さん。その後、小坂さんの案内で採水地である『桜湯』を訪問し、温泉水のブランディングのためのリサーチが始まります。


福田さんはまず、国内のミネラルウォーターの市場を調査、分析したそうです。
「ミネラルウォーターの1人あたりの消費量は、約20年前は約6Lでしたが、2017年には28Lと飛躍的に伸びており、20年の間に約4.5倍に増加、消費量は右肩上がりだということがわかりました。また最近は、気に入ったボトルは飲み終わっても中身を詰め替えて使い続けたり、SNSにアップする人も多いようで、味が美味しいことはもちろんですが、機能的で楽しいデザインも必要だと思いました」

さらに、各社から発売されているミネラルウォーターを『効能重視』『デザイン重視』などコンセプト別にマッピングし、目指すべき位置やターゲット層を整理したうえで、ネーミングやパッケージのデザインに取り掛かったそうです。

「販路は通信販売が主ですが、ゆくゆくはドラッグストアなど実店舗での販売もしたいという小坂さんのお考えを受け、幅広い年齢層の人に馴染みやすいネーミングがいいと考えました。温泉水であることと、日本全国で通用する『別府』という地名を柔らかいイメージで伝えたいと思い、商品名を『Beepu ゆ』としました。パッケージデザインは、別府の街にのぼる湯けむりをモチーフにし、温泉水を飲むことで、体の奥底から変わっていくようなイメージを色で表現しています」

 

完成した『Beppu ゆ』。『大木化粧品』が運営する『おんせん県おおいたオンラインショップ』でも販売開始

 

『Beppu ゆ』は5月25日に発売開始。同日から27日まで別府市で開催された『おんせん県おおいた世界温泉地サミット』に飲料として協賛し、国内外から集まったサミット公式参加者に無料で配布され、世界中から集まったパネリストと共に壇上に並ぶ姿も。同時開催の『世界温泉地観光物産展』には『Beppu ゆ』のブースも出展。

「福田さんはブースの装飾やスタッフTシャツのデザイン、制作業者の紹介など、トータルでアドバイスしてくれました。頼れる存在です」と小坂さんは語ります。

 

『世界温泉地観光物産展』のブースで完成した『Beppu ゆ』を持つ小坂さん

 

 

 

『大木化粧品』と福田さんは、長期的な契約を結んでいます。

「パッケージのデザインだけでなく、どのようなイメージを消費者に届けるのということもデザインだと考えています。情報発信はこれからです。料理人やコーヒー専門家にレビューしてもらったり、売り方や新たなサービスのあり方のアイデアなど、ひきつづき協働して取り組んでいきたいと思います」と福田さんは意欲的に語りました。

小坂さんも「企業の思いが強すぎると、状況や市場に合わせて商品を軌道修正することが難しいんです。長期的にクリエイターに関わってもらうことで、商品が完成した先のことまで相談させていただけるのは、心強いしありがたいですね」と笑顔で語りました。

この事例では、リサーチに裏付けられたクリエイティブの力によって、飲める温泉水の価値が可視化され、1つの商品に結実しました。その価値をより広く発信していくために、2者の共創はこれからも続きます。

 

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大木化粧品 http://www.ohki-net.co.jp/ohki-group/ohki-cosme.html

『おんせん県おおいたオンラインショップ』 https://www.rakuten.ne.jp/gold/onsenken-oita/

福田まやさん http://creativeoita.jp/database/fukuda/

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