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CREATIVE PLATFORM OITA

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事例紹介

2020.06.25

クリエイターならではの推進力で共感を生み、支援を届ける仕組みづくり

全国的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染拡大のリスクを鑑みて、今年の3月上旬より大分市中心部でも飲食店が多く集まる繁華街の客足は激減しました。緊急事態宣言解除から1ヶ月以上経ったいまでも、以前のような賑わいはまだ戻っていません。

このような状況のなか、全国各地で実施されている飲食店支援の取組の1つとして、クラウドファンディングが挙げられます。大分県内でも「大分県デザイン協会(以下、デザイン協会)」が実行委員となり、『おおいた喰らうどファンディング』が立ちあがりました。大分市内の飲食店に支援金を届けるこの取組は、クリエイター独自の視点や職能で価値を生み、1ヶ月間で目標金額を3倍以上も上回る11,328,000円の支援金を集めました。

 

この取組について『おおいた喰らうどファンディング』実行委員で、デザイン協会 会長の越田剛史さんにお話を伺いました。

 

「デザイン協会 副会長の今永 学さんから、困窮する飲食店に協会として何かできることはないかと相談されたのがきっかけでした。誰かがやらなくてはいけないことですが、誰かがやるのを待っていたのでは遅い。このように社会全体が切羽詰まっている状況で、スピード感をもって行動できるのはクリエイターだと思ったんです」

 

即日、9人の有志によって実行委員会を立ちあげ、毎日4、5時間におよぶオンライン会議を重ね、クリエイティブの指針やビジョン、コンセプトを立て、通例にとらわれず、いち早く支援に繋げるための独自の仕組みを構築していきました。

 

オンライン会議では日々、多くのことが話し合われた

 

仕組みづくりについて、越田さんは次のように語ります。「他都市で成功したクラウドファンディングの事例を調べると、返礼品として支援金以上の金額相当の飲食券を贈る例が多いことがわかりました。

このように支援者にとってお得になるシステムでは、一時的に支援できたように見えても、食事券を利用するお客さんが来れば来るほど飲食店に負担がかかってしまいます。そこで募金付き食事券タイプ、食事券タイプ、そして支援金全額を募金するタイプの3つの支援の形を作りました」

 

仕組みをわかりやすく図解したイラストが使われた

 

クラウドファンディングで支援する主な動機は、共感と返礼品です。一般的には思いや窮状を伝えて共感を呼ぶとともに、魅力的な返礼品を用意することで支援を募りますが、この取組では危機的な飲食店の立場を最優先し、支援の動機を共感に絞り込んだのです。

また、今後を見据えて、まずはこの取組を確実に成功させる必要があると考え、支援地域は大分市に限定しました。

 

『おおいた喰らうどファンディング』で利用したクラウドファンディングサイトは『sandwich』でした。選定理由をお尋ねすると、「大手のクラウドファンディングサイトのほうがシステム面でも手数料の面でもメリットもありました。しかし、ビジョンに沿って地域で一体となって取り組むことの意義を優先して、地元新聞社が広告とPRでサポートしてくれる『sandwich』に決めました。当初『sandwich』にはコロナ対策への優遇措置はありませんでしたが、有志の1人が運営企業に働きかけ、全てのコロナ対策プロジェクトを対象にシステム手数料を引き下げてもらえることになりました」と越田さん。

『sandwich』では、最大80日間プロジェクトを実行できますが、1日も早く飲食店に支援金を渡すため、30日間と短期間に設定したそうです。

 

おしらせに使われているグラフィックはクリエイターならでは

 

『おおいた喰らうどファンディング』は、4月23日に飲食店募集のリリースを出しましたが、当初はなかなか理解が得られず、思うように参加店が集まりませんでした。そこで、メリットをまとめたチラシやWebページを作成したり、地道に飲食店を巡っては直接説明をしたりして、参加を呼びかけていきました。その甲斐もあってか、5月1日に『sandwich』のプロジェクトページに参加店舗が公表されると、その日のうちに新たに50店舗が参加し、最終的にはおよそ200店舗まで広がりました。

 

一般的に、クラウドファンディングはプロジェクト初日に目標金額の3分1が集まらなければ成功しないといわれています。しかし、初日の支援額は目標金額3,000,000円に対して500,000円に留まったそうです。そこで、大分県内のクリエイターがプロジェクトを盛りあげるため、飲食店への応援のイラストや映像、グラフィックなどを「クリエイターズメッセージ」としてSNSで配信しました。

 

「クリエイターズメッセージ」 (左)  返礼品のTシャツ (右)

 

さらに、プロジェクトスタートから20日間が過ぎたところでクリエイターズメッセージのイラストを使用したTシャツを返礼品に追加すると、Tシャツ付き支援は最終的に180口にものぼりました。

 

このようなクリエイターの推進力もあり、『おおいた喰らうどファンディング』は30日間で1,788口、総額11,328,000円を達成しました。金額の大きさはもちろんですが、越田さんは「最も多かった支援のタイプが募金付き食事券だったこと、そして多くの支援者の応援メッセージが添えられていたことで、この取組の成功を実感した」と言います。この結果は、返礼品の魅力ではなく、飲食店を支援したいという気持ちや取組への共感の現れです。緻密にこのクラウドファンディングの方針を考え抜いて走り続けてきたメンバーにとって、まさにクリエイティブの力が実を結んだと感じられる結果だったそうです。

 

呼びかけや、終了報告に使われたグラフィックは実行委員によるもの

 

「この成果が出たのは、半分はクリエイティブの力であり、もう半分は人に直接会って、協力を呼びかけたからだと思います。この取組を通じて、仕組のデザインこそがクリエイティブの大きな役割であるということ、そして思いの強さが実行力を生むということを改めて感じました。用意周到であることは重要ですが、それに加えてどれだけ手や足を動かして人と関わったか、どれだけ実際に動いたかが結果に繋がるのだと実感しました」と越田さんは振り返ります。

 

県知事にも会って趣旨の説明をした

 

この取組には「考えることをやめない。行動し続けることをやめない。絶対にあきらめない」という意味を込めた、「the SHOW must GO on!」という合言葉が掲げられていました。その言葉の通り、クリエイティブの力を信じて考え抜くこと、行動し続けることをやめなかったクリエイターの強い思いが、多くの人々の共感を集め、大きな支援となって飲食店に届けられました。

 

越田さんたちは、今後『おおいた喰らうどファンディング』の仕組みを必要とする方々に無償提供し、より多くの地域に役立ててほしいと考えています。そのため、短期間で成功事例を生まなければならないという強い意志があったのです。実際に、既に導入を進めている地域もあるそうで、今後はデザイン協会がアドバイザーとなり、クラウドファンディングの活用支援を進めていくということです。

 

 

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大分県デザイン協会 https://www.design-oita.jp/

 

sandwich[おおいた喰らうどファンディング]

https://sandwichcrowd.com/project/detail/626

 

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