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CREATIVE PLATFORM OITA

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事例紹介

2017.10.12

クリエイティビティが生まれる街! ポートランド

オレゴン州ポートランドは、「全米で最も住みやすい都市」「全米で最も環境に優しい都市」「全米で最も自転車通勤に適した都市」など、数々の全米ランキングで第1位に選ばれたことのある街です。近年は日本でも、その都市の構造やライフスタイルが注目され、メディアに取り上げられることが増えてきています。

2017年6月、さまざまな視点からクリエイティブな都市と評されるポートランドの魅力の秘密を探るべく、山出編集長が視察に訪れました。

 

視察の拠点とした『ACE HOTEL』は、90年前に建てられたホテルを活用したデザインホテルです。ペンドルトンのブランケットをはじめ、地元企業の製品や地域に古くから根付いているものを設備として多く採用していました。サードウェーブコーヒーの火付け役と言われている『STUMPTOWN COFFEE ROASTERS』も併設され、1階のラウンジは宿泊客のみでなく、近所の人々もコーヒーを片手に寛ぐ憩いの場となっていました。

 

地域のアーティストがデザインした客室

 

 

街のことを自分のこととして捉え、地域の未来を考える

 

まずはポートランドの街の成り立ちについて、元ポートランド開発局の山崎満広さんにお聞きしました。

元ポートランド開発局の山崎満広さん

 

ポートランドはかつては小麦や毛皮の輸出がさかんな都市で、農業と林業で急成長を遂げました。1930〜40年代には市の中心に流れるウィラメット川沿いが工業地帯として発展しますが、1960年代になると工場の排水により急激に汚染が進みます。とうとう全米で最も汚染された川と呼ばれるまで環境が悪化していた1967年、トム・マッコール氏のオレゴン州知事当選を機に、ポートランドは約半世紀で環境先進都市として世界中から注目されるほどに復活しました。

トム・マッコール氏は『都市成長境界線』を策定するなど環境再生へと大きく舵を切り、現在のポートランドのまちづくりの基盤となる政策を整備しました。それに加え、山崎氏は「自分たちの街や暮らしを守ろうという市民の意識が強かった」と語ります。ポートランド市民は自分たちが住む街のことを、自分ごととして捉えています。その意識こそが、魅力的な街を形作るうえで、重要なことなのでしょう。

 

交通事故抑止を目的に、ストリートペインティングや作品設置が施された交差点

 

具体例としては、市民主体で制作されたストリートペインティングがあります。これは、交差点をカラフルにペイントしてドライバーの目を引くことで、スピードの出し過ぎを防ぐことができるのではないかというアイデアから始まった活動です。交差点の周辺にはカラフルなベンチや柱、アート作品なども設置され、地域住民が自らの手で住みやすい環境を作ろうとしていることが感じられました。

 

 

 

多様性を受け入れ、発展する街

 

次いで、留学や視察をコーディネートする旅行会社『US-J CONNECT』の宮⽯具朗さんに街を案内していただきました。宮⽯さんは「訪れた人々にポートランドの街やクリエイターを紹介することで、新たな化学反応が起こることが何よりも嬉しい」と言います。

案内人の宮⽯さん(左)

 

 

まず訪れたのは、オーガニック商品を中心に可能な限りローカルな商品を取り揃えている『New Seasons Market』です。「The Friendliest Store In Town(街で一番フレンドリーな店)」がスローガンのマーケットで、同店が建つと周辺の地価が上がるとも言われています。

青果売り場の壁には生産者の写真が飾られ、地産地消の商品であることが伝わるよう売場が構成されていました。

また、店内で売られているものはなんでも試すことができ、品質に納得してから購入することができるというスタイルが印象的でした。

『サスティナブル・シーフード』と題された鮮魚コーナーでは、絶滅の危険度を緑・黄・赤で色分けすることにより、買い物をしながら日常的にサステイナブル(持続可能性)を意識できる仕組みになっていました。

 

鮮魚コーナーのプレートの色は絶滅危険度を示している

 

 

街の中では多くのフードカートを目にします。その数は数百にも及び、店のジャンルもバラエティ豊か。ここでの出店を機に、実際に店舗を構える人もいるそうです。

 

 

『Spin Laundry Lounge』は、カフェやバーが併設されたコインランドリーです。開放的な空間には大きなソファが設置され、ビールを片手にくつろぐ人の姿も見られました。退屈なコインランドリーでの待ち時間を豊かなものへと転化する、実にポートランドらしいサービスです。

 

 

非営利団体の運営する建築資材リサイクルセンター『The ReBuilding Center』には、改装や解体で不要になった資材が大きな倉庫に所狭しと並べられています。不要となった廃材の利活用による環境配慮と、自らの手で工夫してより良くしていこうというDIY精神が融合された、ポートランドという都市の理念を具現化したような店でした。

ポートランドでは都市機能を中心部に集中させ、徒歩20分圏内で生活に必要なものが全て揃う『コンパクトシティ』として生活利便性を確保していますが、少し郊外に足をのばせば雄大な農地や自然が広がっています。約40年かけて実現されたこのユニークな都市計画により、ポートランドの人々の豊かなライフスタイルは育まれてきたのかもしれません。

現在、週に300人程増えているというポートランドの人口。この豊かさに魅せられ移住する人が増え、街に多様性やクリエイティビティが生まれ、発展を遂げているのでしょう。人が街を作っていく。「ポートランドの魅力は、人なんです」という宮石さんの言葉が印象的でした。