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CREATIVE PLATFORM OITA

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事例紹介

2018.02.08

クリエイターの視点が企業理念や経営にもたらす影響 『いいちこ』

 

前編に引き続き、麦焼酎『いいちこ』をはじめ、各種アルコール飲料を製造販売する県内最大級の酒類メーカー『三和酒類 株式会社』とデザイナー・河北秀也さんの協働事例をご紹介します。

 

まるで物語の一部分を切り取っているかのような、深い世界観で多くの人の共感を呼んでいる『いいちこ』のポスター。そこには、アートディレクションを手がける河北さんから三和酒類に向けたメッセージが込められたものも多くあるといいます。
河北さんは『いいちこ』が高いブランド力を持ち続けるために、時にデザインによって企業理念や経営のあり方を示す役割も担っているのです。

 

このポスターには「焼酎のイメージを引き上げるためには、stray bird (=はぐれ鳥) のように、ものづくりに対する強い信念を持たなければならない」というメッセージが込められている

 

河北さんとの協働が始まったばかりの頃、顧客層を把握するために市場調査をしたところ「男性」「年収600万円」「日経新聞や朝日新聞を愛読している」などの像が浮かび上がりました。三和酒類の西 太一郎会長は「さらに顧客を拡大するために、女性向けにも広告を掲出したい」と河北さんに相談します。
そこで「じゃあ、あなたの奥さんや娘さんにもどんどん飲ませていいんだね」と言われ、「それは困る」と応じた西会長に、河北さんは「致酔飲料を造っているという自覚を持ちなさい」と言ったそうです。

 

「どんなにいい商品だったとしても、アルコール飲料を飲めば必ず酔っ払います。それを酒造メーカーとして自覚し、誰に売るべきかということを考えるべきだ。河北さんはそう伝えてくれたんですね」と西会長。現在でも三和酒類ではテレビコマーシャルの放映も時間帯を考慮しているということでした。

 


さらに西会長は「我々のライバルは、ベンツなんですよ」と言います。
「自動車に乗っているときは絶対に『いいちこ』を飲まないでしょう? 好きな車を運転するよりも、『いいちこ』を飲むことを選んでもらわなければならないんです。誰もが1日に24時間しか持っていない。その貴重な時間をいかに使ってもらえるか。これからのものづくりは時間の取り合いなんですよ」この考え方も、河北さんとの対話のなかから生まれたのだそうです。

 

河北さんとの協働は、ものづくりの精神を高めることにも繋がっています。「河北さんが考えることに負けない品質でなければならないんです。一方がイメージを高めても、もう一方の輪が追いつかなければダメなんです。広告のイメージで飲んでみたものの、二度と飲んでもらえないような商品ではいけない。だから、常に高い品質を生み出せるよう意識しています」と西会長。

 

『いいちこ』のフラスコボトルは、それまでの焼酎のイメージを大きく変える美しいボトルデザインでも話題となりました。その製品化にあたっては、美しいボトルにふさわしい焼酎を創ることに励んだそうです。「中身が同じなのに衣だけ変えるようなことはしません。ボトルが違えば全部中身も違う。人間と一緒で、衣も中身もどちらも大事なんですよ」

 

 

最後に、大分県を代表する企業である三和酒類が事業展開のうえで大事にしていることを訊ねると「経済を回していくためには、自社の儲けだけを考えていてはいけません。この先、人口は必ず減ります。誰もがその自覚を持ち、日本がどうあるべきかを考えなければならないと思っています」とお答えいただきました。

 

今回は事例紹介の特別編として、三和酒類とクリエイター・河北秀也さんとの協働を例に、CREATIVE PLATFORM OITAが目指す新たな産業創出のロールモデルとなる非常に重要なお話を聞かせていただきました。
約40年間にも渡る長期的な協働は、互いに強い信頼がなければ実現しません。このように国内でも稀な事例を持つ企業が大分県にあるということを誇りに感じるとともに、これからこうした事例が県内に数多く生まれるために、一層尽力していきたいと気持ちを新たにしました。

 


三和酒類 株式会社

住所:大分県宇佐市大字山本2231番地の1

電話番号:0978-32-1431

公式HP:https://www.iichiko.co.jp