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事例紹介

2017.09.14

テント屋のイメージをかっこよく! 佐藤防水店のプロモーション

工業地帯の広がる大分市西新地。ここに工場を構える『有限会社 佐藤防水店』は、住宅装飾用テントやシート等を専門に製造・販売する傍ら、テントに使用する厚手の帆布を使ったバッグを作っています。シンプルなデザインのバッグは、Webサイトで自由にカラーオーダーができ、選ぶ楽しみもあります。

今回は『有限会社 佐藤防水店』代表取締役の佐藤晃央さんを取材し、バッグ制作を始めたねらいや、その成果についてお話を伺いました。

 

 

佐藤防水店は1951年にトラック用シート専門店として、佐藤さんの祖父が大分市豊町で創業しました。設立当初は近隣に大規模な製鉄所があり、運送用トラックに取りつけるシートの受注生産が活発に行われていたそうです。その後テント生産部門が開始され、現在まで中心事業となっています。

佐藤さんは、自社に入社する前はアパレル会社に勤務していました。そこで得た経験や人脈が、後のバッグ事業の構想に繋がっていったそうです。

 

佐藤さんが佐藤防水店に入社した当時は、テントの需要が下がっていました。そこで、専門業者だけでなく消費者に向けたプロモーションが必要であると感じた佐藤さんは、佐藤防水店の屋号を消費者に知ってもらうために、テント屋ならではのバッグの製造・販売の構想について、当時の社長だった母親に相談します。異業種への参入ということで当面は反対を受けましたが、「悪い時期こそ攻めるべき。守りに入ると衰退しかない。この状況を打開するためにも新しいことを始める必要がある」と説得を重ね、バッグ部門の立ち上げに踏み切りました。

 

デザインは社内で何度もアイデアを交換し、試作を重ねて決めました。バッグ本体に使用する生地は、帆布のなかで最も厚い27.8オンス。ジーンズの倍の厚さがあるため通常のミシンでは針が通らず、国内では雑貨展開されていない生地ですが、テント製造用のミシンなら馬力があるので縫製が可能です。

 

現在は10種類以上のタイプが生産されている

 

バッグ制作に使用されているテント製造用ミシン

 

初めに取引をしたのは東京の有名百貨店でした。佐藤さんのアパレル会社勤務時代の知人が紹介してくれたバイヤーが、テント会社が作る珍しい素材のバッグという特徴に商品価値を見出したのがきっかけとなりました。「地方から出発したブランドを全国に浸透させるために、トレンドの発信先である東京を中心に営業に行きました」と佐藤さん。バッグの知名度が徐々に上がり生産数が増えると、それに伴い雇用も2倍に増えたそうです。

さらにバッグの売り上げ増加につながったのは、県内デザイナーと制作した自社のWebサイトでした。このサイトでは、バッグのパーツごとに色を指定でき、自分だけのオリジナルデザインとしてセミオーダーできます。はじめはPC用サイトのみでしたが、スマートフォンにも対応させると、スマホユーザーを中心に閲覧数が1.5〜2倍に増加したそうです。

 

当時のシステムでは難しかったカラー選択機能を可能にし、操作性の手軽さと選ぶ楽しみが備わったWebサイト。 デザイン:デザインンマップ、サイト制作:Design totte

 

佐藤さんは2012年に代表取締役に就任し、2014年に豊町から西新地に工場を移動。同時にバッグの縫製現場が見学できる工場併設型のライフスタイルショップ『SEW(ソー)』をオープンしました。「帆布に触れてもらいたい」と、佐藤さんは語ります。

 

1階は工場。階段を登った先にショップ『SEW』 の店舗がある

 

 

 

 

 

店舗に入るとミシンの音が聞こえる

 

バッグの生産とショップを始めたことにより、佐藤防水店の事業はB to BからB to Cにも展開していきました。バッグの販売のみでなく、自宅のガレージや庭の日よけに使うテントなどの受注も増え、テント部門の総売り上げの3〜4割はB to Cとなっています。バッグ部門を立ち上げる際に、異業種に参入して攻めるべきと考えた佐藤さんのビジョンが、実現しつつありました。

 

佐藤さんの目標は、佐藤防水店が創業100年を超えること。「考える事は重要ではなく、まずやってみて可能性を探る事のほうが重要」と、現在はバッグ部門以外にも、アパレルや店舗内装、リフォームなどの事業も展開しています。

その背景には「両親が他界してから社長に就任したので、助言が得られず苦しい時期もありましたが、自分で判断して実行できるという自由さもあります。両親の死を経験して時間の有限さを実感したので、頭のなかの構想はすぐに実行しないと後悔すると思っています」という佐藤さんの思いがありました。

斬新なアイデアと自社の技術を縫い合わせることで、B to Cの販路を切り拓くことに成功した佐藤防水店。帆布バッグの商品開発や直営店『SEW』の運営は、自社の強みを表現し伝えるビジネス展開のアイデアとして、参考になる事例でした。

 


有限会社 佐藤防水店

住所:大分県大分市西新地2丁目1-4

電話番号:097-579-6500

公式HP:https://sato-bosui.com