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事例紹介

2017.12.21

クリエイターとの協働によって獲得した10%の成果 佐藤農園『訪花の星』

 

大分県宇佐市院内の佐藤農園は、無農薬ゆずとしてはめずらしい大規模農園です。農園主の佐藤敏昭さんは、国東市安岐町で特殊塗装と印刷の工場長を長く務め、退職後の2007年に生まれ故郷である院内で実家の農園を継ぎました。

佐藤さんが農園を継いだときに守りたいと決意したもの、それは祖先が作ったゆず畑でした。佐藤さんが院内に帰ってきたときには、このゆず畑はすっかり荒れ果てていたそうです。その光景に過疎化が進む院内の状況を重ね合わせた佐藤さんは、「無農薬ゆず作りが継続できたら、何かが変わるかもしれない」と考え、10年かけてゆず畑を再生させたそうです。

 

 

農園を訪問したのは、青ゆずの出荷を間近に控えた8月末。ゆずの木には、蜘蛛の巣やセミの抜け殻がたくさんついていました。それは、この農園の土がいかに健康かという証。九州で唯一オオサンショウウオが生息する、地元の健康な土と水で育まれたゆずは『ハンザキ柚子』のブランド名で、ゆず胡椒用として市場に出回っています。

「9月5日から20日までのゆずが最もおいしい時期に収穫し、本物のゆずの味と香りを損なわないよう、すぐに発送します。だからその時期はずっと家にいないんですよ」と佐藤さん。花の時期に農薬を使用すると、薬剤散布後90日間は収穫できないため、9月初旬からの出荷しかできません。つまり、ゆずが青い7月頃から収穫できるのも無農薬ゆずならではなのだそうです。

 

無農薬であることが『ハンザキ柚子』の最大の価値である反面、『訪花害虫(ほうかがいちゅう)』による被害に遭ってしまうという大きな悩みがありました。花の時期にこの虫が蜜を吸うため花に入ると、実に傷が付き、著しく商品価値が下がってしまうのだそうです。

佐藤さんは、国東市内で工場に勤めていた時代に知り合ったイラストレーターの中野伸哉さんにこれを相談すると、中野さんは「『訪花害虫』って、綺麗な名前だね」と言ったそうです。中野さんは「害虫が来るということは無農薬の証でしょう」と、この傷を『訪花の星』と名づけて、商標登録をすることを提案しました。

この提案を受けた佐藤さんは「当初は戸惑いがあった」と言いますが、結果として無農薬のゆずの価値を発信するためにこの名前を掲げたことで、ブランドとして認知され、銀座のレストランのシェフやフランスのオリーブオイルメーカーをはじめ、多くの顧客がついたのだそうです。

中野さんがプロデュースした『訪花の星』

12月に再度訪問した佐藤農園では黄色く熟したゆずの出荷時期

 

現在、佐藤農園が独自の販路で販売できているのは全体のうちの10%ほどで、残りの90%はJAを通じて農薬を使用したゆずとともに販売されているそうです。今後ますますの差別化を推し進めることが課題ではありますが、クリエイターとの協働によって獲得したこの10%の成果は大きな1歩です。

「自分の納得する値段で青果を販売することで、地域に定着させ、継続させていきたい」と、佐藤さんは力強く語っていました。

 

 

 


佐藤農園

住所:大分県宇佐市院内町岡216

電話番号:0978-42-6683