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事例紹介

2019.12.26

老舗精肉店が展開する、肉の専門家がいる、肉のセレクトショップのブランディング

今回は、『クリエイティブ相談室』を活用した事例として、大分市の『有限会社 九州食肉学問所』とアートディレクターの櫻井暢子さんとの協働についてご紹介します。

 

『有限会社 九州食肉学問所』は、1959年大分市鶴崎にて創業した老舗精肉店です。創業時の屋号は『鶴崎 肉の木村屋』でしたが、3代目の山崎昌彦さんが事業継承した際に、現在の社名に変更しました。当時、BSE問題や牛ミンチ偽装など、食肉業界ではさまざまな事件が相次いでいました。「信頼を取り戻すために、まず売り手が食肉のことをしっかり学び、安心・安全で美味しい商品をお届けしたい」という想いを込めて、山崎さんは社名を『九州食肉学問所』に変え、ご自身も『社長』ではなく『学長』と名乗るようにしたのだと言います。『九州食肉学問所』は、「日本の食卓に笑顔と活力を」というビジョンのもと、「食肉専門店として人々の健康を考え、栄養価の高い商品の生産と販売をおこなう」ことをミッションに掲げ、現在はネットショップ『九州肉屋.jp』での精肉の販売と、バーベキューセットの宅配サービス『楽Q便』を軸に、事業展開をしています。

 

山崎学長と最初にお会いしたのは、『クリエイティブ相談室』の説明会のときでした。ネットショップでの売上が伸び、今後の展開をどうしていくのがいいのか考えていたときに、何かヒントになることがあればと思い、参加してくださったのだそうです。その後、相談員による複数回のヒアリングを経て、大分市を拠点に活動するアートディレクターの櫻井暢子さんとのマッチングに至りました。

 

櫻井さんは、2016年にデザイン会社『unid 株式会社』を立ち上げ、さまざまな企業や商品のロゴやWebサイト、販促物などの制作にたずさわってきました。これまでにも当相談室を通じて、『合同会社RSB』『きものかふぇ ゑり章』との協働の実績をお持ちです。櫻井さんのインタビューはこちらでお読みいただけます。

 

クリエイターとの協働は今回が初めてだったという山崎学長。「心配が全くなかったわけではありませんが、『クリエイティブ相談室』が推す方なので信頼してやってみようという気持ちが勝りました。調べてみたら、注目していた商品のパッケージデザインも櫻井さんの仕事だったと知って、縁を感じました」

 

山崎昌彦学長

 

2者の協働は、具体的にはどのように進んでいったのでしょうか。

「新店舗のブランディングをお願いしました。ロゴマークを作るとき、櫻井さんは会社全体のビジョンや事業のあり方などを丁寧にヒアリングし、それをもとにデザインを提案してくれました。櫻井さんと話すことで、自分もいろいろと考えるきっかけになりましたね」

 

櫻井さんは新店舗を「本当に美味しい肉だけを取り扱い、肉の専門家がいる、肉のセレクトショップ」と位置づけ、顧客とのコミュニケーションの場としてブランドを構築することを提案しました。

 

「山崎学長は、肉の選び方や食べ方だけでなく、食について幅広く研究されていて、知識も豊富です。その価値をきちんとお客様に対して表現し、提供することが重要だと考えました。また、すでにバーベキューセットの宅配サービス『楽Q便』を展開していましたから、その利用者に訴求する一貫したコンセプトが必要だと感じました」と櫻井さん。このような考えのもとに、店舗の名称やロゴマーク、販促ツールを制作しました。

 

『BBQ×BEEF専門 肉屋』のロゴ

 

販促ツール「肉ティッシュ」

 

「店舗名とロゴで、ターゲット層にダイレクトに訴求することを狙いました。また、ノベルティは、もらったときに面白いと思えるインパクトのあるものにしました。このノベルティをきっかけに、店舗のイメージが醸成していってほしいと思っています」と、櫻井さんは話します。

 

また、当初制作する予定のなかった、山崎学長の想いが書かれたパネルや、店名の書かれたのぼりも櫻井さんからの提案で作ることにしたそうです。パネルに書かれたキャッチコピーや文章も、シンプルで力強く、インパクトがあります。

櫻井さんからの提案で制作したパネル。山崎学長の想いをダイレクトに伝え見る人に驚きを与えるシンプルなデザイン

 

「このパネルのおかげもあって、お客様とのコミュニケーションが生まれています。商品の産地や調理法はもちろん、どういう餌を食べてきた牛の肉かなどを話しながら販売しています。3月にオープンして以来、おかげさまで目標としていた月商は達成しています。特にリピーターのお客様が増えています。肉そのものや値段だけを見てではなく、お店や僕たちスタッフを信じて買っていただけているのが嬉しいですね」と山崎学長。

 

一人ひとりのお客様に時間をかけて向き合い、商品の価値や自分たちの思いをきちんと理解してもらったうえで、買っていただきたい。『九州食肉学問所』が目指す、顧客とのコミュニケーションの場づくりが、櫻井さんのブランディングした新店舗で着実に実現していることを山崎学長のお話を聞いて実感しました。

 

最後に、これからの展望を山崎学長にお伺いしました。「今後はギフトやパッケージにも取り組めたらいいなと考えています。これからも、他所にはないスタイルのお店づくりをしていきたいですね」さらに、将来的には自社牧場を経営したいと明るく語る山崎学長。クリエイティブの力を取り入れはじめた『九州食肉学問所』の、今後の展開に引き続き注目していきたいと思います。