MENU

CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

事例紹介

2019.08.08

ウェールズの産業遺産スレート採石場が人気のアドベンチャーリゾート施設へ『SLATE MOUNTAIN』

イギリスを構成する4つの国の1つであるウェールズ。2019年9月に開幕する「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」で別府市が公認キャンプ地となっていることもあり、関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回はそのウェールズの、産業遺産を活用した新たな動きについてご紹介します。

 

ウェールズは日本の四国ほどの面積と人口で、国土の約20%が国立公園に指定されている自然豊かな国です。産業革命時代の1800年代後半から、石炭、銅、鉄、スレート(粘板岩の屋根材)関連の産業が発展しました。なかでも北ウェールズではスレート産業が発展し、Blaenau Ffestiniog(ブレナイ・フェスティニオグ)はウェールズ最大級のスレートの供給元となりました。しかし、大恐慌と第二次世界大戦に加え、代替の屋根材の台頭もあり1970年代には北ウェールズほとんどの採石場が閉鎖に追い込まれました。

 

Blaenau Ffestiniog にある『Llechwedd採石場』は、このスレート産業の衰退を受け、1972年より採石場を一般に公開し、見学の受け入れを開始しました。2014年には本格的なレジャー業界への参入を決断し、ワイヤーを滑車で滑り降り、絶景とスリルを味わえる人気のアクティビティ『ジップライン』を運営する会社と提携した多角的な経営戦略を発表します。
2018年には、イギリスで初となる産業遺産とアトラクションの両方を楽しめるアドベンチャーリゾート施設『SLATE MOUNTAIN』としてリニューアルしました。ここでは元軍用トラックで採掘現場を訪れるツアーやイギリスで最も急なケーブルカーに乗る洞窟探索ツアー、採石場跡を覆う1.8キロの『ジップライン』や、地下の洞窟で楽しめる巨大なトランポリンワールド『バウンス・ビロウ』などの体験ができます。

 

ウェールズ政府提供

 

さらに、スレートの運搬に使用していた約100年前の蒸気機関車を観光鉄道に転用、敷地内に6つの高級ロッジを建設するなど、ウェールズ政府の援助を受けながら大規模な投資をおこないました。その結果、『SLATE MOUNTAIN』は年間22.5万人以上が訪れる人気の観光施設となりました。

 

施設内を周遊する蒸気機関車の車窓からは雄大なウェールズの景観を楽しめる

 

また、温度と湿度が一定である採掘場跡の洞窟を活用し、商品開発もおこなわれています。ウェールズの大手農家による酪農協同組合『South Caernarfon Creameries』と提携し、ここで3か月間熟成したオリジナルチーズ『Welsh Slate Cavern Cheddar cheese』は、施設内のカフェだけでなく地元のスーパーマーケットでも販売されています。

 

 

『SLATE MOUNTAIN』は、アドベンチャーリゾート施設ですが、外観や建物の内部構造は多量のスレートに覆われた山の中の採石場そのものです。この土地が持つ特性や歴史を活かしてリニューアルしたことで、100年以上前の産業遺産と近代的なレジャー施設が融合した、ここにしかない独自性と非日常性が訪れる人々を魅了しつづけているのでしょう。

 

2020年春には、かつて邸宅だった鉱山管理事務所を再生させた4つ星ホテル『Slate Mountain Lodge』の開業が予定されています。これからの『SLATE MOUNTAIN』の展開に目が離せません。