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事例紹介

2020.09.24

障がい者の仕事、生活、スポーツを体験できる「太陽ミュージアム~No Charity, but a Chance!~」

別府市亀川にある『社会福祉法人 太陽の家 (以下、太陽の家)』は、1965年に「No Charity, but a Chance! (保護より機会を)」を理念に創設され、障がい者が仕事を持って暮らせるよう、自立支援に取り組んでいます。

 

その太陽の家の敷地内に、今年7月3日に『太陽ミュージアム~No Charity, but a Chance!~ (以下、太陽ミュージアム)』がオープンしました。この施設は、太陽の家の創設者で日本のパラリンピックの父、故・中村裕博士のレガシーを次世代に伝えるとともに、太陽の家のあゆみ、関連企業の紹介ブース、1964年東京パラリンピックに関する貴重な資料の展示、障がい者の仕事や生活に役に立つ工夫や障がい者スポーツの体験ができます。また、身障者用の運転補助付き車両やバリアフリートイレ、車椅子体験ゾーンを設けています。

 

写真左から姫野さん、カルキさん、匹田さん

 

太陽の家 広報課のカルキ・ビラムさん、総務課の姫野奈緒子さんと匹田志保さんは、2017年から『太陽ミュージアム』の建設・展示プロジェクトに携わってきました。「日々の業務をしながら、ミュージアムの企画をするのは初めての経験でした。利用者や職員をはじめ地域のみなさんに、できてよかったと思ってもらえるミュージアムにしたいという思いで携わってきました」と匹田さん。年齢や障がいの有無に関わらず、誰もが楽しみながら障がいや福祉についての理解を深められるよう、「学ぶ、体験する、感動する」をコンセプトに据えたのだそうです。

 

ミュージアムの中央には広い体験スペースがあり、用途や障がいの度合いによって異なるさまざまなタイプの車椅子の試乗や、パラリンピックの公式競技であるボッチャの体験ができます。

 

展示室の中央に広く取られた体験スペースでは、車椅子の試乗やボッチャ体験ができる

 

展示室は車椅子でも鑑賞しやすいよう、パネルの高さや展示台の形状に配慮されています。また、トイレの天井や壁に車椅子の操作をするのに必要な広さを視覚的に伝えるデザインを施すなど、障がいへの理解を促すとともに、多くの人にとってより快適な環境を目指す意匠が館内の随所にあります。

 

体験できる展示品が多いのも『太陽ミュージアム』の大きな特徴です。障がい者の日常生活をサポートする自助具の展示コーナーでは、ボタン留めの補助具やさまざまな工夫を凝らした食器、メモ用紙が滑らない敷きパッドなどを実際に使ってみることができます。また、仕事がしやすくなるように、太陽の家の職員が工夫して作った治工具の体験もできます。障がい者のニーズから生まれた補助具を体験することで、日常のなかにどんな不便や困難があるのかを実感できます。

 

片手でメモを取っても紙が滑らないパッド

 

自然光をふんだんに取り入れた、明るく温かみのある空間で一際目を惹いたのは、カラフルなアート作品をプリントしたファブリックパネルや木のスツールです。これらのアート作品は、太陽の家の利用者と地域の方を対象に開催したアートワークショップで描かれたものです。

 

太陽の家は、ミュージアムの開館準備にあたり2018年にクリエイティブ相談室を活用。ミュージアムショップをプロデュースするクリエイティブ人材として、イラストレーターで陶芸家、プロデューサーの中野伸哉さんとマッチングし、協働を進めてきました。「チャリティグッズではなく、買いに来たくなるような魅力のある商品を作りたい」という太陽の家の要望を受け、複数回にわたり自由に絵を描くワークショップを開催し、商品に起用する作品をプロジェクトメンバー全員で選出。18名の利用者の作品が、手ぬぐいやクリアファイルなどに展開されました。

 

のびのびと描かれた作品はどれも素晴らしく、商品やプライスカード、ショッピングバッグのみでなく、職員の名刺や館内装飾や展示の一部などにも活用されることになったそうです。利用者のみなさんは、自分の作品が商品化されたことによって、自信と喜びを感じることができます。「アート作品を直接座面にプリントした座り心地の良いスツールに魅力を感じる来館者が多く、購入したいという声も出ています。将来商品化する事を検討しています」と、カルキさん。

 

写真左:絵を活かした館内のスツール  写真右:絵をオリジナルグッズにデザイン化

 

現在『太陽ミュージアム』の見学は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため事前予約のみとなっています。

 

カルキさんは「障がい者は特別な存在ではありません。多様性を受け入れる社会へと変化していくために、ここでの学びや体験が役に立てばうれしいです」と話しました。

 

障がい者の仕事、生活とスポーツへの理解を深め、共生社会のあるべき姿に気付かせる『太陽ミュージアム~No Charity, but a Chance!~』。この場所で、働きがいを持って日々いきいきと暮らす障がい者の姿に触れ、より良い社会の実現にとってなにが必要かを考えるきっかけになることが期待されます。

 

 

開館時間などの詳細は太陽ミュージアムのHPをご覧ください。

太陽ミュージアム (http://www.taiyonoie.or.jp/museum/)