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CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

事例紹介

2019.02.21

多角化する事業を整理して、継続していくための仕組みを作る『株式会社 生活工房とうがらし』

フードプロデューサーの神谷禎恵さんは、宇佐市の『生活工房とうがらし』を拠点に、国内外で食のブランディングや地域の食文化を伝える活動をされています。
2017年度に『CREATIVE PLATFORM OITA』を活用して、アートディレクターの梶原道生さんと協働し、ご自身の活動やビジョンを整理して新たなビジネスモデルとして構築。『食と暮らし 神谷研究塾』と名付け、ロゴマークも制作しました。今回は神谷禎恵さんに、ブランディングの経緯とその成果について伺いました。

3月に大分市でおこなわれた『CREATIVE PLATFORM OITA』報告会での神谷さんと梶原さん

 

「大分県宇佐市にある『生活工房とうがらし』は、世界農業遺産にもなっている溜め池とクヌギ林がある広大な場所にポツンと建っている、台所だけの建物です。食の伝承活動を精力的に展開していた母が21年前に建てたもので、今台所と昔台所、外台所と囲炉裏、そして畑と果樹園があります。私はこの場所を受け継いで活動の拠点としています」

 

神谷さんは『調味料ソムリエプロ』や『大分乾しいたけ大使』、ゆずごしょうを普及する『マダムゆず』など、食に関するさまざまな資格や肩書きをお持ちで、国内外に地域の食文化やその魅力を広めるための活動を精力的におこなっています。

宇佐市にある『生活工房とうがらし』

 

神谷さんは、なぜ『クリエイティブ相談室』に申し込まれたのでしょうか?
「母の工房を引き継いで活動するなかで、母がやってきた活動と私自身の活動とが重複しているような気がしてきたんです。たとえば私は『調味料ソムリエプロ』ですが、母は調味料に大きな関心があるわけではありませんでした。でも、食の伝承活動の一環として、調味料という分野は必ず出てきます。すると、私と母の活動が重なる部分は多くなってくるんです。こうして自身の活動内容が整理できないまま10年ほど走り続け、私は何をすべきなのかと迷っているときに、『CREATIVE PLATFORM OITA』に出会いました」

 

神谷さんは『クリエイティブ相談室』でヒアリングを受けるなかで、ビジネスとしてご自身の活動を整理する必要性を感じ、アートディレクターの梶原道生さんとの協働を決意されました。
梶原さんは『カジワラブランディング 株式会社』の代表で、福岡を拠点にさまざまな企業やショップ、商品のリブランディングを手掛けています。また、九州ADCの代表も務めていらっしゃいます。梶原さんのインタビューはこちらをご覧ください。

 

「今回の解決策は、“神谷さんらしさ”を出すということでした。お話を聞いていると、活動の根幹をデザインしなければ神谷さんの葛藤は解決できないと感じました。そこで、神谷さんは非常に幅広く活動されていたのですが、まずはそれを端的に伝えることができるよう整理していきました」と梶原さん。
「私は外に出て活動することが多かったのですが、梶原さんと事業整理をしているうちに、実際には研究することが好きなんだなと気がつきました。そして、より自分らしい形を突き詰めて考えると、もしかしたら私にとって最も居心地がいいのは、誰かと一緒に食の研究をしたり、商品を作ったりするような活動のあり方なのではないかと思いました」と神谷さんは語ります。

 

こうして梶原さんと神谷さんの協働により生まれたのが『食と暮らし 神谷研究塾』というビジネスモデルです。
『食と暮らし 神谷研究塾』のなかには、講演、イベント、ケータリング、商品開発のプロデュース、講演、啓発活動や場づくりなど、さまざまな活動を集約しています。

『生活工房とうがらし』でおこなわれたミーティングの様子

 

『食と暮らし 神谷研究塾』のロゴ

 

「『生活工房とうがらし』を拠点とした、私の活動の全てを総称して『食と暮らし 神谷研究塾』と名付けました。研究塾としたのは、塾生を募集して一緒に研究していくような活動をしたいと思ったからです。たとえば、梅農家さんから『この梅を美味しく食べるにはどうしたらいいか』などの課題をもらって、みんなで研究するというようなイメージですね。
今は地域での活動を大切にしていますが、今後は積極的に活動のエリアも広げていきたいと思います。
あとは塾生と料理人との研究・交流の場も設けたいですね。研究塾に特別講師として料理人を招き、食材を研究して、できた料理をみんなで食べるとか。
いずれは塾生が研究生となって、いろんな場所で神谷塾を開催していくまでに成長していくといいなと、梶原さんと話をしています」と神谷さんは豊富なアイデアと展望を語ります。

2018年12月15日に開催された『食と暮らし 神谷研究塾』で完成した料理

 

2018年12月に開催された『食と暮らし 神谷研究塾』のテーマは「師走の手仕事」でした。
大分県内外から塾生が集まり、おせち料理の定番メニューである、煮しめ、黒豆、伊達巻などを研究・調理しました。
塾生のみなさんは神谷さんの話を真剣に聞いて、楽しく取り組んでいる様子でした。

 

最後に、今回の取組について神谷さんにお伺いしました。
「パッケージや商品を作るのが、デザインやクリエイティブ産業だと思っていたので、まさか自分の事業に対する葛藤もデザインで解決できるとは思っていませんでした。事業整理もデザインでできることの1つなのだということが驚きであり、感激、感動しています」
さらに「今回、梶原さんと話すなかで“おいしさの先にあるもの”というキャッチコピーが生まれました。これまでは母の掲げた “おいしさ以上のもの”をテーマに食に関する活動を続けてきましたが、これからは“おいしさの先にあるもの”をみなさんに伝え、共有していきたいと思います。そのために『生活工房とうがらし』という場所をプラットフォーム的に活用していきたいと思っています」と、今後の活動についても意欲的に語っていただきました。

 

お母様の建てた工房や意志を引き継ぎながら、ご自身の活動を幅広く展開されている神谷さん。梶原さんと事業を整理することで「らしさ」を強みにした、新たなビジネスモデルが誕生しました。この研究塾を中心として地域の豊かさに触れたり、食文化を通じた交流や学びによって、新たな価値や幸福を実感できる活動が数多く生まれていくでしょう。今後ますますのご活躍を楽しみにしています。

 

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株式会社 生活工房とうがらし http://tougara4.com/
〒879-0314 大分県宇佐市猿渡553-1
電話: 080-1799-5511
梶原道生さん http://creativeoita.jp/database/kaziwara/
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