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事例紹介

2019.01.17

スープスタンドを併設し、乾しいたけ直売所の新たな顧客層を開拓『株式会社 やまよし』

乾しいたけの国内生産量トップを誇る大分県。そんな大分県の別府市にある『株式会社 やまよし』が、アートディレクターの福田まやさんと協働し、2018年10月に乾しいたけ専門店『大分しいたけ屋 やまよし』をリニューアルしました。

 

 

今まで馴染みのなかった方々に本物のしいたけの価値を伝えることを目的にリニューアルをおこなった経緯とその成果について『株式会社 やまよし』の河内由揮さんに伺いました。

昭和41年創業の『株式会社 やまよし』は別府市唯一のしいたけ入札市場に、乾しいたけ専門店『大分しいたけ屋 やまよし』を併設し、創業以来「誠実」を理念に、菌株にまでこだわった県内産のしいたけのみを取り扱っています。「50年以上お付き合いのある生産者が何人もいます」と話す河内さん。

 

 

やまよしはどのような課題を持っていたのでしょうか?
「約20年前まではしいたけは高級品で、『贈り物にはしいたけ』というイメージが根付いていました。最近ではハムやビールなどギフト商品が多様化し、贈り物としてのしいたけの地位は失われています。また、乾しいたけは手間がかかり、調理の仕方がわからないという若い方が多い。どうやったらしいたけの魅力を伝えることができるのだろうと考えていました」

 

さらに、入札市場としてのイメージが強く、小売店が併設されていることの認知が低いという課題もあったそうです。そのような状況で、売り上げは緩やかに低下。店舗の老朽化に伴うリニューアルを機に、それらの課題も解決する方法はないかと『公益財団法人 大分県産業創造機構』に相談しました。そこで紹介を受けたクリエイターのなかから「今までのやまよしにはない取組みがしたい」と、アートディレクターの福田まやさんに店舗のブランディングを依頼したそうです。

 

福田さんは、関西や東京での広告代理店勤務などを経て2012年に大分県中津市耶馬渓へ移住し、デザイン事務所『星庭』を設立されました。福田さんのインタビューはこちらをご覧ください。

 

福田さんは20回以上のヒアリングを重ね、店舗の具体的なイメージを固めていきました。食品業界では『時短』が主流ですが、そのような時代だからこそ本物のしいたけを家庭で手軽に味わってほしいという願いを込めて、しいたけ出汁のスープを販売する『Shiitake stand CONON』が誕生しました。「単に店舗をリニューアルするだけではなく、課題にアプローチする機能を加えたかった」と話す河内さん。ネーミングもご自身で考えたそうで「漢字で書くと『木音』です。しいたけは雷や強い雨の刺激や音をきっかけに発芽します」とご説明いただきました。
スタンドバーには、ホダ木と同じクヌギが壁材として使用されています。店内には木の香りが漂い、原木栽培について説明するきっかけにもなっているそうです。

 

 

リニューアルに伴い、乾しいたけのパッケージも一新しました。従来のパッケージは中身を見せるのが当たり前だったそうですが、「ギフト感」を演出するために、あえて中身を全面に見せないパッケージも作成しました。お客さまからは「お菓子のパッケージのようで、開ける楽しみがある」と好評のようです。

また、福田さんの提案でスープのテイクアウト用のホルダーも作成しました。しいたけがコーヒーのような身近な存在になってほしいという思いから、通常はコーヒーショップで使用されているホルダーが採用されました。「別府は観光客だけでなく、町を回遊するアートイベントも多いので、何度もホルダーを持って歩いている方を見かけました」と河内さんは話しました。

 

 

リニューアル後のお店の変化について店頭スタッフにお伺いしました。
「20代後半から30代前半の若いお客様がとにかく増えました。それから、写真を撮影する人が急激に増えましたね。そんな人は今までいませんでした」
河内さんも「『instagram』を見て来店するお客さまが多いですね。若い方に出汁の取り方を尋ねられることも増えました。今まで贈答品の購入しかしていなかったお客さまが、自宅用に購入してくれるようになったのも大きな変化です」と手応えを感じているようです。オープン初日を除いて、月間売上は1.6倍、月間来店数は3倍(前年同月比)に増えたそうです。

最後に、今後クリエイターとの協働を考える中小企業へのメッセージを河内さんに伺いました。

「クリエイターは引き出しが非常に多いので、提案の数もとても多い。1つ投げたら、10以上投げ返してくれました。どれも魅力的な提案ですが、全て実現するには大きな予算が必要です。限られた予算のなかで何をするべきで何をしないか判断するためにも、明確に目標を設定することが重要です」

強い刺激を受けることで発芽するというしいたけのように、『Shiitake stand CONON』には今回のリブランディングが刺激となり、本物のしいたけの価値を共有するお客さまが今まさに増え始めたところです。

 

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株式会社 やまよし https://www.shiitake-ya.co.jp/
星庭アートディレクター・グラフィックデザイナー 福田まや http://creativeoita.jp/database/fukuda/
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