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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2018.03.13

廣部嘉祥さん(株式会社 ATTIQUE コンテキストエディター/マーケティングプランナー)

今回は『おおいたクリエイティブ実践カレッジ』の講師で、株式会社 ATTIQUE(アティーク)のコンテキストエディター、廣部嘉祥さんをご紹介します。廣部さんは大学卒業後、デジタルエージェンシーに入社し、グローバル企業のWeb領域のマーケティングやPRプランニングをしていました。2015年からアティークで、Webマーケティングやブランディング、イベントなどの企画立案を担当。全国各地のデジタルマーケティングの事例を集めた本の監修もしています。『デジタルマーケティングは、スモールチームこそ恩恵を受ける』と話す廣部さんに詳しいお話を伺いました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA(CPO)


 

CPO:現職に至るまでの経緯を教えてください。

 

廣部:新卒で入社した企業では、グローバル企業を中心にWeb領域のブランディングやマーケティングを担当しました。現在所属するアティークは、データアナリストやデザイナー、マーケターなどいろんなジャンルのメンバーが集まった専門家集団のような会社です。デジタル領域のマーケティングを中心に、施設単体やエリア全体のブランディングとそれを実現するための事業をつくっています。

たとえば、アメリカで人気の町にポートランドがありますが、クリエイティブな活動もあり、オーガニック商品やクラフトビールなども有名で、消費者の欲求に届く多彩なコンテンツを持っています。私の肩書きであるコンテキストエディターは、そういった土地や地域に眠る資産や社会の文脈からコンテンツを考え、社会と繋げることで、エリアをブランディングして集客を促す仕事です。

 

CPO:具体的にどのようなお仕事の依頼があるのでしょうか?

 

廣部:森ビルが毎年開催している国際カンファレンス『イノベーティブシティフォーラム』を3年前からお手伝いしています。2017年は、ブランドアイデンティティから、集客のための戦略立案、Webサイトやコンテンツ制作まで一貫して、弊社で手がけました。デザイン性の高い海外メディアを見ている経営者などをメインターゲットに、格式のあるイベントとしてのイメージを発信できるようデザインしました。他には、継続的な情報発信や集客が必要な、森ビル各施設の年間コンサルティングや、六本木を世界的なビジネス都市にするために海外発信力を高めるエリアブランディング等です。特に期待されているのは、エリアの価値を高める前例のない斬新な取り組みです。

 

 

CPO:今回カレッジでは、デジタルマーケティングについてお話しされていました。デジタルマーケティングとは具体的にどのようなものを指すのでしょうか?

 

廣部:デジタルマーケティングは、スマートフォンやデジタルサイネージなどテクノロジーの発展によって生まれた、消費者との接点を活用したマーケティングの手法です。消費者との接点が多く、映像や写真、リアルタイム配信などの多様な演出ができること、そしてデータが取りやすいというメリットがあります。

デジタル時代は、だれもがスマートフォンを持っていて、常に情報が得られる環境にあります。このような時代において、マーケティングはその役割や手法を考え直さなければならないと思います。

 

CPO:デジタルマーケティングという分野があるのではなく、デジタル時代にいかにマーケティングを活かしていくのかということですね。

 

廣部:そうですね。面白いのは、今はインターネット上の情報に信頼を置く人が多いということです。たとえば素敵なカフェを見つけたときに、すぐにお店に入ってみるのではなく、まず口コミサイトで検索して情報を確認する方も多いですよね。信用を作っているのはネットユーザーの発言や情報です。情報発信の主導権が、企業から生活者へ移ったのがデジタル時代だとすると、マーケティングにおいて重要なのは、商品をどう伝えるかということではなく、 お客さんにとっての価値とは何かを考えることなんです。

 

CPO:廣部さんが監修された『挑戦者たちに学ぶデジタルマーケティング』には、各地の事例が載っていますが、特に印象に残っている事例はありますか?

 

廣部:山口県の漁師集団『萩大島船団丸』は、初期費用がゼロという事例でした。漁師がLINEを使って、卸業者を通さず、直接関西や東京の料亭、レストランなどの顧客と繋がり、水揚げの情報をほぼリアルタイムで知らせ、受注できるというスキームなんです。シンプルですが、まさにデジタル時代の感覚を捉えた事例です。営業に慣れていない漁師さんも、日頃SNSで友人とやりとりする感覚の延長で利用できます。双方が求めていた仕組みを身近なデジタル機器で実現していて、これは私も目から鱗でした。

 

 

 

CPO:地域の中小企業がデジタルマーケティングを活用した事例も多く掲載されていますね。

 

廣部:この本で一番言いたかったのは、デジタルマーケティングの恩恵を受けるべきは中小企業などのスモールチームだということです。日本はどの商品もデザインや機能がいいので、逆に選ぶのが難しい。一方で、ものづくりのストーリー性や、商品を通じた体験が購入の決め手となり、人気が拡大し、売上が延びている地方の企業は増えています。つまり、社会の文脈を捉えたストーリーや思いがあれば、お金をかけて広告を打てる大企業であろうと、資本力のない中小企業であろうとあまり関係ないということです。マーケティング用語で『インサイト』と言いますが、このように消費者の本音や本心を見極め、気持ちのツボを押すことが重要なんです。

 

 

CPO:スモールチームの優位性はどのようなところにありますか?

 

廣部:大手企業はクレームなどを考慮するうちに、当初の尖ったストーリーがどんどん丸くなり、思いが伝わりにくくなることがあります。中小企業のいいところは、社長が「やるぞ!」と言ったらすぐに実行でき、その思いをそのまま消費者に届けられるということです。

今はさまざまな情報に触れることができるため、ものだけでなく、思想や価値観も溢れています。だから、より夢を描ける人、強い価値観を打ち出せるものや人が消費者の気持ちのツボを押します。そういう意味では、中小企業には大きな可能性があると思っています。

 

CPO:逆にスモールチームが気をつけるポイントはあるのでしょうか?

 

廣部:デジタルマーケティングは初期費用は安いけど、運用は難しく、無限大の人件費がかかるとも言えます。運用するうえで専門部署を設けるのか、外注するのか、バランスを考えながら取り入れるのが大事です。また、分析も運用もしないのでは成果が出ません。事業の課題や予算を考え、選択肢を絞ることが必要になると思います。社内ではできない場合は外のクリエイターや専門家に話を聞くことをお勧めします。

 

 

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廣部嘉祥

株式会社 ATTIQUE コンテキストエディター/PRコンサルタント

 

大学卒業後、デジタルエージェンシーでPRコンサルタントとして活動

2015年から、コンテキストエディターとして株式会社ATTIQUEに参画

『挑戦者たちに学ぶデジタルマーケティング』執筆・監修

マーケティング関連の連載記事の執筆や講演などを多数おこなう

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