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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2018.03.22

當間一弘さん(SMALL STANDARD 代表/一級建築士)

『おおいたクリエイティブ実践カレッジ』の講師で、一級建築士の當間一弘さんをご紹介します。當間さんは大学院を修了後、建築士事務所に務めました。身近な人が楽しめる場所をつくりたいと考え、カフェ・カンパニー 株式会社に転職し、設計と企画の部門で新規カフェの立ち上げなどに関わってきました。昨年9月に舟屋が立ち並ぶ景色が美しい、京都府与謝郡伊根町へ夫婦で移住すると同時に、食とデザインの事業を開始しました。當間さんに、移住先でのお仕事や地方で事業を企画することについてお話を伺いました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA スタッフ (CPO)


 

CPO:クリエイターを志したきっかけや現在にいたるまでの経緯を教えてください。

 

當間:建築設計を志したのが、そもそものスタートです。もともとグラフなどを描くのが好きで、図面を引く建築士のような仕事は向いているだろうなと思っていました。大学で有名な建築家の講師たちに出会ってから、建築デザインを真剣に学ぶようになりました。東京藝術大学大学院建築科を修了後、建築設計事務所に務めました。ハイブランドの案件などに関わるなど、刺激的で楽しい仕事でしたが、自分の日常と乖離していることに違和感があり、もっと身近な人が楽しめることに、自分の能力を発揮していきたいと思うようになりました。

 

CPO:それで、独立するまでお勤めだった『カフェ・カンパニー株式会社』に入られたんですね。

 

當間:はい。カフェなどを通じてコミュニティづくりをするという企業理念に共感して入りました。初めは、新規店舗のデザインや設計などをしていましたが、そもそもの事業計画から関わるということに興味が湧き、2010年に自らの希望で企画部に異動しました。
ただ、事業計画や収支計画などを立てる際、今までの知識ではまったく歯が立たなかったんです。そこで、ビジネススクールに通ってビジネスの基礎を学び直しました。そこからは考え方も変わり、デザインすることが目的から手段に変わって、事業のターゲットやコンセプトにデザインが沿うべき、という考えになりました。

 

CPO:カフェを通してコミュニティをつくるというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?

 

當間:当時、設計に携わった東京の青山にあったカフェは、街の縁側のような場所で、昼食、打ち合わせ、夕食など、1日に何度も同じお客様が出入りするカフェでした。スタッフは女将さんのような役割で、開店当初から街のコミュニティのハブになっていました。実際に、旅行者に近隣のおすすめの場所を案内したり、似たような思考のお客様を引き合せることで繋がりが生まれたり、「おかえりなさい」と迎えることで、「利用する場所」ではなく「帰ってきたと思える場所」になっていました。外観はアメリカ西海岸のロードサイドにあるお店をイメージし、オープンキッチンでテラスがあり、賑わいが町中にはみ出るように意識してデザインされていました。(建物取壊しに伴い現在は閉店しています)

 

 

CPO:浅草の『WIRED HOTEL ASAKUSA』も手がけられたのですよね? 劇場の上にあるというユニークな建物ですね。どのような経緯でたずさわったのですか?

 

當間:エンタテインメント企業からご依頼をいただき、企画から立上げまで担当しました。若手の劇団員を育てるための劇場とホテルが一体となった施設で、「若いクリエイターと交流したい人や劇団員が交われる場所になればいいよね」という話から構想を膨らませました。泊まった後に各地に赴く旅行者も多いので、その前の滞在拠点として情報収集できる場であり、浅草という土地柄を活かして、人情あふれる近隣の人やそこに集う人そのものが価値になるコミュニティ型ホテルを目指しました。
そこで、部屋は劇団員やバックパッカーも泊まり易い価格帯のドミトリーから、普通の宿に飽きた高級志向の外国人旅行者をターゲットにした1泊数万円の客室まで設定しました。また、地元の人や在日外国人アーティストにアンバサダーになってもらい、ホテルの近隣の1マイルと、ホテルから日帰りが可能な100マイル以内にある地域のおすすめスポットなどを紹介してもらって、Webサイトに情報を公開していきました。(残念ながら、現在は非公開となっています)

 

 

CPO:現在は京都府にお住まいですよね。なぜ移住を決意されたのでしょうか?

 

當間:千葉県の市原サービスエリア上りで、店舗開発やお土産品の開発などをしていた際は、もともと同じ会社で出会った妻と実際にその地域に移住して、生産者とのネットワークをつくるような活動をしていました。そうやって地域の方々との交流が深まるにつれ、自分もいつか地域側に立って仕事をしたいと考えるようになりました。東日本大震災も1つの大きなきっかけです。宮城県南三陸町の仮設商店街をデザインしたご縁で、現地を訪れ、その思いはますます強くなりました。
京都に移住したのは2017年9月です。京都の与謝郡伊根町で、沿岸に舟屋がずらっと並ぶ圧巻の景色を見たときに「移住したい!」と思いました。

 

 

CPO:伊根町では、どのようなお仕事をされているんですか?

 

當間:移住と同時に妻と、「食とデザイン」の事業を開始しました。小さな古民家を買い取り、小さなホテルとカフェにしようと動いているところです。基本的には伊根町で、今手がけている空き家や舟屋を活用した事業を増やし、人が循環する仕組みやビジネスに繋がる仕組みをつくりたいと考えています。首都圏に本社がある会社のサテライトオフィスのような場所を設けて、外から来た人が滞在できるようにする仕組みもつくろうと思っています。そうやって、いろいろな職能を持った人が町に滞在することで、地域が抱える課題を解決するきっかけが生まれることも期待できると思います。

 

 

CPO:今回、講師としていらっしゃった大分県にはどのような可能性を感じていらっしゃいますか?

 

當間:地熱という再生可能エネルギーがあるのは興味深いですね。地方都市の未来のあり方が大分に集約されているようにも思います。観光や野菜の栽培、住環境など、地熱を活用した新しい都市のモデルをつくって世界に向けて発信してほしいですね。

 

 

 

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當間一弘
SMALL STANDARD 代表/一級建築士

 

1977年 埼玉県春日部市生まれ
東京藝術大学大学院建築科を修了後、2002年(有)スキーマ建築計画、2003年 (有)乾久美子建築設計事務所に勤務
2004年 カフェ・カンパニー株式会社
2017年に京都府与謝郡伊根町へ移住し、SMALL STANDARDを設立

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