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2017.08.10

伝統技術をコミュニケーションツールへ『株式会社 高山活版社』

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アイキャッチ画像 photo:Kimiko Yoshida

明治43年から106年続く老舗の印刷会社『株式会社 高山活版社』は、婚礼印刷物や事務用印刷を請け負いながら、ステーショナリーブランド『高山活版室』の立ち上げや、防災グッズ『あったか銀紙』の開発にも取り組んでいます。その取組について、代表取締役の高山 英一郎さんにお話を伺いました。

 

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『株式会社 高山活版社』代表取締役の高山 英一郎さん

 

活版印刷とは、金属や木に文字を彫り込みハンコ状にした活字を並べて版を作り、そこにインキを塗って紙にプレスする印刷技術のこと。数万字に及ぶ活字から必要な活字を1文字1文字選び、手で拾い上げ文章を完成させる印刷物には、現在の主流であるオフセット印刷やデジタル印刷にはない凹凸があり、手作業ならではの職人の息遣いが感じられます。

 

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『株式会社 高山活版社』は、明治43年(1910年)に大分市都町で開業しました。創業当時、大分市には設備が整った印刷会社が少なく、官公庁の印刷物や伝票、婚礼用の印刷物、書籍などを、当時最新式の活版印刷機械8台をフル稼働させながら印刷していました。

しかし、印刷技術の革新が進みオフセット印刷が主流になると、手間のかかる活版印刷は風前の灯となりました。高山活版社も一度は活版印刷の機械を手放し、時代の変化に合わせて新技術を取り入れましたが、4〜5年前から『高山活版社』という社名からデザイナーやクリエイターを中心に活版印刷についての問い合わせが増えてきたため、先代社長が活版印刷を復興しました。活版印刷の技術を持つベテラン社員の存在もあり、手放した印刷機や活字を再入手し、現在はオフセット印刷と活版印刷を両方に対応できる日本でも珍しい印刷会社の1つとなりました。

 

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活版印刷機を設置した『活版室』は見学が可能。デザイナーやクリエイターが多く訪れている

 

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活版印刷で作られた名刺。紙質から色合いまで、依頼主と丁寧にやりとりしながら完成させている

 

社屋は1979年に大分市下郡に移転し、英一郎さんで6代目です。高山活版社の歴代社長は文化や歴史をこよなく愛していたそうで、文化人が集まる社交場として、大分の文化を牽引してきました。会社には歴代社長の収集した歴史書や図鑑、古書、古図が今も多く残されています。

新ブランド『高山活版室』では、それらの貴重な資料をモチーフに、県内デザイナーがデザインしたポストカードを活版で印刷し、販売しています。

 

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「日常に活版を。」がコンセプトの『高山活版室』。領収書やレターセットは罫線まで活版で印刷されている photo:Kimiko Yoshida

 

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『宗麟』シリーズの一筆箋、便箋、封筒セット

 

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書体の元である古書。大正時代に自社で印刷した大友宗麟の資料

 

「活版印刷の売り上げは全体からみてもごくわずかですが、他社が進出していないニッチな領域です。味わいのある活版技術を1人でも多くの人に知ってもらえれば」と高山さんは話します。

 

また、高山活版社のユニークな活動として、防災シート『あったか銀紙』の開発があります。これは災害が起こった際に役立つ知識や心構えが印刷された防寒シートです。

 

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『あったか銀紙』は、高山さんの知り合いである建築士から「展示会のノベルティグッズとして配布できないか」と相談されたことがきっかけで開発されました。シートへ印刷する内容を考えている頃に、熊本地震が発生しました。

高山さんは知人のSNSで、身体を暖められるエマージェンシーシートが被災地で必要とされていることを知り、何としても完成させなければならないと奮起したそうです。デザイナーと協働して、デザインや印刷する情報を何度も吟味しながら完成させました。「生きる術を持ち歩け」というキャッチコピーには、備蓄用の毛布としてではなく、持ち歩ける防寒グッズとしてカバンに入れてほしいという思いが込められています。神戸の『国際フロンティア産業メッセ』への出品やWebでのモニターアンケートを通じ、さらなる改良に努めています。現在は自社サイトでの販売や業務用のノベルティとしても対応しています。

 

シートを折る作業は就労支援施設へ外注をしています。「将来、彼らが働ける場所を会社内に作る構想を持っています。うちにもダウン症の子どもがいるので、彼らが健全に暮らし、働ける仕組みを作っていきたいと思います」と高山さんは語ります。

 

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『あったか銀紙』のマニュアルには、使用方法のほか、防災に備えてみんなに知ってほしいことや、備えておきたいグッズのチェックリストが書かれている

 

1世紀もの間、社名を守り抜き、一時は社内でも途絶えていた活版印刷という技術を復興させた高山活版社。『高山活版室』シリーズや『あったか銀紙』は、受注中心であった印刷業から自らプロダクトを開発するという挑戦でもあり、高山活版社の新たなコミュニケーションツールでもあります。若き経営者の熱意と探究心が生み出す次の一手にますます目が離せません。

 


株式会社 高山活版社

住所:大分県大分市片島301-1

電話番号:097-568-4671

公式HP:https://takayama-p.jimdo.com

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