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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2018.02.08

杉本国雄さん(INSIGN 代表/プロダクトデザイナー)

今回は、プロダクトデザイナーで『INSIGN(インサイン)』代表の杉本国雄さんをご紹介します。
杉本さんは京都府出身で、デザイナーとして約20年間活動してこられました。昨年1月に、奥様の出身地である別府市への移住を機に独立。移住前は、東京都の家電やフィットネス関連のメーカー、デザイン事務所に所属し、商品のデザインだけでなく、ロゴ、パッケージまで手がけていたそうです。プロダクトデザインの面白さや、デザインする際の制約をご自身のアイデアでどう乗り越えているかについてお伺いしました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA(CPO)


 

CPO:プロダクトデザイナーを志したきっかけを教えてください。

 

杉本:幼少期から粘土やブロック遊びが好きで、高校卒業後はものづくりの道に進もうと考えていたんです。美術大学に建築科があると知り、面白そうだと思って入学しました。在学中に、空間よりも物自体の素材や形に強い興味をもつようになり、大学卒業後は東京のデザイン専門学校に入り直してプロダクトデザインを学びました。社会人になってからは、デザイン事務所や家電メーカー、フィットネス関連の商品メーカーで働いていました。

 

 

CPO:杉本さんの思うプロダクトデザインの面白さはどういったところにあるのでしょうか?

 

杉本:デザインしたものを人に使ってもらえて、それが比較的長く手元に残るところです。
ライターからペーパーホルダー、家電製品といったものまで幅広くデザインをしてきましたが、商品のサイズや素材がデザインする対象によって大きく異なる場合でも「作る」という目的に対してのアプローチの仕方は、基本的にはあまり変わりません。人々の生活のなかで、何かがちょっとプラスになったり、感動を与えられたりすることを目指して、デザインと向き合っています。

 

CPO:別府市に移住されてからは、大分県内の企業ともお仕事をされているそうですね。

 

杉本:まだまだ手探りですが、県内の企業と長期的な開発などにも少しずつ参加させていただいています。デザインに十分な投資をすることが難しい案件もありますが、柔軟な姿勢でやっていこうと思っています。

 

CPO:プロダクトデザインの発注に馴染みのない方も多いと思いますが、具体的にどのようなことを、どんなタイミングで依頼するものなのでしょうか?

 

杉本:商品のブランド価値を上げたいとか売り上げを伸ばしたいとか、依頼する理由や目的はさまざまだと思います。場合によってはデザインを根本から変える必要はなく、色を変えるだけでも売り上げを伸ばせるケースもあります。ですから、できるだけ初期の段階からお話を聞かせていただけると、ご提案がしやすくなります。
通常ですと打ち合わせ後にマーケットの調査をしてデザインを提案後、場合によってはモック(模型) の制作をして、ご希望であれば3次元データを納品します。その後、最終的な量産時の版下や色指示などの仕様書の提出までが、1つの開発の大まかな流れです。もちろん最初のデザインの提案だけをお願いされるケースなどもあります。予算はプロジェクトベースで1つの商品 (開発) につきいくらという見積もりの出し方をしています。

 

CPO:プロダクトデザイン特有の難しい案件もありそうですね。

 

杉本:たくさんありますね。デザイン性を求められる一方で、機能性の追求や安全面などの考慮もしなくてはなりません。
以前、ライターを生産している企業から「何十年も販売している100円ライターの商品イメージを刷新したい」と依頼を受けたことがあります。経費を抑えるためにオイルタンクの形状は変えられないので、デザイン変更できるのはライターの上部だけです。その条件のなかで「爪が長い女性でも使いやすい構造」「可愛らしい雰囲気」といった要望を満たすため、プッシュボタンを押したときに指が痛くないようにループ状にしたり、他社の商品と被らないポップなカラーバリエーションに設定したりしました。

 

 

CPO:デザイン事務所に所属していらっしゃった時代に携わった、イヤホンのデザインについてもお聞かせいだけますか?

 

杉本:当時はiPhoneやiPodが出てきて、比較的高価格帯の商品を中心にイヤホン市場が拡大していました。クライアントからは、店頭価格1,400円ぐらいの安めの価格帯のイヤホンを、それほど予算をかけずに、高級感のあるデザインにリニューアルしたいというオーダーがありました。あらかじめ売価が設定されていたので、その条件のなかで可能なデザインをクライアントの商品企画の担当者と話しながら探りました。結果的に工場にもかけ合ってもらい、通常は低価格帯の商品では大きく使用しない、メッキを全面に押し出した仕上げのデザインにできました。

 

 

イヤホン本体のデザインに加え、パッケージデザインも杉本さんが手がけた

 

CPO:プロダクトデザイナーがクリエイティビティを発揮しやすい環境や条件があれば教えてください。

 

杉本:クライアントがしっかりしたコンセプトを持ち、ターゲットを想定していることはとても大事だと思います。それがクライアント側にない場合は、一緒に考えて共有します。特にこれまでに実績のない新たなカテゴリーの商品を開発する場合は、リサーチから始める必要があります。こうしたプロセスをしっかり踏まないと、こちらからデザインを提案しても「なんか違う」とあいまいな反応になってしまうことが多いです。
あと、担当者や決定権を持つ人の思いの強さも大事です。経験上、思いがなくて「デザインは全てお任せします」というようなケースでは、デザイナーと企業の間に温度差が出やすかったですね。

 

CPO:今後、県内企業などと取り組みたいことはありますか?

 

杉本:大分県や宮崎県では、医療関連産業の集積を図る『東九州メディカルバレー構想』を目指しています。それに伴って、医療に関わる商品や機器のデザインの重要性も高まると考えています。医療機器のデザインの経験はあるのですが、人命や病気のためといった目的にストレートに繋がるという点でやりがいを感じますね。今後はもっと経験を積んで、得意分野にしたいと思っています。

 

 

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杉本国雄

INSIGN

1973年 京都府生まれ。
京都精華大学美術学部デザイン科建築専攻卒業後、桑沢デザイン研究所デザイン専攻科プロダクトデザインコース卒業。
東京都の家電メーカー、デザイン事務所勤務などを経て、2017年より『INSIGN』を設立。
プロダクトデザインを中心に様々な業種のデザインに関わる。
公益財団法人 日本インダストリアルデザイナー協会 (JIDA) 正会員
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