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CREATIVE PLATFORM OITA

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事例紹介

2017.06.08

『デザインハブ・バルセロナ』に学ぶ、デザインやクリエイティブの役割

前回に引き続き、大分経済同友会の視察に同行し、バルセロナ(スペイン)の『デザインハブ・バルセロナ』を訪問しました。

バルセロナはデザインがさかんな都市ですが、かつてはデザイン協会やデザインセンターなど複数のデザイン関連施設がまちなかに分散していたそうです。それらをまとめてプロダクト、工芸、服飾、グラフィックなどのデザインにまつわる展示を行うミュージアムを併設したのが『デザインハブ・バルセロナ』です。

4階建てのビルの中はフロアごとにゾーニングされており、グランドフロアでは企画展『TAPAS』が開催されていました。

 

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ガイドをしていただいた坂本知子さん

 

食と料理にまつわるスペインならではのデザインやアイデア

 

『TAPAS』では、スペインの家庭の一般的なキッチン用品から、デザイナーによるテーブルウエア、有名レストランオリジナルの食器や特殊な調理器具まで、料理と食事にまつわるデザインやアイデアが展示されていました。

 

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飲み物を衛生的に人と分け合える、スペインの伝統的な水差し『ボティホ』。テラコッタの壺は保温性が高く、内側と外側の温度差によって水温をキープすることができる

 

世界中から年間200万件もの予約が殺到し、世界一予約が取れないレストランと言われたレストラン『エル・ブジ』で開発された、まるで実験器具のような特殊な調理器具。この器具で再構築されたオリーブは驚きの食感に生まれ変わる

 

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ガラス製のオリーブオイルの容器。赤で丸をつけられたものがオリジナルで、あとは類似品。数学的観点に基づき開発されたフォルムは液だれしにくく非常に優れた製品であり、多くの類似品が世界中に出回っているという

 

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新聞紙を捻ってナッツの実と殻を分けるというシンプルなアイデアも展示されている

 

歴史や文化とともに変遷するデザイン

 

『TAPAS』展の会場を出ると、エレベーターで最上階まで上がり、エスカレーターで下りながら各階の展示室を巡りました。まず最上階の4階に上がると、グラフィックデザインの展示ゾーンです。

 

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ここでは1900年代からのポスターやフライヤーを中心に、グラフィックデザインの作品が展示されていました。

近年は手描きによるグラフィックデザインが減り、PCのモニター上で作業するのが主流となりました。また、消費者も書籍や音楽をデータで購入する機会が増え、ブックレットや大きなサイズの印刷物を手に取ることが少なくなってきています。

このような時代の流れによって、細部へのこだわりが薄れることに危機感を覚え、バルセロナでは古いグラフィックデザインが見直されているのだそうです。

 

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3階には服飾デザインの展示室があり、繊維業がさかんで服飾にまつわる職業が古くから栄えたバルセロナにおける、ファッションの変遷が展示されていました。コルセットから現代のファッションデザイナーによるドレスまでが一堂に会し、新たなニーズを開拓しようと常に斬新な提案をし続けてきた、デザインに対する挑戦と、人が美や装いを追求することの普遍性を感じました。

 

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次いで2階は工芸にまつわる展示ゾーンです。カタルニアで最も古いインダストリアルデザインと言われる、女性デザイナーの製作したタペストリーに始まり、タイルや皿などの陶器、懐中時計、馬車など、多言語・多人種の国であり、多様な文化を育んできたスペインならではの技術と装飾性の粋をじっくりと鑑賞しました。

 

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最後に1階に降りると、プロダクトデザインの展示です。デザイン雑誌などでも馴染みの深いおしゃれな家具やキッチンツール、日本とは異なる形状のトイレやシンク、ユーモアのある雑貨など、さまざまな製品が展示されていました。

 

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『デザインハブ・バルセロナ』では、デザインが食や文化、学術研究などと密接に関係しながら発展してきた過程を体感できました。表面的な装飾だけでなく、ときに数学的に計算し尽くされた完璧なフォルムを生み出し、ときに自然の摂理に寄り添う機能を備えるなど、デザイナーの社会的な役割の広がりとともに、デザインが日常生活に必要不可欠なものとして進化し続けていることを、歴史を振り返るかなではっきりと感じられました。

スペインのデザインの歴史と同様に、大分県には大分県の風土や生活のために必要なデザインがあり、それを追求することで、大分県だからこそ生み出すことができる、いつまでも使い続けられる優れたプロダクトが誕生するのかもしれません。『CREATIVE PLATFORM OITA』の取組を通じ、大分県を代表し、世界に誇る商品やサービスを数多く生み出したいと、『デザインハブ・バルセロナ』を見学して思いを新たにしました。