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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2017.11.20

福田まやさん(星庭/アートディレクター・グラフィックデザイナー)

今回は、大分県中津市耶馬溪町を拠点に活動する、アートディレクター・グラフィックデザイナーの福田まやさんにインタビューしました。福田さんは、奈良県出身。関西・東京での広告代理店などで、グラフィックデザイン、Webデザイン、空間デザインなど、多岐に渡る仕事を経験したのち2012年に耶馬溪へ移住。そんな福田さんのユニークな経歴やこれまでに手掛けた事例をお聞きしました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA(CPO)


 

CPO:福田さんがデザイナーを志すようになったきっかけを教えてください。

 

福田:絵を描くこととパソコンが好きで、中学生の頃からデザインの仕事をすることが夢でした。できるだけ早くデザイナーになりたいと、高校を途中で辞めて、まずは印刷会社で見習いとして半年間働きました。その後、デザイナーとして地元の観光業の企業に就職し、そこでWebサイトの制作やグラフィックデザイン、空間デザインなど、幅広い業務に携わることができました。

 

CPO:10代の頃からデザインのお仕事をなさってきたのですね。

 

福田:ありがたいことに、様々な経験が出来ました。でも、働きだして、よりデザインの知識や技術をより深めたいと考えるようになり、当時講師をされていたグラフィックデザイナーの奥村昭夫さんとの出会いで、大阪のインターメディウム研究所(彩都IMI大学院スクール)にて、3年間勉強しました。そこでは現代美術、映像、写真、グラフィックデザインなどを横断的に学びながら、さまざまな社会的プロジェクトにも携わることができました。

 

CPO:その後はどのような活動をなさってきたのですか?

 

福田:研究所在学中に個人でデザイン事務所を設立しました。それが20歳の頃です。展覧会のチラシや旅行雑誌、イベント企画など、いろいろなプロジェクトの中でデザイナーとして経験を積んでいきましたが、美術業界や旅行業界だけに留まらず、より広い分野で挑戦したいと思い、東京の外資系の広告代理店に入社することになりました。

 

CPO:独立した後に、改めて代理店に入ったのですね?

 

福田:はい。そこでは世界的に有名なタバコの広告などを手掛けました。そこでの仕事はとても刺激的で面白かったのですが、ちょうど1年後に震災が起きたのをきっかけにハードで、昼夜働き続ける仕事のやり方を見つめ直し、元々したかった自然の中での暮らしを、憧れではなく、実現しようと、2012年に耶馬渓の山の中に移住をしました。移住後は植木屋の夫と、庭とデザインの事務所「星庭」を設立して活動しています。

 

CPO:移住後に手掛けた仕事の事例を紹介してください。

 

福田:2014年に福岡県飯塚市のチョコレートショップの立ち上げに携わることになりました。それが『カカオ研究所』さんです。

 

CPO:クライアントからは最初どのような依頼が来たのでしょうか?

 

福田:当時のチョコレート業界では、作り手が豆の選定から焙煎、製造までの工程を一貫しておこなう『Bean to Ba/ビーントゥバー』という新しい動きが起こりつつありました。クライアントはそれを九州で初めて展開するために、新ブランドを立ち上げたいと考えていらっしゃいました。ブランドのコンセプト作りから、ネーミング、ロゴ、パッケージなど、デザインに関わるすべてをお願いしたいという依頼でした。

 

 

福田:このパッケージは、カカオ豆がかつては薬として飲用されていたという歴史から着想して、昔の薬包の素材を使っています。また、世界中からカカオ豆がやってくることからイメージして、大事な人へ送る手紙型のチョコレートもつくりました。厳選した豆から焙煎して丁寧に作っていること、そしてこのチョコレートが健康にもいいということが伝わるようにデザインをしました。店舗の空間デザインも提案させていただき、『研究所』というコンセプトから、試験管を使って、カカオ豆からチョコレートができるまでの過程を紹介しています。

 

 

福田:リピーターのお客様に楽しんでもらえるよう、フリーペーパーも月1回発行しました。こちらはイラストからライティング、グラフィックデザインまで、すべてを担当していました。九州初のビーントゥバーということもあって話題になり、初年度から名古屋の大型雑貨店での取り扱いや、東京の百貨店のバレンタイン催事に出店されることにもなりました。

 

CPO:デザイン以外の部分でも提案を行うことはありましたか?

 

福田:はい。2016年に行ったカカオ農家を支援するプロジェクト『カカオツリーのオーナー制度』は、クライアントのアイデアから、仕組みづくりや支援の返礼品などの具体的なプランニングやプロモーションを任せてもらいました。第1期は200名以上の方にオーナーとしてご登録いただけました。

 

 

CPO:そのほかに、大分県内の企業と協働した事例はありますか?

 

福田:耶馬渓で生産されているごまだれのパッケージを手掛けました。トキハ本店などにお店を持つ、耶馬溪ライフさんからのご依頼で、耶馬溪の素材をつかったドレッシングのパッケージを依頼されました。タイポグラフィにこだわり、下書きや構成を何度も繰り返し、最後は手書きの文字で仕上げました。ローカルな雰囲気をもちつつ、シンプルに仕上げたこのデザインは、日本タイポグラフィ年鑑2015のパッケージ部門に入選し、年鑑にも掲載されています。

 

 

また、先日刷り上がったばかりなのですが、中津青年会議所さんからのご依頼で、移住を考える冊子のデザインをてがけました。最初はデザインだけだったのですが、撮影等もご依頼いただき、雰囲気にあったカメラマンを手配したりなど、トータルでご相談いただけました。移住したデザイナーということでご依頼いただいたのですが、実際に移住した者からの目線を大事にしていただきよいデザインができました。中津市長や役場などからも大変好評だったそうです。

 

CPO:企業と協働するときに心掛けていることはありますか?

 

福田:ブランディングにかかる費用は安くはありません。クライアントによってそれを投資と思う方もいればコストだと感じる方もいて、認識はさまざまです。しかしながら、デザインのもつ力はこれからの時代にさらに重要になると考えて、日々デザインに取り組んでいます。
また、経営には、経営者自身の考えやアイデンティティが表れます。そこにデザイナーがどのように向き合うか、そして経営者の考えやセンスをいかに引き出し可視化していくかを意識しながら取り組んでいます。

 

CPO:今後、大分県内の企業とやってみたいことはありますか?

 

福田:他県から大分へ移住してきたからこそ感じることなのですが、大分には食やものづくりなど、本当にいいものがたくさんあります。それを全国にうまく紹介できていないのはもったいないです。デザインの力で大分のいいものを全国へ発信したいと思っています。

 

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福田まや

星庭/アートディレクター・グラフィックデザイナー

1985年生まれ、奈良県出身。Inter Medium Institute、関西・東京での広告代理店勤務などを経て、京都より2012年に大分県中津市耶馬溪へ移住。デザイン事務所『星庭』設立。ブランディング、パッケージ、ロゴなどのデザイン、森でのイベントなどさまざまなプロジェクトを行っている。

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