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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2017.11.16

古庄優子さん(KASUGA Design Room 代表/グラフィックデザイナー)

今回は、『KASUGA Design Room』代表である古庄優子さんをご紹介します。
古庄さんは印刷会社で14年間印刷の知識やデザインを学んだのち、デザイナーとして独立、『KASUGA Design Room』を設立しました。グラフィックをはじめ、地域のブランディングや障がい者アートの商業利用事業の立ち上げなど、アートと地域との関わり方や今後の展望についてお伺いしました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA(CPO)


 

CPO:デザイナーになった経緯やきっかけを教えてください。

 

古庄:幼い頃から絵を描くことが好きだったので、大分県立芸術文化短期大学の美術科に進学しました。卒業後は市内の映像制作会社に就職し、そこで広告企画などいろんな仕事に携わらせてもらいました。入社当初は、デザインという仕事について明確なイメージがあったわけではないのですが、社会と関わるクリエィティブな仕事なんだなと働きながら学びました。その会社を退職して、5年間ほどは作品を制作したり海外に行ったりしていたのですが、帰国して『春日印刷有限会社』に就職しました。インクの匂いがして、職人さんがパレットで色を作っていて、デザインしたものが印刷機からどんどん出てくる様子に心惹かれて「ここで働きたい」と思ったんです。

 

CPO:そこでデザインを学んだのですか?

 

古庄:ええ。でも入社した当初は会社にデザイン部はありませんでした。当時は色に関する共通言語とも言えるカラーマネジメントの概念も一般的ではなく、印刷現場とデザイナーとのコミュニケーションが難しい状況だったので、両者の調整役を担ったりもしていました。また、営業の打ち合わせに同行してお客様と対話したり、大分県デザイン協会に所属したりして、デザインについて学んでいきました。
入社4年目くらいにブライダルのオリジナルペーパーアイテムの商品を作ることになり、カップルのお客様がいらっしゃるので綺麗な空間がいいだろうということで、外部にデザインルームを作ることになったんです。

 

CPO:そのデザインルームが独立して、現在の『KASUGA Design Room』になったんですね。

 

古庄:はい。企画の部分をもっと広げたいと思うようになり、いろんな事情も重なって独立することにしました。完全に独立したのが2013年ですね。入社して14年目でした。
社名をどうするか、迷いながらズルズル先延ばしになっていたので、『KASUGA』の名前を使わせてもらおうと会社にお伺いをたてたら、「いいんじゃない」って快諾していただけたんです。そんな自然な流れで現在に至っています。

 

 

 

CPO:独立されてから携わった事例をいくつか教えてください。

 

古庄: まず1つは、由布川峡谷一帯をブランディングするというプロジェクトです。由布川渓谷観光協会と由布市からの「百貨店みたいに、シンボルになるような紙袋を作ってほしい」という依頼からスタートしました。しかし、現地を調べていくと、魅力的なモノや場所がたくさんあって、商品もサービスもさまざまなのに、サイズを限定した紙袋を作ることが本当にいいことなのかと疑問を抱いたんです。
そこで、ダメ元で「ここにある財産を持ち寄って情報発信をしませんか?」とご提案してみたんです。その甲斐あって、情報発信の冊子を作らせていただけることになりました。現地で地元の方々に好きな場所を紹介していただき、1年くらいかけて取材しました。
また、ロゴマークを作って包装紙などに使用できるゴム印を制作しました。後にのぼり旗などに展開しました。
このプロジェクトを通して、由布川峡谷は資源がたくさん埋まっている場所だと再認識しました。これからもいろんな企画が生まれていく場所だと思います。

 

 

 

 

 

 

CPO:そのほかの事例も教えてください。

 

古庄:2015年に『公益財団法人 大分県芸術文化スポーツ振興財団』からの依頼で『室内楽コレクション』という3回シリーズのコンサートのビジュアルを担当させていただきました。ちょうど『OPAM』開館の時期でもあったので「コンサートを聴きに『グランシアタ』に足を運ぶ方も、美術に興味を持って『OPAM』にいらっしゃる方にも、両方に向けて発信することで、相乗効果を生み出したい」という企画者の熱い想いをお聞きし、「アートと音楽をつなげる」をテーマに宇治山 哲平の作品のイメージを取り入れてデザインしました。いい意味で、クラシックコンサートらしくないデザインに仕上がったと思います。

 

 

 

CPO:障がい者アートの商業利用事業『ART STORAGE』についても伺いたいです。

 

古庄:きっかけは『元気の出るアート! 』との出会いでした。これは、ある福祉施設の相談員の方が、障がいのある作家の作品を集めて毎年3~4ヶ所で展覧会を開催しているんです。この展覧会の印刷物に『春日印刷有限会社』在職中から携わっていたのですが、もっと長く関わっていきたいと思ったので、独立するときに『ART STORAGE』を立ち上げました。
この事業は、作品をデータ化したものを様々なプロダクトにデザインして使用するときに、著作権料をいただいて、作家にロイヤリティをお支払いするというものです。

 

CPO:著作権やロイヤリティに目を向けたのはなぜでしょうか?

 

古庄:作品にはパワーがあるのですが、これらの作品を見てグラフィックデザインに使いたいと思っても、誰に許可を取ればいいのかわからないんですよ。たいがいの人はそこで躊躇してしまい、ビジネスの話にまでたどり着かない。だから、その橋渡し役を担いたいと思いました。
長く続けていきたいので、発信は基本的にインターネットですが、やはり原画が素晴らしいので、お披露目の意味も込めて展覧会をしました。そこからいろんな繋がりができて、昨年は能楽堂とコラボレーションもしました。

 

 

CPO:登録作家は何名いらっしゃるのでしょうか?

 

古庄:いま9名です。ただ作家数を増やせばいいというわけではなく、作品は素晴らしいけれどご自身でプロデュースするのは難しいという方に声をかけています。身体障がいのある方は自分で発表されている方も多いのですが、知的障がいのある方はそれができないことが多く、ほぼ作り続けるのみ。私には宝の山に見えます。だから作品をデータ化し活用することで、たくさんのコラボレーションを生み出したいと思ったんです。
今後は企業とのマッチングにも力を入れて、この宝の山がもっと輝く取り組みをしていきたいです。障がいのある方の作品をインパクトのあるツールとして活用していただくことで、作家同士も影響しあって、もっと自由に表現活動ができるようになればいいなと思っています。

 

 

 

 

 

CPO:企業と協働する際に、クリエイターがクリエイティビティを発揮するにはどうしたらいいですか?

 

古庄:クリエイターとはモノを作るだけじゃなくて、みんなとは違う視点でモノを捉えることができる人たちだと思います。モノを作る段階になってから、クリエイターへ相談される企業が多いですが、プロジェクトが動き出す初めの段階からクリエイターが参加することで、違った視点で切り込んでいけるし、できあがりが違ってくると思います。

 

CPO:CREATIVE PLATFORM OITAに期待することを教えてください。

 

古庄:県内にはたくさんのクリエイターがいるので、活動がもっと繋がると面白いと思います。得意分野を出しあって活動することで、もっと広がるのではないかと思いますし、そういったネットワークが活発になっていくといいなと思っています。

 

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古庄優子

KASUGA Design Room 代表/グラフィックデザイナー

大分市生まれ。3年間映像制作会社、14年間印刷会社に勤務後2013年独立。印刷物、商品パッケージ、ホームページを中心に、グラフィックデザインの企画・制作。「モノ、コトが伝わるデザイン」を心掛けている。大分県内在住アーティスト作品の商業利用事業ART STORAGEを運営。

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