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CREATIVE PLATFORM OITA

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おしらせ

2018.03.27

池田泰幸さん(株式会社 サン・アド クリエイティブ本部 アートディレクター)

今回は『おおいたクリエイティブ実践カレッジ』講師の、池田泰幸さんをご紹介します。池田さんは1964年から国内の最先端で広告の企画制作をしている広告制作プロダクション、株式会社 サン・アド のアートディレクターです。これまでにIKEA JAPAN、虎ノ門ヒルズ、ペプシNEXなど、さまざまな企業の広告やロゴを手がけてきました。多くの受賞歴を持ち、華々しいイメージの世界に身を置きながらも、広告制作に対して真摯に向き合う池田さんの発想の源や、「良い広告」とは何かについてお話を伺いました。

 

聞き手:CREATIVE PLATFORM OITA スタッフ(CPO)


 

CPO:アートディレクターとはどのようなお仕事なのでしょうか?

 

池田:グラフックデザイナーであり、デザインに関して全体を統括する人です。その上にクリエイティブディレクターがいて、プロジェクト全体を統括することもあります。私はアートディレクターという肩書きですが、デザイナーとして自分が手を動かして作ることも多いです。

 

 

CPO:クリエイターを志したきっかけや、現職に至るまでの経歴などを教えてください。

 

池田:何か手に職をつけたいと思い、高校卒業後にグラフィックデザイナーを目指して専門学校へ通いました。卒業後は、地元の埼玉県秩父市の印刷会社やデザイン事務所に務めていました。
23歳くらいのときに広告専門誌に掲載されていた、青木克憲さんの業界の傾向を打破するような作風に惹かれ、転職しようと決断したんです。当時青木さんが所属していたサン・アドに電話して、青木さんの下で働けるよう「バイトでかまわない」と電話で直談判しました。とても大変だったんですが、その頃の経験が今の自分に残っていると思います。サン・アドには、1999 年に正式に入社して今に至ります。

 

CPO:現在、国内外における広告のトレンドや在り方について、池田さんはどのように捉えていらっしゃいますか?

 

池田:トレンドというのはもうないかもしれませんね。TVコマーシャルが主流だった時代にはトレンドが存在していましたが、Webが出てから広告の手法は変わってきました。今はSNSやWeb動画など消費者との接点が多様で、人々の趣味趣向もばらばらです。海外の広告を見ていると、ビジュアル的なクオリティだけでなく、アプローチの仕方が面白いものも増え、見る人の共感を呼ぶ仕組みや手法が実に多彩になっています。

 

 

CPO:そういった状況の中で、広告業界におけるアートディレクターにはどのような役割があるのでしょうか?

 

池田:簡単に言えばトーン作りです。企業や商品の雰囲気やイメージを連想させる「シズル感」というか、見せ方を知っている人たちですね。たとえば、『虎ノ門ヒルズ』のロゴを手がけたときは、ビジネスの最先端であることがイメージしてもらえるよう、見せ方のトーンを作りました。

 

CPO:虎ノ門ヒルズのお仕事は具体的にどのようなお仕事だったのでしょうか?

 

池田:当初はロゴマークのみというお話でしたが、のちにピクトグラムや案内図などのサイングラフィック、そして広告まで幅広く担当させていただいています。
官公庁が多い虎ノ門という場所を、「世界のビジネスが集まり、注目させるエリア」にするというお話を聞きながら、手元にあった紙の端になんとなく描いたのが、この門をイメージしたロゴです。
世界を視野に入れるならば、漢字を元にしたロゴだと日本的でかっこいいなとか、「世界と日本を繋ぐゲート」というイメージが、ビジネス街としてのスマートさとも合致し、考えるほどにぴったりだったんです。

 

 

CPO:頭に浮かんだイメージがあるときに、それをどう具体化していくのでしょうか?

 

池田: テーマに対してキーワードを設定します。IKEA JAPAN を手がけたときは、「スウェーデン」「大型家具量販店」「かわいらしい」などの単語を挙げて、デザインする前後にその言葉から逸脱していないかをチェックしました。ただ、直感的な部分もあって、IKEA の場合は黄色を使うということは初めから決めていました。ここ数年は、直感を信じることも増えました。もしかしたら全くの直感ではなく、これまでの経験から無意識的に引き出しているのかもしれませんね。

 

 

CPO:大手企業の大規模なキャンペーンから、演劇公演のチラシ・ポスターまで、大小を問わず幅広い広告の企画、制作に携わっていらっしゃいますが、池田さんの考える「良い広告」とはどのようなものでしょうか?

 

池田:企業や製品のイメージが間違いなく届くものです。デザイナーの目的はデザインすることではなく、目的に対してデザイン力を駆使して、目的通りに見せるということです。なので、まずは対象の世界観がぶれなく見せられる広告であることですね。そこにプラスして、人に見てもらうための引っ掛かりを作れているか。その両方がうまくいっているのが良い広告だと思います。

 

CPO:引っ掛かりとは具体的にどういうことでしょうか?

 

池田:純粋にデザインのアプローチや面白さであったり、たくさんの広告と並んでいるときに目を引くかどうかだと思います。ポスターに関しては正しいことを書いてあっても、見てもらえないと何の意味もありません。たとえば、ペプシNEX のときは、ポスターやCM で大きな文字が目を引きました。駅の壁沿いに、あのポスターがずらっと並んでいると目立ちますよね。

 

 

CPO:今回、講師として大分にいらっしゃっていますが、地方に何か可能性をお感じになられましたか?

 

池田:地域の伝統工芸など、本当にいい技術を持った方と組んで、プロダクトデザインや商品企画から携わってみたいですね。そういう技術をいかに今の時代に活かしていくかということに興味があるんです。地方の中小企業とのお仕事では、社長やキーマンの意見が直接聞けるのがいいですね。小さくても面白い仕事がしたいですね。

 

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池田泰幸
株式会社 サン・アド クリエイティブ本部 アートディクレクター

 

埼玉県秩父市出身
99年に株式会社サン・アド入社。IKEA JAPAN、虎ノ門ヒルズ、ペプシNEX、フジテレビなどの広告を手がける
カンヌ国際広告祭メディアライオン・金賞
Asia Pacific Advertising Festival DM部門・銅賞
NY フェスティバル・ファイナリストなど

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