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INTERVIEW

Interview

2017.03.09

行政に対してわがままを言う時代は終わった

hanajuku 代表 花井 裕一郎

花井 裕一郎
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ディスカッションする場を作って、一緒に考えることが大事なんです

 


 

山出:僕のイメージする図書館は、難しい本を読んだり勉強したりしている人がいて、静かにしていないといけない場所です。僕からすると、居場所がなくて立ち寄りにくいイメージなんですよね。

 

花井:僕もそうですよ。主導者に「図書館はこうあるべきだ」という先入観があると、旧来型の図書館になってしまうんです。蔵書が何万冊必要とか、どうやって静かさを守るかとか、そういう話はチープですよ。だから町民参加者で図書館法を勉強したんです。図書館で働くスタッフだけじゃなくて、お客様も一緒に学ぶ必要があるって思ったんです。すると、小布施の図書館に足りないものが見えてきて、自分たちの力で変えたいと考えるようになったんです。勉強会によく来ていたおじさんが「図書館って、なんでもできるんじゃないか」って言ってくれたのは嬉しかったですね。

 

山出:いろんなことが動き出す瞬間ですね。

 

花井:ええ。それに、リサーチも入念に行いました。町長から、『まちとしょテラソ』は旧図書館に比べて3倍広くなるんだから、入館者も3倍にするようにと言われていたんです。勉強会に参加してくれる人たちは、そもそも図書館に関心があるから、きっと利用してくれると思うんです。そうではなくて、今関心のない人に来てもらわないといけない。現状は図書館に来ていない人の方が多いんだから、その人たちが来れば3倍なんてあっという間なんじゃないかと思うことにしました。

まずは子どもたちの利用を促進しようと思い、学校をリサーチしました。休み時間に 意見交換会を開いてもらったら、地鳴りがするほどの勢いで集まりましたよ。彼らは「ゲームがしたい」「お菓子が食べたい」「漫画をたくさん集めて欲しい」って、バンバン意見を出してくれました。

その次は福祉施設に行って、図書館と連携できる活動がないか、どうしたら来たい場所になるかを聞きました。また図書館へいらしていない男性へリサーチすると「週刊誌とかスポーツ新聞とか、男が読む本がねぇんだよ」とか、いろいろ面白い意見をいただいて「そうか、これを実現すればいいのか」って思ったんです。

行政に対して自分の要望を主張するだけなら、ただのわがままなんです。だから、ディスカッションする場を作って、一緒に考えることが大事なんです。

 

山出:いかに当事者にするかということですよね。誰かのせいにして不満ばかりを言うのではなく、どうしたら改善するのかをみんなで考える時代ですよね。

 

花井:本当にそうですよね。行政に対してわがままを言う時代は終わったと思います。

 

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山出:当事者意識を持ってもらうために、どんなことをされましたか?

 

花井:意見の多い人達に分科会の会議のリーダーをお願いしたんです。そうしたら、もう当事者ですよね。図書館のあり方を真剣に議論するし、リーダーだから発表もしなきゃいけない。結果的にその組織作りが成功の秘訣になったと思っています。

 

 

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編集長雑感

図書館にしろ美術館にしろ、作る側の理屈が先行して、使う側の視点が置いてけぼりになってしまうことは往々にしてあります。そのようにして完成した施設は、住民の望むものではないから、完成しても行く理由がありません。市民が自分たちの意見によって生まれた図書館だと感じられるよう、花井さんは『まちとしょテラソ』の計画に住民が参加できる場を多く設けました。
これから人口が減るにつれ、公共施設や公務員も減っていくでしょう。そうした時代に、公的サービスにばかり頼るのではなく、新しい公共のあり方として、自分の町を自分の力でより良くしようとする当事者意識は不可欠です。小布施の事例からは、まちづくりにおける「当事者を増やす」ということの重要性を再認識しました。

Profile

花井 裕一郎

Yuichiro Hanai

hanajuku 代表

演出家、hanajuku 代表
1962年、福岡県生まれ。1989年より、フジテレビジョン、NHK、TBS、日本テレビ、東芝EMIなどでテレビ番組、PVの演出など多数。2002年、小布施堂文化事業部長に就任。2003年~2009年『60秒シネマコンペティション』事務局担当。2007年より『おぶせTシャツ畑』ディレクター。2009年7月~2012年11月、小布施町立図書館『まちとしょテラソ』館長。
「ないのにある」=「存在そのものは目に見ることが出来ないが、そこにはエネルギーが存在する」ことを体感しながら、本来の人間の姿・生き方を模索し、創作活動を展開。著書に『はなぼん~ワクワク演出マネジメント~』(文屋)。

 

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