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INTERVIEW

Interview

2017.03.31

視点の持ち方とコミュニケーション

ロフトワーク 林千晶

林千晶
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媒介やカタリストのような存在でいようと思っています

 


 

山出:昨今、いろんな領域で「課題解決する」という言葉が使われていますが、課題の見つけ方と、いかに解決するかということにクリエイティビティが必要なんですよね。
どうやったら一番いい解決の方法に導けるのか、そこで困っていることも含めて聞かせていただけますか?

 

林:ロフトワークはコンサルティングのように、答えを導き出してクライアントに教えるんじゃなくて、彼らとクルーになるんです。「必ず横にいる仲間」になって、一緒に探検に出ているイメージ。それも、見つけるものが決まっている探検ではないんです。探検の過程で自分たちの目指す方向に確信を持ち、それを実行する方法から見出すことが、プロジェクトにとって大切だと思っています。

そこで意識しているのは、視点の持ち方とコミュニケーションです。

外部にしか持てない視点やコミュニケーションは、個人の人柄が活きることもありますが、ロフトワークではメソッドを社内で共有しています。コミュニケーションを設計し、発言しやすいファシリテーションをすることで、そのプロジェクトのための集合知を作っていくんです。

 

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山出:それがロフトワークの強さであり、林さんの強さですよね。
林さんとお話ししているとすごくワクワクしますが、決して「この先に宝島があるぞ」って言っているわけではなくて、みんながアクティブになるスイッチを入れるモチベーターであり、導くためのファシリテーションをしているんですね。
クルーってすごくいい表現ですが、ハンズオンではないんですね。

 

林:そうですね。一緒に考えながら仕組みを提供するのであって、手取り足取り教えるのではなく、そこにどう向き合うかが大事だと思っています。

私は故郷がないということがコンプレックスなんです。

故郷であれば、その土地に必然性が生まれるんだけど、私はどこにいっても外国人みたいな感じで、どこにも依存しないんです。開き直るわけではないけれど、だったら私は媒介やカタリストのような存在でいようと思っています。

 

山出:今まさに、そういう視点が求められていると思いますよ。その場にいる人たちではなく、触媒やメディエーターとしての「よそ者」の存在が地域を変えていくんだと思います。

 

林:でも、現実はそんな簡単には、物事が進みません。

飛騨に移住したスタッフがカフェを運営していて、おにぎりを出しているんですが、地域の方から「それはよそから来る人に向けたサービスじゃないか。飛騨のためにやっているんだったら、パンやピザを提供してほしい」と言われたことがありました。

その子がパンを焼くのが上手ならパンを焼けばいいけど、そう簡単に美味しいパンは焼けるわけじゃない。だから、そういうときには「私にはパンを焼く技術はないけど、ここにカフェができてよかったと思ってもらえるように、一緒にできることを考えよう」と言うことにしたんです。

1人で出来ることには限りがあるから、一緒に考えることの積み重ねが大事だと思っています。

 

山出:こうやったら答えが出るっていうことではないですからね。

 

林:そう。地元の人の意思も1つではないんです。1つひとつの発言に複雑な背景があるから、それを調整できる力がついてきたら、もっとダイナミックに受け止めながら展開していきたいと思っています。

東京ではずっとそういうことをやってきているけど、飛騨と東京では全くやり方が違うんですよね。

 

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編集長雑感

林さんは、故郷がないということがコンプレックスだということでしたが、僕も子どもの頃は転校が多く、いつも「来年また引越しするのかな」と思っていました。
僕は「NOWHERE」という言葉がすごく好きです。どこでもないという意味だけれど、「NOW」と「HERE」に分けて考えると、いま、ここという意味になり、今この瞬間は確かにここにいることが感じられます。
ここでは林さんに「よそ者」の視点と、そこで感じる悩みを語っていただきました。
地域にとって、よその土地での経験を持った人が訪れることは大きな変革をもたらします。都会の価値を植え付けるのではなく、クルーとして寄り添い、その瞬間に居合わせた人たちと、これからどうするべきかを考えるというやり方は、とてもしなやかで、地域にいい変化をもたらす面白い手法だと感じました。

Profile

林千晶

Chiaki Hayashi

ロフトワーク

1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。花王を経て、2000年にロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、手がけるプロジェクトは年間530件を超える。 書籍『シェアをデザインする』『Webプロジェクトマネジメント標準』『グローバル・プロジェクトマネジメント』などを執筆。 2万人のクリエイターが登録するオンラインコミュニティ「ロフトワークドットコム」、グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材をテーマにしたクリエイティブラウンジ「MTRL(マテリアル)」を運営。 MITメディアラボ 所長補佐(2012年〜)、グッドデザイン審査委員(2013年〜)、経済産業省 産業構造審議会製造産業分科会委員(2014年〜)も務める。森林再生とものづくりを通じて地域産業創出を目指す官民共同事業体「株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)」を岐阜県飛騨市に設立、代表取締役社長に就任(2015年4月〜)。

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