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INTERVIEW

Interview

2017.03.30

人の生き方も分散を可能な形に変えていくべき

PARTY 代表取締役 伊藤直樹

伊藤直樹
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実験的な働き方をする中で、必要だと感じたものを自分たちで作っていきたいですね

 


 

山出:IoTを活用して、課題に対してアプローチした事例についてもお聞かせいただけますか?

 

伊藤:SUNSTARの社長が、歯磨きのブランド『G・U・M』で新しい一手を打ち、未来を創造したいとご相談してくださったんですよ。

そこで、我々は歯磨きについて改めて考えたんですが、虫歯になりたくないからとか、どちらかというと義務的で後ろ向きな行為なんですよね。だから大人は必要性を理解しているけど、子どもは好きになれないんです。その課題を解決しないといけないと思いました。

歯磨きって、歯科医が推奨する時間は3分間なんですよね。できるだけストロークを細かくして、歯と歯茎の間を掻き出すように、隅々まで磨かないといけない。実際に3分間やってみると、体感値としてものすごく長く感じるんです。1分くらいで飽きちゃうんですよね。

 

山出:大人でも長く感じるんだから、子どもはなおさらですよね。

 

伊藤:そうなんです。そこで、スマートフォンと連動して、ゲームをするような感覚で楽しみながら3分間歯磨きができる仕掛けをIoTで作りましょうって提案させていただき、PARTYとSUNSTARさんの共同開発で2年間かけて製品化しました。 こういう商品って家電量販店での取り扱いが主力なんですが、これまでの歯ブラシとは異なるものだということも伝えなくちゃならないし、どこでどういう販売の仕方をすれば世の中の人に伝わるんだろうと考えました。そこで、プレゼンテーションやデモンストレーションができる環境から始めようということで、蔦屋家電での販売を開始しました。こうやって、まずは世の中に浸透させ、少しずつ理解してもらいながら販路を広げているところです。

 

 

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山出:主な購買層はどんな方々ですか?

 

伊藤:親子で使ってくれていたり、おじいちゃんがお孫さんのためにプレゼントしたりすることが多いようですね。子どもがiPadを見ながら、毎日楽しんで歯磨きをしているっておっしゃってくださる方もいて、すごく嬉しいですね。

 

山出:親から子に伝えるべきことは昔と同じなんだけど、その手法が変わってきているんですね。 ところで、先ほど新しいことと法やルールの関係についてお話がありましたが、地方創生が中央集権的なルールのもとに進んでいくと、本来は地域や人や企業ごとに異なる発展や進化の仕方があるはずですが、それがフラット化していくことが危惧されてもいますよね。

 

伊藤:地方創生で国が早急に実現しなきゃいけないことは、分散型の社会を実現することなんですよ。 通勤負荷って、都市にモビリティが集中しているために発生するんです。ではなぜ都市にモビリティが集中するのかというと、働き口があるからです。

僕は今、その実験を兼ねて葉山に住み、東京に通っています。その風土の持つ力やそこで得たものと、東京的な感覚を掛け合わせるには、移動しながら融合していくことが重要なんじゃないかと感じています。

移動という負荷は、ネットワーク環境とモビリティの向上によって軽減することができます。実験的な働き方をする中で、必要だと感じたものを自分たちで作っていきたいですね。

 

山出:ネットワーク環境とモビリティの向上によって、いろんな繋がり方の可能性が生まれると、中央や都市という概念も変わっていくのでしょうね。

 

伊藤:都市もネットワークだと考えると、ホストコンピューターで全てを管理するのではなく、分散型にしていくことでチェック機能を高めることができると思うんです。これはビットコインと同じ発想ですね。人の生き方も分散を可能な形に変えていくべきなんだと思います。

 

山出:そうなると、空き家の活用にも新しい可能性がありそうですね。

 

伊藤:ええ。新しい働き方や暮らし方の可能性として、必ずしも定住ということではなく、家や事務所が短いスパンで移動するっていうことがあってもいいと思うんです。そこで短期間の居住や賃貸ができないかと考えたとき、家具や必要なものも、全部その土地でレンタルできたら便利だなって思うんです。そうすると所有の概念も変わってくるし、IoTで管理するシステムも必要になって来るんじゃないかなって思います。

シェアリングエコノミーの課題は、個人間で金銭のやり取りがあることです。そうなるとビットコインやフィンテックの需要が高まるかもしれない。まだまだやるべきことは、たくさんありますね。

 

(完)

編集長雑感

ここではIoT活用について、複数の視点からお話していただきました。
1つ目の視点は、歯磨きを楽しむための仕掛けとしての導入です。そもそも歯磨きがなぜ楽しくないのかを考え、IoTによって子どもが進んでしたくなるような魅力を付加した事例でした。
もう1つの視点としては、シェアリングエコノミーによる空き家の活用を考えたときに、管理システムや金銭の受領にIoTを導入することで、定住というあり方にだけこだわるのではなく、短期的な住み替えや借り替えを促進し、活性化を図れるという構想でした。
伊藤さんは、ある課題に対して社会のあるべき姿と、さまざまな情報や人材を繋ぎ合わせて、まだ誰も見たことがない世界を思い描きます。それを実現させるための原動力は、その世界を見てみたいと思う人々の共感であり、クリエイティブディレクターであり、メディエーターでもある伊藤さんの魅力でもあるのでしょう。

Profile

伊藤直樹

Naoki Ito

PARTY 代表取締役

1971年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。クリエイティブラボ『PARTY』の代表取締役(CEO)。これまでにナイキ、グーグル、SONY、無印良品など企業のクリエイティブディレクションを手がける。文化メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞など、国内外の200以上に及ぶデザイン賞・広告賞を受賞。相模ゴム工業『LOVE DISTANCE』では日本人として13年ぶりとなるカンヌ国際クリエイティブ祭フィルム部門での金賞を獲得。イギリスの国際デザイン賞『D&AD』、ニューヨークアートディレクターズクラブなど国内外の10以上のデザイン賞・広告賞で審査員を歴任。最近の作品に、世界初の3D写真館『OMOTE 3D SHASHIN KAN』、無印良品『MUJI to GO』の世界キャンペーン、『PARTY そこにいない展。』(銀座グラフィックギャラリー)など。著書に『伝わるのルール』(インプレス)、
作品集に『PARTY』(ggg books)など。
経済産業省クールジャパン官民有識者会議メンバー(2011、2012)。京都造形芸術大学情報デザイン学科教授。

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