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INTERVIEW

Interview

2016.12.22

マーケットにトライできる商材を作ろう

セメントプロデュースデザイン 金谷 勉

金谷 勉
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信用がないところから商売を始めることの難しさを知りました

 


 

 

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山出セメントプロデュースデザインを設立するまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

 

金谷:僕は学生時代にデザインを専門に学んだわけではありません。大学卒業後は企画会社に入社しましたが、その後転職し、大阪でも3本の指に入るくらい大きなプロダクションに入社しました。大手代理店からの下請けが中心で、僕は営業のセクションでしたが、仕事は代理店が取って来るので、主にマネージメントをしていました。待遇はすごく良かったのですが「一生やっていく仕事として、これでいいのか」という漠然とした不安がありました。そんななか、自社プロダクトを作る事業が立ち上がり「これは新たな入口を作る活動になるんじゃないか」と希望を感じたんです。

 

山出:それは、社内ベンチャーのような事業だったんですか?

 

金谷:はい。社員のほとんどがデザイナーでしたから、ハンドリングができる人がいなくて、僕がマネージメントを担当しました。
残念ながら売れ行きが芳しくなく、結果的にその事業は中止になりました。それを契機に多くの社員が退職し、そのタイミングで僕も退職して起業しようと決めたんです。

 

山出:それは金谷さんが何歳のときのことですか?

 

金谷:忘れもしない、28歳のときです。母からは「あんたに何ができるのよ」って言われましたし、手持ちも3,000円しかありませんでしたが、とにかく自宅で起業したんです。当初はパソコンも持っていなかったので、退職した会社にMacを貸してもらっていました。

 

山出:セメントプロデュースデザインを立ち上げて、初めに作ったのが『Happy Face Clip(ハッピー フェイス クリップ)』ですよね? 第1号商品としてこのクリップを作ることになったのは、どういう経緯だったんですか?

 

金谷:そもそもモノづくりに取り組んだきっかけは、自分たちで収益を上げられる仕事を作ろうと思ったことでした。「何でもいいから作ろう」っていう浅はかな発想で、難しい商品を一発目に作ってしまったんですよね。

 

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『Happy Face Clip(ハッピー フェイス クリップ)』商品画像

 

山出:この商品は、町工場で製造しているんですよね?

 

金谷:はい。日本有数の工場地帯でもある東大阪の町工場で作っています。当初は事業資金もなく、金型を作るのにも苦心しました。
どうにか製品が完成しても、今度はパッケージにかけるお金がない。とことん探してようやく見つけた容器が、医療用の軟膏ケースでした。でも、そのブルーの蓋をどうしても透明に替えたかったんです。製造業者に掛け合ってみたところ「1万個からなら作ってあげるよ」って言われて、販売計画もないまま1万個作ることにしたんです。
ようやく完成した製品を持って営業に行っても、取引口座さえなかなか開いてもらえませんでした。大きな会社からは、問屋を通して卸すように言われましたが「どうして知らない会社を通さないといけないんだろう?」って、意味がわからなくて。今なら、たった1つしか商品を持たない取引先のために口座を開くのは手間なんだって、わかるんですけどね。
結局、製造費も膨らんで、資金繰りを圧迫しました。あんなに請求書を書いたのに口座には現金がない。でも、月々の支払いは1日も遅れられない。信用がないところから商売を始めることの難しさを知りました。
その経験から、ただデザインができるというだけでは強みになりませんから、ものづくりを最短で進められる連携のあり方で、マーケットにトライできる商材を作ろうって決めたんです。

 

山出:なるほど。

 

金谷:ある職人さんが「すごくいい仕事ができる小さな会社があったとしても、大手は大手としか仕事をしない」と言っていたのを聞いて、製造業とデザイン業界は同じ構造なんだと気付きました。それで、職人さんたちと一緒になにかできないかなと考えるようになったんです。自分たちの世代が、次の需要を創出しなければと思ったんです。

 

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編集長雑感

3,000円を元手に起業し、ただ1つの商品『Happy Face Clip』の販路開拓のために自身で営業していたという金谷さん。そのときに1つの商品だけで営業に挑むことの厳しさや、実績もなく新規の取引を交渉する難しさを知りました。
しかし、ある職人さんの言葉をきっかけに製造業界とデザイン業界の共通の課題を見出したことで、製造業者とデザイナーが協業して、次の需要を創出する活動を展開していくことになりました。
お話を伺い、その行動力や実現力、人との出会いに学び、次に繋げていく柔軟さがセメントプロデュースデザインの武器であり魅力なのだと感じました。

Profile

金谷 勉

Tsutomu Kanaya

セメントプロデュースデザイン

1971年大阪生まれ。京都精華大学人文学部卒業後、企画制作会社に入社。その後広告制作会社を経て、1999年『CEMENT PRODUCE DESIGN』設立。 PARCOの広告デザイン、Francfrancとの商品企画開発、UNIQLOの企業コラボTのディレクションなど幅広くプロデュースを行う。約500店舗の流通先を持っていることを強みに、市場への流通を見据えた形での日本各地域における地場産業との協業企画「僕らの地域産業協業活動」を積極的に進めている。主な協業に、旭川の木工産地、福井のリボン産地や愛知の陶磁器産地等との商品開発など。 福井県鯖江市のメガネ素材を扱う会社との協業アイテム『Sabae mimikaki』は2013年 Good Design賞を受賞した。

 

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