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INTERVIEW

Interview

2017.05.25

筆は持たないけれど常に絵を描いているイメージ

イラストレーター・陶芸家 中野伸哉

中野伸哉
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「絵を描く」作業のなかには、企画が内包されている


 

山出:中野さんはプロデュースやデザイン、陶芸など、活動が多岐にわたっていますが、本来の職業は何なのでしょうか。

 

中野:イラストレーターです。国東へ移住するまで 東京、ニューヨーク、シドニーを渡り歩きながら雑誌・広告のイラストや玩具のパッケージイラストなどを描いていました。

現在も、主に東京のクライアントが多いですがイラストの仕事は続けています。打ち合わせはメール、原稿はデジタル入稿なのでイラストレーターに住む場所は関係ありません。ただ、紙媒体が少なくなっている昨今、これからはイラストレーターとして何ができるのか、その多様性を探る必要があると思います。

 

山出:たとえばどんなことでしょうか?

 

中野:イラストレーションとは、説明図のことです。業界誌や専門書って文字だけでは上手く伝わらなかったりしますよね。そこで、その記事に書かれていることを自分なりに咀嚼して「難しいことが書かれているけれど、簡単にしたらこんな感じ」っていうのを絵で表現するんです。

また、複数人のチームで完成させる記事などでは、イラストへの要望がデザイナーと編集者とで食い違っていることがあります。その間を取り持って、交渉・調整しながら仕上げていくのもイラストレーターの仕事のうちなんです。

 

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山出:お話を聞いていると、中野さんの活動は単に絵を描くということだけではないように感じました。その根本にあるものは、いかにお客さんに伝えるかということですよね。その考え方は、プロデュースの仕事にも共通しているのではないでしょうか?

 

中野:そうですね。プロデュースをするときも、筆は持たないけれど常に絵を描いているイメージです。企画することを「絵を描く」と表現しますよね。たとえば農業の観点から地域活性の企画を受注したとしたら、僕はまず地域の未来の絵を描きます。その絵を描くためには「どんな人が農作業をするか」「その人がどんな服を着ているのか」「何を持っているか」「どのような環境なのか」など、膨大なディテールが情報として必要となります。ボンヤリとしたイメージだけでは絵にならないしおもしろいアイデアがないと絵を描く意味がない。つまり「絵を描く」というなかに、企画の要素が内包されているんです。

 

山出:イメージを具体的にしていく考え方ですね。プロデュースの仕事は、基本的にはクライアントから始まることが多いのでしょうか?

 

中野:はい。誰に頼んでいいかわからない案件ってあるでしょう? そういうのを相談しやすいのが、僕みたいな何をやっているかわからない人なんですよ。

 

山出:何やっているかわからないというよりは、「中野さんだったらなんとかしてくれるかもしれない」っていう、相談所みたいな感じですよね。

たとえばクライアントが具体的なイメージを持って依頼したとして、それが必ずしも中野さんの考えと一致しないこともありますよね。

 

中野:ええ。でも、クライアントの多くは、答えに確信が持てず悩んでいる感じがします。だから、その考えをまとめるのがプロデュースの始まりだと思います。僕の場合は、雑談のなかで小出しに提案しながら、その人が本当に望んでいることに気づかせ、背中を押すよう意識しています。

 

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編集長雑感

中野さんはイラストレーターとして複数のクライアントの間に立ち、それぞれの要望を調整するためにネゴシエーションしてきた経験が、現在のプロデュースの仕事と結びついていると仰っていましたが、これは重要な工程です。また、クライアントの内面にある本人すら気がつかない要望を抽出する作業は、相手の話を聞きながらも透徹した視点を持ち続けなければ難しいでしょう。イラストレーターであり、プロデュースも手がける中野さんは、まるで絵が動き出すかのようにビジョンを語ることができます。その誰にとってもイメージしやすい語り口が大きな魅力となり、多くの方が中野さんのもとを訪れているのではないのでしょうか。

Profile

中野伸哉

Shinya Nakano

イラストレーター・陶芸家

1958年福岡県出身。1979年、NHK(東京)にて番組制作(特殊美術)に参加後、1982年に渡米。その後、ニューヨークでの作品制作を経て1989年に渡豪、シドニー現地新聞社に勤務。帰国後、1999年より国東市に『陶器・ガラス工房 ラパロマ』、その後『ギャラリーマスヤ』オープン。企業のプロデュース、商品企画、地域プロデュースなどを手がける。
主な掲載雑誌は『プレジデント』、『プレジデントファミリー』、『ベースボールマガジン』、教科用図書など。主な企業・地域プロデュースに『潮騒の宿 晴海』(別府市)のブランディング、『温故蜜柑』(国東市)など。大分県国東市広報アドバイザー、宇佐市6次産業アドバイザーなども行う。
株式会社 国東七(Kunisaki Seven Inc.)取締役 会長。

 

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