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INTERVIEW

Interview

2017.05.25

本当にそこなのかと見極めることが最初の出発点

イラストレーター・陶芸家 中野伸哉

中野伸哉
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考えをまとめていくと、本人が言うことと、実際に望んでいることが違うこともあります

 


 

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山出:新しいことを始めるときに大事なのは、誰と仕事するかということと、将来どうありたいか未来を考えることだと思っています。

 

中野:そうですね。将来のビジョンをしっかり持って、アイデアを次から次へと生み出すことができる経営者だったら、僕のところに来なくても、思い切って行動に移した方がいいと思います。

 

山出:「何をしてよいか分からないけど何とかしたい。一緒に考えるパートナーとして、中野さんに隣を歩いてほしい」という強い想いを持った方だと化学変化は起こりやすいのでしょうね。今日は中野さんがこれまでに手がけたいくつかの事例をご紹介いただきましたが、その多くはクライアントに答えがあるわけではなく、ともに見出していくようなやり方が多かったように思いました。

 

中野:その方がお互い建設的になれますからね。

それは、自閉症の息子とずっと付き合ってきたことも大きく影響していると思います。僕は、彼自身がどうしたいのかわからないけど、だからこそ彼が好きなものを通して関わり合いを持っています。

マイナスをプラスに転換するという考え方があるじゃないですか。たとえば息子の「自閉症で社会と関わりにくい」とういう点がマイナスだとしたら、それを裏返すと自閉症の特性である「同じことを繰り返す」とか「物事に集中して周りが見えなくなる」などはプラスに捉えることができますよね。むしろ作家としてはうらやましい素質でもあります。では、彼に必要なものは何かというと環境だと考えました。それは彼が大好きな粘土で遊べる環境です。遊びがいずれ仕事につながる経験は、僕自身も体験していますのでまずは陶芸の工房をつくりました。

 

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『陶器・ガラス工房 ラパロマ』には中野さん親子が制作した陶器が多く並んでいる

 

山出:大きく一括りにしてしまうんですね。

 

中野:僕も含め多くの作家が、どうやったら普通じゃない物事を発想し制作することができるのか悩んでいますけど、障がいだと言われた息子は社会から普通に近づく努力を求められる。だとしたら親として、作家として、障がいではなくキャラクターだと認めてしまう方が良いと気づきました。

 

山出:こうしなきゃいけないと思い込んで、追い詰めている面もあるのかもしれませんね。

 

中野:企業も同じです。その企業の悩みが本当にそこなのかと見極めることが最初の出発点ですね。雑談のなかから考えをまとめていくと、言っていることと実際に望んでいることが違うこともあります。そのアプローチは相手によって異なりますが、話の内容をイラストで表現しようとしても絵にならない場合はだいたい問題の場所がずれていますね。良い答えを考える前に良い問題になっているのかを考えることの方が大切なのではないでしょうか。

 

(完)

 

編集長雑感

中野さんは、クライアントが持ち込む企画をいかに実現するのかではなく、クライアントへのヒアリングを通じて本当に実現すべきものは何なのかを見つけだしていきます。また、一般的にマイナス要素だと思い込まれてきた物事のなかから、その本質的な価値を見出すなど、新たな要素を付け足すのではなく、視点を変えて見つけ出すことができる方です。
思いを込めて作られた良い商品やサービスには、そもそも大きな価値があります。それに対してクリエイターがすべきことは、何かを付け足したり生み出したりすることではなく、本来の価値を見極めて、磨き方や伝え方を提案することなのかもしれません。

Profile

中野伸哉

Shinya Nakano

イラストレーター・陶芸家

1958年福岡県出身。1979年、NHK(東京)にて番組制作(特殊美術)に参加後、1982年に渡米。その後、ニューヨークでの作品制作を経て1989年に渡豪、シドニー現地新聞社に勤務。帰国後、1999年より国東市に『陶器・ガラス工房 ラパロマ』、その後『ギャラリーマスヤ』オープン。企業のプロデュース、商品企画、地域プロデュースなどを手がける。
主な掲載雑誌は『プレジデント』、『プレジデントファミリー』、『ベースボールマガジン』、教科用図書など。主な企業・地域プロデュースに『潮騒の宿 晴海』(別府市)のブランディング、『温故蜜柑』(国東市)など。大分県国東市広報アドバイザー、宇佐市6次産業アドバイザーなども行う。
株式会社 国東七(Kunisaki Seven Inc.)取締役 会長。

 

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