MENU

CREATIVE PLATFORM OITA

supported by BEPPU PROJECT

INTERVIEW

Interview

2016.09.29

デザインって、本当はとても論理的なんですよ

NOSIGNER株式会社 太刀川 瑛弼

太刀川 瑛弼
page1

今まであったものの掛け合わせでもいいんです。
でも、新しい掛け合わせじゃないといけない

 

 

山出:太刀川さんは、大学で建築を学ばれてからデザイナーになったんですね。ちょっと意外な経歴をお持ちですが、まずはデザインについてのお考えからお聞かせいただけますか?

 

太刀川:はい。「デザインとは何か?」というのは、ずっと僕の問いなんです。大学院生の頃に、お年寄りに向けてデザインについて講演する機会をいただきました。

 

山出:難しいお題ですね。

 

太刀川:ええ、すごく悩みました。僕は、デザインには「話す」役割と「聞く」役割があると思っています。だからそれを人にたとえて説明しました。話してばかりの人もいやだし、聞いてばかりの人も自己主張がなくてつまらない。話していて「気持ちいいな」って思えるのは、どちらの役割もバランス良く持った人なんですよね。デザインもそれと同じですって話したら「デザインのことが初めて理解できたわ」って言ってもらえました。

 

山出:とてもわかりやすいご説明ですね。たとえで言うと、デザインって診断する行為にも似ていますよね。お腹が痛い人を診察して、盲腸だとか食中毒だとか、原因を明らかにして、ふさわしい薬を処方するというような。

 

太刀川:そうですね。だから、手法はいっぱい持っていたほうがいい。自分自身も多様であるべきだし、いろんな手法を持っている人とつながることも大事だと思う。どの手法がどういうときに有効であるかを、お医者さんはよくわかっていないといけないと思うんですよね。

 

1

 

山出:医者は病気を治すことが使命ですが、デザイナーには最終的に感性が問われますよね。つまり、ロジックとセンスの両方が求められる。

 

太刀川:はい。必要なのは、整理する力だと思っています。センスというものが、ある傾向を持っていることを認識して整理する力っていうか。 たとえばここに、いかにもマダムが好きそうな椅子や絵がある。なぜマダムはこれを好むのか。それは非言語の領域ですが、その傾向や文脈を定義できれば、なんでもマダム好みに作れるわけですよ。 人は直感で判断する。だから、デザイナーには他者の直感を自分の中に降ろす力が必要なんです。いいデザインには評価される理由がある。デザインって、本当はとても論理的なんですよ。

 

山出:センスや直感にも個人差があるし「ここのポイントだけ掴めば大丈夫」なんてことは存在しませんよね。でも、そこが見えない限りは全体の形が見えない。

 

太刀川:そうですね。ある領域のスタンダードを捉えたら、そのなかで評価される仕事ができると思います。でも、僕はその領域のぎりぎりのラインを探りたい。そこにに驚きを加えることによって、領域をハッキングしたいんすよ。そこそこのクオリティだったとしても、他にはない体験を提供できなければ、生き残っていけないんです。

千 利休は「守破離」と言っていますが、守るべきものがわかったならば、それを破り始めるということが、とても大事なんですよね。守りながら破る、そのバランスがすごく大事なんだと思います。

 

山出:どこかの成功事例をそのまま取り入れても、感動は生まれない。

 

太刀川:そう。ユーザーは感動させてほしいんですよね。今まであったものの掛け合わせでもいいんです。でも、新しい掛け合わせじゃないといけない。

僕だって、いつも上手くいくわけじゃないんですよ。失敗してやり直すことだってある。そのときに、ある種失敗する力が問われるんだと思います。前例主義に陥ってしまうのは失敗が許容されないからであって、小さく失敗できる仕組みを持つことが、成功につながるんだと思います。 失敗から学んだことを共有することにもすごく意味があるし、失敗の経験を次に活かせる仕組みがあるといいですよね。発明家のエジソンも似たようなことを言っていました。

 

山出:ちょっとずつやればできるんだけど、一足飛びに越えていこうとするようなことが、今日はだめでも明日にはできるかもしれない。どんなチャレンジをするかを見極めるには、軸足がどこにあるのかちゃんとわかってないといけない。

 

太刀川:だけど、チャレンジ精神と同時に恐怖心も持っておくべきですよね。そこで、全く新しい選択肢が見えてきた場合は、前例がなかったとしても躊躇なくやるべきです。 前例をそのまま取り入れるのではなくて、条件を上手く活かして、もっと面白くなるように工夫する。そのアイデアをよく検証して、反証されなければ、誰かにやられる前にやったほうがいい。そういう感覚を地方が持つと、めちゃくちゃ面白くなると思いますよ。

次のページへ

編集長雑感

太刀川さんは、ご自身の観点から対象を変えようとするのではなく、対象そのものを捉えるために、その平均値を常に意識されていらっしゃるようでした。
デザインについて年配の方にもわかりやすく説明ができるのも、太刀川さんがその平均をしっかりと把握され、「聞く」役割と「話す」役割を兼ね備えていらっしゃるからではないでしょうか。

Profile

太刀川 瑛弼

Eisuke Tachikawa

NOSIGNER株式会社

NOSIGNER株式会社代表取締役

慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。在学中の2006年にデザインファームNOSIGNERを創業。現在、NOSIGNER株式会社代表取締役。
ソーシャルデザインイノベーション(社会に良い変化をもたらすためのデザイン)を生み出すことを理念に活動中。建築・グラフィック・プロダクト等のデザインへの深い見識を活かし、複数の技術を相乗的に使った総合的なデザイン戦略を手がけるデザインストラテジスト。その手法は世界的にも評価されており、Design for Asia Award大賞、PENTAWARDS PLATINUM、SDA 最優秀賞、DSA 空間デザイン優秀賞など国内外の主要なデザイン賞にて50以上の受賞を誇る。災害時に役立つデザインを共有する「OLIVE PROJECT」代表。2014年、内閣官房主催「クールジャパンムーブメント推進会議」コンセプトディレクターとして、クールジャパンミッション宣言「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」の策定に貢献。

慶応義塾大学SDM 非常勤講師
法政大学工学部建築学科 非常勤講師

Mail Magazineメールマガジン

「CREATIVE PLATFORM OITA」のメールマガジンにご登録いただくと、最新の情報やイベントのお知らせ、会員だけが読めるスペシャルコラムなどを無料でお届けいたします。

メールマガジンの
ご登録はこちら

© CREATIVE PLATFORM OITA.