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事例紹介

2017.04.27

創造的なまちづくりのモデルケース『MAD City』

千葉県松戸市のJR松戸駅周辺から半径500mのエリアを『MAD City』と名付け、アーティストやクリエイターの拠点となる新しいまちづくりのプロジェクトが実践されています。『MAD City』は、町おこしそのものを目的とするのではなく、クリエイティブな自治区を作るという大きな目標に向かって活動を展開しています。その運営を担う株式会社 まちづクリエイティブ代表の寺井元一(てらい・もとかず)さんにお話を伺いました。

 

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株式会社まちづクリエイティブ代表取締役の寺井元一さん

 

 

寺井さんは『MAD City』の立ち上げ以前は、東京・渋谷を拠点に公共スペースでアーティストやアスリートによる表現活動を支援する活動を行っていました。その活動のなかで、公共空間の利用に伴う規制やクレームも多く、都会での活動における課題を実感することもあったそうです。そこで寺井さんは「活動のための理想の場所を探すのではなく、自分の理想とする環境を自分自身で作らなければならない」と感じるようになり、関東エリアの地方都市をリサーチしながらフィールドワークを重ね、松戸を活動拠点に決めました。

デンマークのクリスチャニアにおける自治のあり方や、欧米で空き家をアーティストが不法占拠し、アトリエとして活用し始めたことによって自然発生的にクリエイティブシティが生まれていった事例などに影響を受けた寺井さん。文化や経済が循環し、住民の自治によって成立する「クリエイティブな自治区」をビジョンに掲げ、2010年より『MAD City』の活動を開始しました。

 

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『MAD City』は半径500mの円を主な範囲としており、ロゴは地図を模している

 

 

『Mad City』はアーティストやクリエイター向けの物件を紹介する不動産サービスを中心に、イベント運営やビジネスサポートなどさまざまな事業を行っています。

不動産サービスは、従来の仲介形式ではなく、オーナーから物件を借り受けて貸し出す「サブリース」形式で、主に「原状回復が不要なオリジナル物件」を扱っているのが特徴。それらの物件は、自分好みにDIYで改修することが可能です。

 

 

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『MAD City』の中心にある『MAD City Gallery』では、企画展を行うほか、マップやフリーペーパーの配布、イベント情報の開示、まちづくり関連書籍の紹介を行っています。

 

「物件は基本的に足で探しています。シンクの痛みや水周りなど、チェックポイントはありますが、物件は古いほど面白いものが多いです。大事なのは、その物件に眠っているマイナスをプラスに変えられる要素を探すことです。たとえば、カップルホテルだったビルって、完全防音になっているんですよね。こういう物件は、音楽家や周囲の音を気にせず制作したいアーティストにはうってつけなんです」

『MAD City』の立ち上げから7年で、移住者が述べ220人を超え、物件の紹介数は80件にもおよびました。移住したクリエイターと商店や企業とのコラボレーション事例も生まれているそうです。

 

 

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『MAD City』にアトリエを構えるイラストレーターとのコラボレーションにより生まれた、オリジナル招き猫を販売する八嶋商店

 

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アーティストや街の歴史について笑顔で語る店主の八嶋正典さん

 

 

『MAD City』が運営する物件の99%が契約済ですが、移住したい方々の需要に対してまだまだ物件が足りていないことが現在の課題なのだそうです。

寺井さんは「まちづくりには人が重要。アーティストやクリエイターの競争意識や刺激を生むには、新しい人が入り続けることが重要です。そのためには、もっと物件を増やしていきたい」と語ります。さらに「アーティストだけでは地域は成り立ちません。アーティストの活動を社会と結びつけ、ビジネスに変えることができるクリエイターや、消費者側の存在も重要です。まちづくりには、そのバランスが大切なんだと思います」と、地域経済を成り立たせるためには人のバランスが重要であることも指摘しました。

 

 

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『MAD City』を歩けば目に飛び込んでくるアート作品

 

 

株式会社 まちづクリエイティブでは千葉県松戸市の『MAD City』のほか、佐賀県武雄市など全国3箇所で新しいまちづくりに取り組んでいます。創造的でありながら経済が循環する自治都市を目指す『MAD City』や株式会社 まちづクリエイティブの活動は、各地の抱える課題に新たな視点をもたらす、創造的なまちづくりのモデルケースであると感じました。